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水害の教訓生かす 防災士による「地域防災」 妙高市和田地区

新潟 シリーズ「水害に備える」④
  • 2023年06月12日

シリーズ「水害に備える」。
4回目のテーマは「地域防災」です。平成7年7月に発生したいわゆる「7・11水害」など水害がたびたび起こってきた妙高市和田地区で活動する防災士の取り組みを取材しました。
(上越支局 記者 阪本周悠)

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水害の被害 目の当たりにして

妙高市和田地区に住む砂山幸夫さん。防災士として活動しています。

東を関川、西を矢代川に挟まれることから水害の被害にたびたび見舞われてきた和田地区。
平成25年9月には矢代川の堤防が決壊し、地区の一部に水が押し寄せました。

平成25年に破堤した現場

砂山さんはこの時、避難所の運営をスムーズに行うためには防災士たちの連携の大切さを感じたといいます。

和田地区には6地区あるんですよ。しかし各地区で防災士として働く方がおられたとしても、それは「点」でしかないんですね。防災士どうしが連携し、「点」から「線に」向かって、もしくは「面」に向かっていかないと力を発揮できない。各地区でいる人数で何ができるかと言ったらなかなか難しい。

防災士の連携 「防災・減災」の鍵に

一定の期間、身を寄せる避難所として妙高市が指定しているのは和田地区では小学校1つだけ。
それだけに、地区に合わせて6つある町内会が連携して災害に備えたり、対応したりする必要があると考え、「防災士の会」の結成を呼びかけたのです。

和田地区 防災士の会

毎年1回の総会と不定期の研修では災害時を想定してコメを湯せんで調理する方法を学んだり、小学校への避難方法などについて意見を交わしたりしているということです。

そうした積み重ねが生かされたのは4年前、新潟県が台風19号による大雨に見舞われた時でした。

和田地区全体に初めて避難指示が出されて避難所が開設されると、砂山さんの呼びかけに応じて防災士が集まり、最大260人の住民が集まった避難所の運営をスムーズにできたといいます。

水害の歴史 地域の特徴 知らない住民も

しかし課題はあるとも話します。

和田地区の1つ、柳井田町では住宅地の開発によって移り住む人が増え、水害の多い地域の特徴を知らない人も増えているといいます。

防災士 砂山さん
昭和50年のはじめ頃は柳井田町には74~75戸あったんですね。それがいまは250戸に。3分の2は別の場所から来た人たちなんです。そういう方々も含めてこれからの地域を守り、もちろん自分の命を守り、幸せを守っていかなきゃいけないわけですから、過去の水害や、備えなどについてどう伝えるかということが一番課題になっています。

子どもたちに伝える

そこで砂山さんは、子どもたちの防災教育に力を入れています。

毎年、地元の小学校を訪れ、水害の歴史や地域で防災に取り組む大切さを伝えています。

毎年やっていけばそれが財産になるんだろうと思うんです。子どもたちは大人になってこれからの地域を作っていくわけですから。その人たちの力も含めて、地域を守るときに必要になってくる。許される限り、力を注げればいいなと思っています

私たちがいま出来る備えは

砂山さんは今、妙高市防災士会の会長を務めていて、水害が頻繁に起きる和田地区の経験を市全域の防災力の向上につなげていきたいとしています。

砂山さんが課題に挙げていたように、自身と大切な人を守るには住む地域で起きやすい水害の種類やリスクをハザードマップなどを使って知っておくことが欠かせません。そして、過去の水害について調べたり、実際に地域を歩いて地形を確認したりすることで日頃の備えがいっそう深まると取材を通じて強く感じました。

  •  阪本周悠

    新潟放送局 記者

     阪本周悠

    2021年入局。
    主に上越地域を担当。 

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