「デジタル田園都市国家構想」実現へ 基本方針案取りまとめ

デジタル化を進めて地方活性化につなげる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けて、政府は6月1日、基本方針案を取りまとめ、デジタル機器を利用する高齢者らを支援する「デジタル推進委員」を今年度中に全国で2万人以上確保するなどとしています。

政府は6月1日、総理大臣官邸で岸田総理大臣をはじめ、関係閣僚や有識者が出席して「デジタル田園都市国家構想実現会議」の会合を開き、基本方針案を取りまとめました。

それによりますと、デジタルは人口減少や産業の空洞化といった、地方の課題を解決する鍵だとして、デジタルの力を活用して地方に仕事をつくり、都会から地方へと人の流れを生み出すとしています。

具体的には、全国の地方公共団体のうち1000の団体が、2024年度末までにデジタル化に取り組むほか、デジタル技術をいかした地域作りに貢献する中核的な人材を、国内の100の地域に配置するとしています。

また、デジタル機器やサービスを利用する高齢者らを支援する「デジタル推進委員」を今年度中に全国で2万人以上確保するとともに、デジタル関連の技術を身につけた人材を、2026年度末までに230万人育成するとしています。

このほか、高速・大容量の通信規格、5Gの人口カバー率を2030年度末に99%とすることを目指すなど、デジタル基盤の整備を進めるとしています。

政府は、近く基本方針を閣議決定することにしています。

岸田首相「政府一丸となって推進」

岸田総理大臣は「デジタル田園都市国家構想実現会議」の会合で「今後は、構想の実現に向けた取り組みを政府一丸となって推進し、目に見える成果をあげていく」と述べました。

そのうえで「『地方創生推進交付金』など3つの交付金を、新たに『デジタル田園都市国家構想交付金』に統合し、地方公共団体の取り組みを国としても強力に支援する。年末には『デジタル田園都市国家構想総合戦略』を策定する。さらに、政府の施策全般に構想の考え方を浸透させていく」と述べました。