衛相会談 GSOMIA
破棄見直し要請も平行線に

日韓の軍事情報包括保護協定が、韓国側の破棄の決定で今週失効するのを前に、河野防衛大臣は訪問先のタイで韓国の国防相と会談し、協定の破棄決定を見直すよう求めましたが、会談は平行線に終わりました。

日韓関係が悪化する中、両国の軍事情報包括保護協定=GSOMIAは、韓国側の破棄の決定で今月23日に失効します。

これを前に、河野防衛大臣は訪問先のタイのバンコクで、韓国のチョン・ギョンドゥ(鄭景斗)国防相と初めて会談しました。

河野大臣は「北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、東アジアの安全保障環境が大変厳しい状況にある中で、日韓、日韓米の連携は極めて重要だ」と述べ、協定の破棄決定を見直すよう賢明な対応を求めました。

これに対して、チョン国防相は「さまざまな課題で、日韓関係が行き詰まっていることは非常に残念だ。今回の機会をきっかけに、両国関係や防衛協力の発展のために、ともに努力していきたい」と述べたものの、協定については従来の主張を述べるにとどまり会談は平行線に終わりました。

ただ両氏は、日韓両国や日米韓3か国の連携が重要だという認識では一致し、防衛当局間の意思疎通を維持することを確認しました。

河野大臣は会談後、記者団に対し「防衛当局の関係は、今後とも非常に重要なので、しっかりと意思疎通をしていきたい」と述べました。

韓国国防相「原則的なレベルの話になった」

韓国のチョン国防相は、河野防衛大臣との会談のあと、韓国の記者団に対し、日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAについて「原則的なレベルの話になった」と述べ、原則論にとどまったことを示唆しました。

チョン国防相は、日本が輸出管理を強化したため、GSOMIAの破棄を決めるしかなかったと会談で改めて説明したことを明らかにしたうえで、「外交的にうまく解決されるよう、河野大臣にも積極的に力を注いでほしいと要請した」と述べました。

また、記者団から日本側の対応の見通しについて問われると、「現段階では言えることはない」と述べました。北朝鮮への対応をめぐっては、日韓、日米韓3か国の連携が重要だと強調し、今後も協力していくことを確認したということです。

一方、韓国国防省も会談の結果について発表し、両国は懸案事項について、既存の立場を再確認したと明らかにしました。

そのうえで、チョン国防相は、韓国がGSOMIAの破棄を決めたのは、日本が輸出管理を強化したことにともなう避けられない選択だったと強調し、日本側に対し、態度を変えるよう強く要請したとしています。