除染土など中間貯蔵施設に
予定量の75%搬入

東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性物質で汚染された土などを保管する中間貯蔵施設には、先月末までに搬入予定量の75%が福島県内各地から運ばれました。
一方、最終処分する場所や方法は議論が進まず、課題は残されたままです。

福島県で行われた除染事業で発生した土や草木などの廃棄物は、原発周辺の帰還困難区域を除いて、東京ドーム11杯分に相当するおよそ1400万立方メートルが発生すると推計されています。

これらは福島第一原発周辺に整備された中間貯蔵施設に運ばれることになっていて、環境省によりますと、先月末までに予定量の75%にあたる1048万立方メートルが搬入されたということです。

環境省は残りの搬入を来年3月までにほぼ完了させるとしていて、6年前の2015年3月に始まった県内各地からの運搬作業は終盤に入っています。

一方、法律では中間貯蔵施設で保管したあと、2045年までに福島県外で最終処分すると定められていますが、最終処分する場所や方法の議論はほとんど進んでいません。

環境省は最終処分の量を減らすため、汚染の程度が一定の基準を下回った土などを公共工事などで再生利用する計画で、来年度から全国各地で対話集会を開き、再生利用の必要性などを説明することにしています。

福島以外7県 汚染土など33万立方メートル

除染は、福島県以外では岩手、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉、埼玉の7つの県でも行われ、放射性物質で汚染された土などは、合わせておよそ33万立方メートル発生したということです。

去年3月現在では、宅地や農地などおよそ2万9000か所で保管されていて、この7つの県では中間貯蔵施設が整備された福島のようには集約は進んでいません。

また、処分方法も決まっていません。

処分方法を決める環境省は、茨城県東海村や栃木県那須町で埋め立て処分したときの影響を調べる実証事業を行うなど検討を進めています。

このほか、放射性物質に汚染された下水の汚泥や稲わらなども福島県以外の9つの都県で2万7000トン余りが発生していて、こちらも各地で保管が続いています。