曲川決壊「実際は国から
情報受けてなかった」長野市

台風19号の豪雨で千曲川の堤防が決壊したことについて、長野市は国から決壊の情報を得ていたと説明していたことについて、「担当者の勘違いだった」として実際には国から決壊の情報を受けていなかったことを明らかにしました。

長野市の穂保とその周辺では台風19号の豪雨で千曲川の堤防が決壊し、2人が亡くなったほか多くの住宅が水につかる被害を受けました。

長野市は穂保とその周辺の住民へ大雨が降った今月12日午後11時半すぎに避難指示を出し、国も翌日の午前1時すぎ、5段階の警戒レベルのうち最も高いレベル5にあたる氾濫発生情報を出しています。

また、長野市の加藤市長も「堤防が決壊のおそれがある」として午前2時すぎに緊急速報メールなどを通じて避難を呼びかけていました。

その後、堤防は決壊しましたが、結果的に堤防が決壊したという情報は市から住民に伝わっていません。

これについて、長野市は国から決壊の情報を得ていたものの公表しなかったと説明していましたが、24日の市長の定例会見で、鎌田富夫防災監が「取材に応じた担当者が勘違いをしていた」と述べ、実際には国から決壊の情報を受けていなかったことを明らかにしました。

また、加藤市長は、住民に決壊の情報が伝わっていないことについて「決壊が起これば逃げるのは不可能だと思う。決壊のおそれがあるという情報が出された段階で、決壊の発生と同じだと受け止めてほしい」と述べました。

国も決壊情報提供せず

長野市が国から決壊の情報が伝えられていないとしていることについて、千曲川を管理する北陸地方整備局も経緯を調査した結果、情報を伝えていないことを確認したとしています。

そのうえで、河川の水が堤防を越える越水が確認された時点で「氾濫発生情報」を発表し、都道府県や報道機関などに通知しているものの市町村への情報提供は義務づけられておらず、その後、同じ場所で決壊したとしても改めて通知することはないと説明しています。

北陸地方整備局は「決壊の情報提供について明確なルールはないが、今回の被害の状況を考えると何らかの方法で連絡することも考えるべきだった」とコメントしています。

これについて河川防災に詳しい信州大学工学部の吉谷純一教授は「河川の情報を住民にどのように周知するのか自治体だけでなく、国も含めた仕組み作りが必要だ」と話しています。