佐渡島の金山 世界文化遺産
への推薦 閣議で了解 政府

世界文化遺産への登録を目指して、政府は、新潟県の「佐渡島の金山」をユネスコに推薦することを、2月1日の閣議で了解しました。

「佐渡島の金山」は17世紀、世界最大の金の生産地で、江戸時代を通じて徳川幕府を支えた最も重要な鉱山だとされています。

政府・与党内には、韓国が朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だと反発していることも踏まえ、慎重な対応を求める声もありましたが、岸田総理大臣は、先週「けうな産業遺産として高い評価がある」として、新潟県などの要望どおりユネスコに推薦する方針を表明しました。

これを受けて、政府は2月1日の閣議で、「佐渡島の金山」のユネスコへの推薦を了解し、期限となる日本時間の2日未明までに、パリの事務局に推薦書を提出する予定です。

今後、ユネスコの諮問機関の現地調査などを経て、来年夏ごろ開催される世界遺産委員会で、登録の可否が判断されます。

委員会には、推薦に際して関係国との対話を促す指針があることから、政府は、韓国側に日本の立場を丁寧に説明していくとともに、新たに設けるタスクフォースで国際社会の理解を得るための戦略を練るなど、登録実現に向けた準備を本格化させる方針です。

松野官房長官「韓国含む関係国と冷静かつ丁寧な議論行う」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「『佐渡島の金山』は高い価値にもかかわらず、登録に向けてさまざまな議論や意見があることは承知している。文化遺産としてのすばらしい価値が評価されるよう、韓国を含む関係国と冷静かつ丁寧な議論を行っていく」と述べました。

また、遺産登録の実現に向けて、政府内に設けるタスクフォースについて「歴史的な経緯を含め、今後行われるさまざまな議論に対応するために、省庁横断的な取り組みを強化することを目的としている。早急に第1回会合を開催する予定だ」と述べました。

末松文部科学相「冷静かつ丁寧な議論に努める」

末松文部科学大臣は、閣議のあと記者団に対し「世界文化遺産への登録実現のため、『佐渡島の金山』の高い文化的価値を評価してもらえるよう、関係自治体や省庁と連携し、冷静かつ丁寧な議論に努めていきたい」と述べました。

また、韓国が、朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だと反発していることについて「関係省庁が参加するタスクフォースが設置されるので、歴史的な経緯を含めて丁寧に議論を始めていく。まずはきちんと文化遺産としての価値を評価し説明をしていきたい」と述べました。

林外相「冷静かつ丁寧な議論行う」

林外務大臣は、閣議のあとの記者会見で「『佐渡島の金山』の文化遺産としてのすばらしい価値が評価されるよう冷静かつ丁寧な議論を行って、登録実現に向けて外務省としても文化庁をはじめ関係省庁と連携してしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

また、記者団から日韓関係への影響について問われたのに対し「文化の話であり、韓国側の独自の主張は受け入れられない。大事な関係である日韓関係に悪影響を及ぼさないよう誠実に対応を行って、冷静かつ丁寧に議論を行っていく」と述べました。

公明 山口代表「決定を尊重 理解が進むよう努力を」

公明党の山口代表は、記者会見で「政府が、いろいろな声を聞いて最終的に決定したもので、尊重したい。韓国側が意見を表明しているが、議論が起こることを想定したうえでの政府の方針だと思うので、内外の妥当な理解が進むよう、一層努力してもらいたい」と述べました。

立民 馬淵国対委員長「ぶれる岸田政権の姿を象徴」

立憲民主党の馬淵国会対策委員長は、党の代議士会で「当然ながら推薦すべきものであるにもかかわらず、二転三転したかのような報道がなされた。決めきれない、遅い、そして、ぶれるという、岸田政権の姿を表した最も象徴的な出来事だ。こうしたことを見過ごさずに、しっかり国会審議の中でただしていく」と述べました。

維新 遠藤国対委員長「メッセージが弱くなる」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「歴史や文化など、わが国の大切なものの推薦を決める過程で、他国を気にしているようではメッセージが弱くなってしまう。政府内や党内の調整をきちんと行ったうえで、メッセージを出す必要があった」と述べました。

国民 玉木代表「経緯でごたごた 外交的 戦略的に失敗」

国民民主党の玉木代表は、記者会見で「世界に誇る日本の資産なので、推薦することは当然であり、適正な手続きに基づいてしっかりと評価してもらい、世界文化遺産として認めていただきたい。ただ、ここに至る経緯でごたごたしたことが、国際社会に広まっていることは外交的にも戦略的にも失敗だと思うので、もう少しうまくやれなかったのかと政府には苦言を呈したい」と述べました。