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KYジャーナル「男女共同参画のカギは“男性活躍”!?」

  • 2023年07月20日

あえて空気を読まず、ズバッと解説、山本恵子解説委員(Keiko Yamamoto)の「KYジャーナル」。
今回のテーマは「ジェンダーギャップ指数125位」です。

6月、経済や政治参加などの、男女間の格差を調べた、世界各国の「ジェンダーギャップ指数」の2023年版が発表されました。
右側の数字が、1に近いほど、男女の格差が小さいということです。
調査した146か国のうち、
▼1位は14年連続でアイスランド。
▼2位がノルウェー。
▼3位がフィンランドと北欧の国々が上位を占めたほか、
▼4位はニュージーランド。
▼5位スウェーデンとなっています。

そして、日本はというと・・・。
146か国中125位。去年の116位からさらに後退しました。

日本は、政治参加、経済の分野で男女の格差が大きいのが原因です。

125位の背景には何が?

こうした現状について、ことしの『男女共同参画白書』で小倉男女共同参画担当大臣は「我が国の男女共同参画・女性活躍は、国際的に見れば、未だ立ち遅れており、取組は道半ば」だとの認識を示しています。

そして、こうした現状の背景には、「家事・育児等の無償労働時間の女性への偏りや長時間労働を前提とした労働慣行、固定的な性別役割分担意識といった、日々の生活や意識に根ざした構造的な問題がある」と分析しています。

その上で、解決に重要なのが、家庭や地域での「男性活躍」だと指摘しているんです。

カギは男性活躍!

これまでは、女性が仕事で活躍できるように、両立支援などの取り組みが進められてきました。しかし、それだけではダメで、男性が家庭・地域で活躍できる「男性活躍」を進めることが「男女共同参画社会」実現のカギだとしています。

こちらが、ことしの『男女共同参画白書』です。
この中には、”男性活躍”を進めなくてはならないことを裏付ける、若い世代の意識の変化を示すデータが示されていますので、見てみましょう。

仕事時間を減らし、家事育児時間増やしたい男性

子どものいる20代と30代の男女に、生活時間の使い方の希望を聞いた結果です。

「仕事時間」の増減希望について見てみると、女性は「減らしたい」が23.2%、「増やしたい」は28.6%でした。
男性は、「減らしたい」が34.1%で、「増やしたい」16.6%の2倍です。

一方、「家事・育児時間」は女性の33.5%が「減らしたい」、「増やしたい」は14.4%だったのに対して、男性は「減らしたい」が14.1%、「増やしたい」は倍近くの27.7%でした。

若い世代の男性が家事・育児への参画意欲が強いことがわかりました。また、特に、仕事の時間を「減らしたい」意向が強くなっていて、家事・育児に参加したくても、労働時間が長いことが阻んでいると分析されています。

勤務時間を減らしにくい理由は

また、勤務時間を減らしにくい理由も調査しています。

上が20代と30代の男性、下が40代から60代の男性です。
いずれの世代も、
▼「仕事量が多く、仕事・業務が終わらない」、
▼「職場の人手不足」が多いですが、
20代と30代の男性が、他の年代と比べて多かったのは、
▼「残業する人を評価する風潮がある」、
▼「周囲が家族より仕事を優先すべきと考えている」、
▼「将来的に昇進・昇格がしにくくなる」でした。

長時間労働したくないと思っているけれど、せざるを得ない状況があることが、日本の男女の家事・育児時間の差にもつながっています。

こちらをご覧ください。

一日当たりの、仕事と家事・育児時間の1週間の平均を男女別に示したグラフです。
有償労働時間・仕事が緑、無償労働の家事・育児時間がオレンジ色です。

日本を見てみますと、男性は家事・育児時間は41分で、それに対して女性は224分と、5倍以上になっています。

一方、ジェンダーギャップ指数が上位の、ノルウェーやスウェーデンは、家事・育児時間の男女差が小さいのがわかります。

「昭和モデル」から「令和モデル」に

白書は「男性は仕事、女性は家庭」という「昭和モデル」の社会から、誰もが家庭でも仕事でも活躍できる「令和モデル」に切り替えるべきだ、と締めくくっています。

ヤマケイのひと言

男性も家事・育児で活躍できる社会に!

ここ、愛知県は、都道府県別のジェンダーギャップ指数の調査で、家事・育児にかける時間の男女格差が全国47都道府県のうち31位となっていて、格差がやや大きい県でもあります。
今こそ、国も、自治体も、企業も、男性が家庭で、地域で活躍できるように、真剣に取り組んでほしいと思います。

  • 山本恵子解説委員

    NHK名古屋放送局 報道部 副部長

    山本恵子解説委員

    愛知県出身。1995年入局。金沢局を経て社会部で教育、女性活躍、働き方改革などを中心に取材後、名古屋局で赤ちゃん縁組や里親について取材。国際放送局World News部を経て2019年再び名古屋局。「子ども子育て応援プロジェクト#わたしにできること~未来へ1歩~」スタート。2021年より解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)を兼務。高校生の娘の母。

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