有者不明土地 10年
経過すれば分割可能に

所有者が分からないまま放置されている土地の問題を解決するため、法制審議会の部会は相続する際の登記の義務化や、遺産分割の手続きがなく10年が経過すれば、法定相続分に応じて分割できるようにするなどとした中間試案をまとめることにしています。

所有者が分からないまま放置されている「所有者不明土地」をめぐる問題の解決に向けて、法務省は、民法や不動産登記法などの見直しを法制審議会に諮問しています。

これを受けて法制審議会の部会は中間試案で、土地を相続する際の登記を義務化し、一定の期間内に登記を申請しなければ、過料に処すことを盛り込む方向で検討しています。

また、相続の開始から遺産分割の手続きの申し立てなどがなく10年が経過すれば、法定相続分の割合に応じて分割できるようにすることを検討しています。

さらに、権利の帰属に争いがなく、管理が容易であることなどの要件を満たす場合は、土地の所有権を放棄できるようにすることなども盛り込む方針です。

法制審議会の部会は来月、中間試案を取りまとめたうえで、パブリックコメントで意見を募ることにしており、法務省は、法制審議会の答申を受けて、必要な法律の改正案の国会提出を目指すことにしています。

相続時 自治体への届け出を義務化へ

政府・与党は、土地を相続した人に、登記とは別に、自治体への届け出を義務づける制度を新たに設ける方向で調整に入りました。

土地の相続の際に、登記などの手続きが行われずに、所有者が分からなくなるケースが増えていて、所有者を探すのに膨大な手間がかかり、各地で問題になっています。

政府・与党は、所有者不明の土地を減らし、固定資産税を適正に課税するため、地方税法を改正して、土地を相続した人に、登記とは別に、自治体への届け出を義務づける制度を新たに設ける方向で調整に入りました。

制度は、各自治体が個別に判断し、条例で導入することが検討されています。

また、調査を尽くしても所有者が見つからない場合には、土地を使用している人を所有者と見なして課税できるようにする方向で、来年度の税制改正に向けて、調整が本格化する見通しです。