全日本私立幼稚園連合会
前会長が通帳偽造関与

全国の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」で数億円の資金が使途不明になっている問題。監査で使途不明金が発覚しないようにするため、辞任した香川敬 前会長らが関わって基金などの実際の残高を大幅に水増しした複数の銀行口座の通帳を偽造していたことがNHKの取材で新たに分かりました。幼稚園連合会は現在、詳しい経緯について内部調査を進めているということです。

全国およそ7500の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」をめぐっては、一般会計のほか、国際交流や災害対策のための基金などが、正式な手続きを経ずに取り崩されるなどして、合わせて数億円の資金が使途不明になっていることが、NHKの取材で明らかになっています。

この問題で、幼稚園連合会の香川敬 前会長は去年11月、使途不明金の存在を指摘されたあと辞任していますが、監査で使途不明金の存在が発覚しないようにするため、香川前会長や事務局の職員が関わって基金などの実際の残高を大幅に水増しした複数の銀行口座の通帳を偽造していたことが複数の関係者への取材で新たに分かりました。

関係者によりますと、連合会の昨年度決算の監査が行われた去年9月以降、基金などの通帳を提出するよう求められたため、事務局側は当初、実際にはほぼ無くなっていた口座の残高を大幅に水増しした通帳の写しを偽造し、提出していたということです。

しかし、提出された写しの記載に不審な点があり、通帳の原本を提出するよう求められたため、香川前会長らが関わって業者に依頼し、複数の口座の通帳を偽造していたということです。

香川前会長は平成22年5月に幼稚園連合会の会長に就任し、5期10年以上にわたって会長を務めたほか、平成26年7月からは警察を管理する山口県の公安委員を務めています。

NHKの取材に対し、香川前会長は通帳の偽造に関わったことを認めたうえで「事務局から使途不明金について報告を受け『来年度には帳尻を合わせます』と言われたので、残高を改ざんした通帳の写しの提出を認めた。その後、通帳の原本を見せろと言われたので事務局に知り合いの印刷業者を紹介した。通帳の偽造に加担したのは事実だが、個人的な資金の流用は断じてしていない」と説明しています。

幼稚園連合会は偽造された通帳などをすでに入手していて、現在、詳しい経緯について内部調査を進めているということです。

全日本私立幼稚園連合会 香川前会長とは

香川敬 前会長は、山口県防府市で幼稚園を運営する学校法人の理事長で、平成22年5月に「全日本私立幼稚園連合会」の会長に就任し、去年11月に辞任するまで5期10年以上にわたって会長を務めました。

平成26年7月からは警察を管理する山口県公安委員会の委員を現在まで3期務めているほか、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の顧問も務めています。

香川前会長は、使途不明金の問題を指摘され、去年11月27日に幼稚園連合会の会長を辞任していますが、その6日後の去年12月3日には学校教育の振興に特に功績があったとして文部科学大臣の表彰を受けています。