ニア新幹線 静岡県内
工事 国主導で課題整理へ

環境影響への懸念からトンネル工事が始まっていないリニア中央新幹線の静岡県内の区間について、国土交通省と静岡県、それにJR東海の幹部が会談し、早期着工と環境保全の両立に向け、国が主導する形で水資源などの課題の整理を進めることを確認しました。

2027年の東京・名古屋間の開業を目指して工事が進められているリニア中央新幹線は、静岡県が環境への影響が懸念されるとして県内の本体トンネルの着工を認めておらず、今月24日には国土交通省の藤田耕三事務次官が静岡県庁で川勝知事と面会し、JR東海を含めた3者による新たな協議の枠組みを設置することで一致しました。

31日は国土交通省に静岡県の難波副知事とJR東海の宇野護副社長が訪れ、水嶋智鉄道局長と会談しました。

この中で、静岡県内の区間の本体トンネル工事の早期着工と環境保全の両立に向け、工事に伴う湧き水などの水資源や、生態系への影響など、静岡県とJR東海との間で折り合っていない課題の整理を国が主導する形で進めることを確認したということです。

そして、協議の進め方などの詳細を調整したうえで、近く3者で合意文書を取りまとめることになりました。

国交省審議官「中立的立場で国入って論議を」

静岡県とJR東海、それに国による3者の会談のあと、国土交通省の江口秀二官房技術審議官は、「論点はだいぶ絞られつつあるが一方で食い違いもある。中立的な立場で国が入って議論を進めることが大事だ」と述べ、県とJRの間に入り調整を行っていく考えを示しました。

そのうえで、「早期の開業を求める県政への期待は高い。一方で静岡県は水資源の問題、環境の問題を非常に懸念している。環境の保全とリニアの早期の実現、これを両立することがポイントだ」と述べました。

また、JR東海の宇野護副社長は「工事はできるだけ早く進めることが重要だと考えている。一方で、環境保全に関して、ご心配いただいていることをどのようにフォローしていくか、解消していくかが大事だ」と述べました。

静岡県副知事「環境や水への影響を詰めるのが先決」

会談のあと、静岡県の難波副知事は「国には中立的な立場から意見をいただければ、県とJRの間の合意形成に大きな役割を果たすことができる」と述べ、国の主導的な関わりに期待を示しました。

また、難波副知事は「川勝知事はリニア事業に賛成しており、早期開業も理解しているが、自然環境や水への影響をないがしろにしてはならず、それを詰めるのが先決だ」と述べました。