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都市部の大雨 新潟市は「内水氾濫」に注意

新潟 シリーズ 「水害に備える」③
  • 2023年05月31日

これから梅雨の時期を迎え大雨による災害への早めの備えが必要です。シリーズ「水害に備える」の3回目は都市部で警戒すべき「内水氾濫」。私たちはどう備えたらよいのでしょうか。           (新潟放送局 記者 猪飼蒼梧) 

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都市部では『内水氾濫』に注意

新潟市など舗装された道路や歩道などが多い場所で短時間に激しい雨が降ると、下水道などの排水機能が追いつかなくなり、地上に水があふれ出します。このような現象は「内水氾濫」と呼ばれています。

村上市や関川村などに大きな被害をもたらした記録的な大雨が降った2022年8月の、新潟市内の様子です。マンホールからは水があふれ出し、歩道も水につかっています。この雨で新潟市内でも合わせて125棟の住宅が浸水被害を受けました。

新潟市は内水氾濫が起きやすい?

新潟市中央区の表示

新潟平野が広がり、土地の標高が低いことで知られている新潟市。
市内全域のおよそ3割が海抜ゼロメートル地帯となっています。
新潟大学の卜部厚志教授は土地が低い新潟市では、内水氾濫がより起こりやすいと指摘しています。

新潟大学 災害・復興科学研究所
卜部厚志 教授

卜部教授
土地が低いので新潟市の真上に雨が降ると、ポンプで排水をしなければならないのですが、1時間に100ミリ以上の雨となると、やはり排水が間に合わないので、土地の低いところからどんどん水がたまってくる、そういった内水氾濫が新潟市の水害としては一番の懸念材料になります。

さらに近年は発達した積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」など、局地的に集中して大雨が降る傾向が強いことを踏まえ、よりいっそうの注意が必要だとしています

卜部教授
最近は線状降水帯が強烈なので、1時間に100ミリとか120ミリの雨が降ることが増えていますが、それが2時間3時間と続いた場合には水がはけきれなくなってきて低い所から水がたまっていくことになる

新潟市の排水機能は記録的な大雨に対応できるのか

2022年8月の大雨で新潟市では1時間あたりの雨量が、120ミリを超えて過去最高となった地点もありました。

新潟市内の排水ポンプ場

新潟市の雨水の排水はポンプ場が大きな役割を果たしていますが、市によりますと問題なく排水できるのは1時間に50ミリ程度だということです。
市内にはこうしたポンプ場が30あるということですが、増設するには時間と費用がかかるため、
現状では集中的に雨が降ると予想される場所に対して応急的な工事をして対応するとしています。
その”許容量”を越える非常に激しい雨が降った場合には内水氾濫が発生するおそれがあります。

私たちはどう備えればよいのか

卜部教授に尋ねたところ、まずは自分の生活圏内でどこが浸水しやすいのかを把握することが重要だといいます。

卜部教授
自分のお住まいのところの標高の高さを自治体や国土地理院のホームページで確認いただくこと、そして過去の水害のときの経験を参考にしてほしい。「あのとき水がたまったよね」と思う場所はまたたまると思ってほしい
人は膝丈の水位でも溺れてしまう可能性があり、命がかかってきますのでどこが水がたまりやすいのかを知っていただくこと、たまっている水の中は歩かないということをもう1回徹底して心に留めておいていただきたい

卜部教授があげた対策についてまとめました。

▼まずは生活圏内でどこが浸水しやすいのかを把握すること。

▼集中して雨が降ることが予想されるときなどは
雨雲の位置などこまめに情報をチェックすること。

最後に▼水位が上がったらむやみに外にでない。

命を守るために

大雨による災害は事前に情報を得ることで、確実に命を守るための手立てを講じることができます。
早めの行動を心がけてください。
そして内水氾濫が起きてしまった場合は、膝くらいの水位でも人は溺れてしまう可能性があります。身の危険を感じたら、低い場所を避け、すぐに身を守る行動を取ってください。

  • 猪飼 蒼梧

    新潟放送局 記者

    猪飼 蒼梧

    平成31年入局。
    新潟局が初任地で5年目。
    新潟市政、スポーツなどを担当。

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