KYジャーナル「愛知県のジェンダーギャップは?」
- 2023年04月14日
あえて空気を読まず、働く女性の視点から
社会に切り込む、山本恵子解説委員(Keiko Yamamoto)の「KYジャーナル」。
今回は「愛知県のジェンダー格差」がテーマです。
3月8日の「国際女性デー」に合わせて、ことしの都道府県別のジェンダーギャップ指数が発表されました。
「ジェンダーギャップ指数」というのは、男女の格差を示すもので、世界経済フォーラムが、毎年、格差が小さい国からの順位を発表しています。日本は、去年は146カ国中116位と、先進国の中で最低レベル、男女の格差が大きい、という結果でした。
この、ジェンダーギャップ指数を去年から、都道府県ごとに、上智大学の三浦まり教授らでつくる「地域からジェンダー平等委員会」が公表しています。
「政治」「行政」「教育」「経済」の4つの分野について、公表されている、ことし1月現在の指標を使って分析しています。
愛知県の4分野の順位は?
愛知県の順位はどうだったのか見てみましょう。
政治23位(去年23位)行政24位(去年30位)教育19位(去年24位)経済41位(去年37位)となっています。
それそれの分野は、6から10の指標から算出されています。
注目すべきものを見ていきましょう。
【行政】
行政は、県や市町村の管理職や審議会、防災会議の女性の割合など、10の指標が使われています。
去年、愛知県は、防災会議の女性の割合が69人中4人で45位でしたが、今年は69人中7人とわずかに増え、順位も40位になりましたが、まだまだ少ないのが現状です。
愛知県に取材したところ、7人の女性委員のうち1人が転勤してしまったため、今は6人ということですが、「避難所の運営など、災害対策を決定する防災会議に女性がいることが重要なので、今後も女性の委員を増やしていきたい」と話しています。
こうしてデータとして、女性の割合や順位が公表されることで、自治体ごとの課題が可視化され、意識して増やす取り組みが進むことは、都道府県別ジェンダーギャップ指数公表の目的でもあります。
【経済】
そして、今回注目したいのが、経済です。
経済は、▼フルタイムの仕事に従事する割合と賃金格差、▼家事・育児・介護などに使用する時間の男女格差、▼企業の女性役員・管理職の割合など、7つの指標が使われています。
愛知県で、男女の差が特に大きかったのは
▼フルタイムの仕事に従事する割合、男性85.9%に比べ、女性は50.1%と全国44位でした。
さらに、フルタイムの男女の1か月の賃金をみてみますと、男性が34万6400円なのに対し、女性は24万7900円と45位でした。
愛知県の男性の賃金は、東京、神奈川、大阪に次いで高く、そのため、女性は専業主婦やパートという人が多い、というのが愛知県の特徴だと言えます。
今回の調査を行った上智大学の三浦まり教授は、
「愛知県は製造業が多く、男性が稼げる仕事が多いため、男は仕事、女は家事・育児という昭和モデルが残っているのではないか」と指摘しています。
そこで、見ていただきたいのが、こちらのデータです。
愛知県の大学進学率は、男性が57.70%、女性が52.97%と全国14位。
男女差が比較的小さいんです。
このことから、三浦教授は次のように話しています。
「女性の大学進学率は高いので、女性が正社員として働き続けられる環境づくりと賃金格差をなくしていくことが重要だ」。
愛知県は大学卒業後の20代の女性の首都圏への流出が課題となっています。
ヤマケイのひと言
「性別問わず、活躍できる愛知県に!」。
人の意識も、家族の姿も、生き方も、働き方も多様になっています。
ぜひ、今回のデータを活用してほしいと思います。