き家 牛丼並「店内」
「持ち帰り」税込み価格統一

消費税率の引き上げが来月に迫る中、軽減税率の導入による10%と8%の2つの税率にどう対応するか外食各社の価格戦略が分かれています。牛丼チェーン最大手の「すき家」は、消費税率が上がることになる「店内飲食」の牛丼の並盛りについて、本体価格を値下げし、税込みの価格では持ち帰った場合と同じにする方針を固めました。

来月からの消費税率の引き上げで、「店内飲食」の場合は税率が10%になりますが、「持ち帰り」の食品や飲料には8%の軽減税率が適用されます。

関係者によりますと、国内で1900余りの店舗を展開する牛丼チェーン最大手の「すき家」は、主力商品の牛丼の並盛りについて来月以降「店内飲食」の場合、本体価格の325円を6円値下げして319円にします。

これによって、10%の消費税を加えても税込み価格を350円と今の価格のままに据え置くとともに、「持ち帰り」の場合の税込み価格とも同じにする方針です。

会社としては消費者の節約志向は根強いとみていて、主力商品の実質的な値下げで顧客をつなぎ止めるねらいがあります。

これによって牛丼並盛りの本体価格は、2つの価格が存在することになりますが、政府によりますと、価格設定は事業者に任せられていて、「店内飲食」の本体価格を低く設定することに問題はないとしています。

ほかの牛丼チェーンでは、「吉野家」が本体価格を据え置くため、店内飲食と持ち帰りとで税込み価格が別になるほか、「松屋」は店内飲食と持ち帰りで税込み価格を同じにする方針ですが、価格は依然検討していて、各社で方針が分かれています。

店内飲食と持ち帰り価格各社対応分かれる

店内飲食と持ち帰り、それぞれの場合に消費者が実際に支払う税込みの価格を同じにするか、別々にするか。来月1日の消費税率の引き上げに向けて外食各社の対応は分かれています。

ファストフードでは「ケンタッキーフライドチキン」は主力商品を、「フレッシュネスバーガー」は、すべての商品を店内で飲食する場合の本体価格を値下げ。税込み価格を今と同じに据え置きます。それによって店内飲食と持ち帰りの税込み価格を統一します。

一方、「モスバーガー」は、すべての商品について本体価格を今と同じに据え置きます。店内飲食と持ち帰りで税込み価格に差をつける方針です。

ファミリーレストランでは、「サイゼリヤ」が、店内飲食の本体価格を値下げ。税込み価格を据え置いて持ち帰りと統一します。

「ガスト」や「バーミヤン」は本体価格を据え置き、店内飲食と持ち帰りで税込み価格は別々になります。

「マクドナルド」や「ロイヤルホスト」は価格設定を依然、検討中だとしています。

消費者の根強い節約志向が続く中、商品の価格設定は売り上げを大きく左右するだけに、各社にとっては重要な経営判断です。

消費税率引き上げのぎりぎりまで対応を検討する会社もあり、価格設定しだいでは客離れを引き起こしかねないという危機感の表れとも言えます。

「同一税込み価格可能」

政府は、軽減税率の導入で店内で飲食する場合は10%、持ち帰る場合は8%と税率が違うため、飲食店や小売店が価格の設定や表示をどのようにすればいいのか、具体例を示しています。

まず価格の設定は店側が自由に決めてよいとしています。店内飲食でも持ち帰りでも商品が同じならば税抜きの本体価格は、通常は同じになります。税率がそれぞれ違うため、税込みの価格は変わります。

ただ、店内飲食と持ち帰りの本体価格に差を付けて、税込み価格が同じになるように設定することも可能になります。

具体的には、同じハンバーガーでも税率が10%の店内飲食の本体価格を100円、税率が8%の持ち帰りの本体価格を102円とすれば、税込み価格はいずれも110円になります。

この場合、店側は、客に対して本体価格は表示せず、店内飲食、持ち帰りどちらも税込み価格の110円を表示するだけで済ませることが可能になります。

ただ、店内飲食より持ち帰りの本体価格を高くする場合には、箸や持ち帰り用の容器などのコストが余分にかかることや店頭での支払時の混乱を避けるためといった理由を消費者に分かりやすく説明できるようにすることが必要だとしています。