鳥インフル殺処分1シーズン
高病原性では過去最多に

先月以降、香川県や宮崎県など4つの県の養鶏場で鳥インフルエンザの発生が相次いでいます。殺処分されたのは1か月間でおよそ200万羽となり、1つのシーズンに致死率の高い高病原性の鳥インフルエンザで殺処分された数としてはこれまでで最多となり、異例の事態になっています。

鳥インフルエンザは今シーズン、先月5日に香川県三豊市の養鶏場で高病原性の「H5N8型」のウイルスが検出されて以降、福岡県、兵庫県、宮崎県の合わせて4つの県の15の養鶏場で検出されています。

農林水産省によりますと、殺処分されたのは、4日まででおよそ200万羽となりました。

これまで高いレベルでの警戒が求められる高病原性の鳥インフルエンザで殺処分が最も多かったのは、2010年から翌年にかけて、宮崎県や三重県など9つの県で相次いだ際のおよそ183万羽で、今シーズンは1か月間でこれを上回り、異例の事態となっています。

低病原性の鳥インフルエンザで、殺処分が最も多かったのは2005年から翌年にかけて茨城県と埼玉県で相次いだ際のおよそ578万羽となっています。

現地調査を行った専門家チームは、従業員や車両の消毒、それに野生動物が侵入する隙間を塞ぐなど、衛生管理基準が守られていないケースが多いと指摘しています。

鳥インフルエンザに詳しい北海道大学の迫田義博教授は「来年3月ごろまでは警戒が必要だ。感染防止には衛生管理の徹底しかなく、危機感を持って取り組むべきだ」と話しています。

野上農相「大変厳しい状況 警戒強化を」

野上農林水産大臣は、4日の閣議の後の記者会見で「国内で鳥インフルエンザの発生が79年ぶりに確認された平成15年度以来、このシーズンの処分数は最多となり大変厳しい状況が続いている」と述べました。

そのうえで「全国どこででも発生するリスクがあるという現状認識のもとで警戒を強めて、より一層高い緊張感をもって対応していく必要がある」と述べ、衛生管理の徹底など警戒を強化する必要性を強調しました。