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KYジャーナル「敷金トラブルにご用心!」

  • 2023年05月01日

あえて空気を読まず、働く女性の視点から
社会に切り込む、山本恵子解説委員(Keiko Yamamoto)の「KYジャーナル」。
今回は、引っ越しシーズンに多くなる「敷金トラブル」についてです。

春は引っ越しシーズン。進学や就職で、マンションやアパートを借りて生活を始めたという方もいると思います。私もこの春、引っ越ししたんですが、住んでいたマンションを退去する際に、入居時支払った敷金の精算で、納得できないことがあり、調べたところ、事前に「知っていればよかった!」と思うことがあったので、お伝えしたいと思います。

そもそも敷金とは?

そもそも「敷金」というのは何かというと、家賃の滞納や原状回復などの費用に充てるために、あらかじめ、大家さんに渡すお金のことで、通常は、退去するときに、原状回復の費用が差し引かれて返ってきます。

敷金でどんなトラブルが?

この敷金で、どんなトラブルが起きているかといいますと、例えば、賃貸物件を退去した際に、「ハウスクリーニング代やクロスの張り替えなどで、敷金が返金されない」とか「敷金以上の費用を請求された」というものです。

鍵は「原状回復」

なぜ、こんなトラブルが起きるのかというと、鍵となるのがこの「原状回復」。
退去するときに、借りた人は、原状回復を行う義務がありますが、どの程度まで戻す必要があるのか、という点で、トラブルになるんです。

「原状回復」めぐる相談は年間1万件以上

国民生活センターによりますと、この原状回復について、毎年1万件を超える相談があり、トラブルが多いので、ことし2月にも注意を呼びかけています。

そのチラシには、原状回復の一般的なルールとして「借主は賃貸物件の原状回復の義務を負う」とありますが、賃貸物件の原状回復とは、「借りた当時の状態に戻す」ということではありません。
日常の暮らしでできる傷み「通常損耗」や、時間がたつことによる「経年変化」については、原状回復の義務に含まれないんです。
ただ、そうした範囲を超えて、故意や不注意でつけた傷や汚れなどは借主の責任になります。

国土交通省は、大家さんと借主、どちらが原状回復費用を負担すべきかについて一定の基準を示した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を出していて、そこには、具体的な例も書かれています。

原状回復費用、どちらが負担?

例えば、壁の冷蔵庫の後ろにできる黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)や家具による床、カーペットのへこみ、壁に貼ったポスターや絵画の跡などは「通常損耗」、普通に使っていて生じた傷や汚れなので、修繕は大家さんの責任です。

一方で、借主の責任となるのは、例えば、壁の落書きやタバコなどのヤニの汚れ。ペットによる汚れや傷などです。これは、借りた人の故意や不注意が原因なので、借主が修繕する必要があります。

ただ、どこまでが、「普通に使っていて生じた傷や汚れなのか」判断が難しいので、どちらの負担となるのか、トラブルが多いんです。

敷金問題に詳しい石原総合法律事務所の築山健一弁護士に聞きました。

「通常損耗、経年劣化と言えるかどうかの判断は、通常の住まい方、使い方によって当該損傷が生じたといえるかどうかという評価になってきますから、明確に線引きをするのが難しいということがあげられます。社会常識や過去の裁判例に照らして判断していかざるを得ないので、事前にトラブルになることを防ぐということが大切になると思います」

事前にトラブルにならない方法とは?

どうしたら事前にトラブルを防ぐことができるのかについても築山弁護士に聞きました。

まずは「契約書の内容をよく読むこと」です。その際、「特約」をしっかり確認することが重要です。例えば、国土交通省のガイドラインでは、専門業者によるハウスクリーニングは、借りた人が通常の掃除をしている場合は、大家さんの負担とされていますが「ハウスクリーニング費用は借主負担」などが特約として定められていることもあるので、それを理解した上で、物件を借りるかどうか判断を。

続いて、「入居時、賃貸物件の傷などを記録しておく」こと。不動産屋さんからチェックリストを渡される場合もありますが、壁の汚れや床の傷などがある場合は、チェックリストに記入し、できれば、その写真を撮っておく。いちいち撮るのが大変な場合は、動画を撮影しておくという方法も。「これだけ大きな傷であれば書かなくても大家さんはわかっているはず」などと自分で判断せず、きちんと原状を記録しておくこと。

そして退去時は、精算内容をよく確認し、納得できない点は説明を求めること。

ヤマケイのひと言

大家さん・借主 どちらも
納得して退去できるよう、備えを!

国土交通省のガイドラインを知っておく、入居時にお互いが原状を確認しておくと、借りた側、貸した側、両方が気持ちよく退去できると思います。

もし困ったら?

もし、わからないことやトラブルになってしまった場合は消費者ホットライン「188(いやや)」まで相談してください。

  • 山本恵子解説委員

    NHK名古屋放送局 報道部 副部長

    山本恵子解説委員

    愛知県出身。1995年入局。金沢局を経て社会部で教育、女性活躍、働き方改革などを中心に取材後、名古屋局で赤ちゃん縁組や里親について取材。国際放送局World News部を経て2019年再び名古屋局。「子ども子育て応援プロジェクト#わたしにできること~未来へ1歩~」スタート。2021年より解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)を兼務。高校生の娘の母。

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