党派の国会議員52人
終戦の日で靖国神社参拝

令和になって初めての「終戦の日」の15日、超党派の国会議員でつくる「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の国会議員52人が、そろって靖国神社に参拝しました。

「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は毎年、春と秋の例大祭と、8月15日の「終戦の日」に、東京 九段の靖国神社に参拝しています。

ことしは、会長を務める自民党の尾辻元参議院副議長のほか、日本維新の会の東総務会長ら、超党派の衆参両院の国会議員52人が、午前11時ごろから靖国神社の本殿に昇殿し、そろって参拝しました。

このうち、安倍内閣からは佐藤外務副大臣や城内環境副大臣ら、副大臣と政務官合わせて8人が参拝しました。

このあと尾辻氏は記者会見し、「平成は1回も日本が戦争することがなく、平和な時代を送ることができた。令和もそういう年号になれば大変ありがたいと思っている」と述べました。

これに先立って、自民党の萩生田幹事長代行や

小泉進次郎衆議院議員が靖国神社を参拝したほか、

自民党の稲田元防衛大臣も高鳥農林水産副大臣ら、みずからが会長を務める議員グループ「伝統と創造の会」のメンバーとともに参拝しました。

閣僚の参拝は3年連続なし

安倍総理大臣のほか、安倍内閣の19人の閣僚はいずれも靖国神社に参拝しませんでした。「終戦の日」に閣僚が靖国神社に参拝しなかったのは、3年連続となります。

参拝に賛成する集会 「憲法改正を」

このうち、東京 千代田区の靖国神社では、総理大臣や閣僚に参拝を求める団体が集会を開き、主催者の発表でおよそ1500人が参加しました。

このなかで、自衛隊の元最高幹部で、「英霊にこたえる会」の会長を務める寺島泰三さんが、「平成からの積み残しで最大の課題は憲法改正にあると思う。占領軍に押しつけられた現憲法を国民みずからの手で改めなければ、日本精神の復興・回復もなしと言わざるをえない」と述べました。

そして正午にあわせ、参加者全員で黙とうをささげました。

川崎市から参加した50歳の自営業の男性は、「日本のことを思って戦争に行って亡くなった方に感謝の気持ちを伝えたくて、初めて8月15日に来ました。国際社会でも軍隊を持つのは当たり前なので憲法では自衛隊を明記することが必要だと思う」と話していました。

参拝に反対する集会 「憲法を守り、平和の道を」

一方、東京 千代田区では閣僚らによる靖国神社の参拝に反対している「平和遺族会全国連絡会」が集会を開き、初めに「憲法を守り、武力によらない平和の道を歩もう」などと呼びかけました。

続いて、参加したおよそ100人全員が1分間、静かに目を閉じて先の大戦で亡くなった人たちを悼みました。

集会に参加した74歳の男性は、「父が戦死し、戦争とは何なのか、考え続けてきた。A級戦犯まで合祀されている靖国神社を国を代表する人たちが参拝することは遺族として許せない」と話していました。

83歳の女性は、「靖国神社に多くの人が訪れる様子を見ると時代が逆戻りしているように感じる。戦争を起こすのもやめるのも人間だから、そのことを一人一人が自覚しないといけないと思う」と話していました。

72歳の女性は、「戦争を知らない世代だが、これからもずっと戦争が起こらない“戦後”が続いてほしい」と話していました。

韓国「深い憂慮」

安倍総理大臣が自民党総裁として靖国神社に私費で玉串料を納め、衆参両院の国会議員が参拝したことについて、韓国外務省は報道官の論評を出しました。

論評では「日本政府と議会の責任ある指導者たちが、過去の植民地支配と侵略戦争を美化して、靖国神社に再び玉串料を納め、参拝したことに深い憂慮を示す」としています。

そのうえで、「韓国政府は、日本の政治指導者たちが過去の歴史に対する真摯(しんし)な反省を、実際の行動で見せるよう求める。そうした姿勢が土台となる時、両国関係が未来志向的に発展し、国際社会の信頼を得ることができる」と主張しました。

論評は、安倍総理大臣を名指しで批判することは避けており、去年とほぼ同様の内容でした。

中国外務省「日本のネガティブな動きに留意」

終戦の日の15日、安倍総理大臣が、自民党総裁として、靖国神社に私費で玉串料を納め、超党派の国会議員が靖国神社に参拝したことについて中国外務省の華春瑩報道官は15日夜、コメントを発表し、「靖国神社の問題における日本のネガティブな動きに留意している」と述べています。

そして副大臣や政務官ら8人が参拝したことを念頭に、「いくらかの要人が、歴史に対して誤った態度を持っていることが改めて明らかになった。日本にはこれまでの約束を守り実際の行動をもってアジアの隣国や国際社会の信用を得るよう促す」としています。

一方、中国国営の新華社通信は、天皇陛下が政府主催の全国戦没者追悼式に臨み「ここに過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」と述べられたことを伝え、「上皇さまの過去の歴史に対する態度を踏襲した」と指摘しています。

そのうえで、上皇さまが戦後70年を迎えた2015年の追悼式から、「深い反省」ということばを使い続けてきたとし、「今回、天皇陛下も変えなかった」と伝えています。

一方、安倍総理大臣の式辞については「歴史の教訓を深く胸に刻む」と述べたものの、アジア諸国への加害責任には触れなかったと伝えています。