長崎の天気2023 斎藤綾乃・木花牧雄 気象予報士2人が語る一年
- 2023年12月26日
2023年もまもなく終わり。様々なことを振り返りたくなる年末のこの時期。長崎県のこの一年の天気を振り返ってみませんか?「ぎゅっと!長崎」の2人の気象予報士がこの一年の長崎の天気を語ります。
NHK長崎放送局アナウンサー・気象予報士 木花牧雄
ぎゅっと!長崎・気象予報士 斎藤綾乃
「長崎ことしの天気」一字で表すと?
まずは「ぎゅっと!長崎」のキャスターたちも加わって、それぞれが思う「この一年の長崎の天気を表す漢字」を書いてみました👇
それぞれどんな思いから選んだのでしょうか?
まず私から。2023年7月には8日連続で熱中症警戒アラートが発表されました。ニュースでも毎日のように熱中症への警戒を呼びかけていました。そんな私もことし初めて熱中症のような症状が出ました。来年も気を付けないといけませんね・・・。自戒の意味も込めて「熱」にしました。
熱中症警戒アラートは、そのまま8月もしばらく出続けましたよね。私も似たような漢字ですが「暑」にしました。この後、綾乃さんとも話しますが、記録を更新するような気温もありました。「季節外れの」という気温もあり、様々な季節で「暑さ」を感じた一年という印象です。
私も暑さは印象に残っていますね。今年は厳しい残暑になりましたが、そこから「一転」、ぐっと気温が下がりましたね。急な気温の変化を示したいと思って「転」を選びました!
みなさんいろいろですね。私は「長」です。ことしは、まず梅雨の期間が長かったですね。5月29日の梅雨入りから7月25日の梅雨明けまで57日間。平年より13日間、約2週間も長い梅雨となりました。
そして梅雨明け後からの夏が長かった!長崎市でいうと、最高気温30度以上の真夏日の日数は75日。平年の57.5日の1.3倍と夏が長く感じられました。さらに最低気温25度以上の熱帯夜の日数は59日。平年の38.3日の約1.5倍でした。梅雨と夏が「長く」、秋が短く感じられた年になりましたよね。
気象予報士2人が振り返る長崎の天気
ことし一年「ぎゅっと!長崎」の中で、長崎県の日々の気象情報に加え、防災情報から季節の話題まで幅広くお伝えしてきた「天気あれこれ」。
ここからは、天気あれこれを担当する斎藤綾乃さんと木花牧雄アナウンサーの気象予報士2人で、2023年の長崎の天気を振り返っていきます。まずは、ことし記録を更新した「気温」についてです。
まずは「夏日」から。統計を取り始めてから最も早い「夏日」が長崎市と島原市で観測されました。3月22日のことです。島原市で25.6℃。長崎市で25.1℃でした。
県内が高気圧に覆われたことに加えて、暖かい空気が山から吹き下ろす「フェーン現象」も重なって各地で気温が高くなりましたね。各地でおおむね5月下旬ごろの陽気でしたね。
2か月先の陽気では、汗ばむはずです…。体がなかなか季節に追い付かない感じがしましたね。
夏日といえば、長崎県の方は記憶に新しい方もいるのではないでしょうか?12月15日には、島原市で12月としては県内での観測史上最も高い25.2℃を観測しましたよね。12月で夏日とは…。
南から暖かく湿った空気が流れ込んだ影響ですね。県内で12月に25℃を超えたのも初めてのことでした。12月15日は18か所ある観測地点のうち17か所で最高気温が20℃を超えています。
とはいうものの12月です。2日後には一転して強い寒気が流れ込み、この冬県内で初めて最低気温が0℃未満の気温(冬日)を観測し、長崎市では初雪となりました。まさに長瀬アナウンサーが書いた一字「転」の天気ですね。
そうですよね。夏日といえば、長崎市では年間149日ありました。これは観測史上4位タイです。
そして35℃以上の「猛暑日」です。夏もやっぱり暑かった…。佐世保市では8月6日に38.1℃という佐世保市での観測史上1位の気温も観測。この日は、最低気温も29.8℃と、佐世保市で最も高い最低気温となりました。
さらに、8月5日は38℃ちょうどで観測史上2位の気温。この2日間、佐世保は暑かった…。
そして、壱岐市の芦辺でも、観測史上1位・2位・5位・8位の記録が今年の8月で出ています。
記録更新の連続ですね。離島も暑かった…。データを見ると、まだまだ記録的な数値が他にもありますよね。
本当にそうですよね。
まとめてみると、35℃以上の猛暑日は長崎市で年間8日ありました。これは、観測史上2位タイの記録です。
そして、夜も暑かった記憶がある方も多いのではないでしょうか?
寝苦しい夜が多かった印象です…。エアコンを頻繁に使っていましたよ。
長崎市は最低気温が25℃以上の日数がなんと59日!観測史上最多となりました。各地で平年を大幅に上回る日数となりました。
雨でも記録が更新される一年に
毎年のように警戒が必要な「大雨」。ことしも過去の記録を更新するような雨が降りました。9月には「線状降水帯」が2日連続で発生して大雨になりました。
9月14日。長崎県の南部で線状降水帯が発生しました。長崎市の長浦岳では午前5時54分までの1時間に、9月としては観測史上最も多い71.5ミリの雨を観測しています。
長浦岳といいますと、気象庁の観測史上1位の1時間雨量「153ミリ」のところですよね。これは1982年7月23日の長崎大水害で観測された値ですが👇
そうそう。その長浦岳の9月の1時間雨量の記録が更新されたということですね。
そして次の日の9月15日。今度は長崎県の北部で線状降水帯が発生しました。松浦市では午前10時23分までの1時間に、観測史上最も多い84ミリの雨を観測しました。
線状降水帯が2日連続で県内に発生したわけですが、発生した際の注意点は?
線状降水帯が発生して、「顕著な大雨に関する情報」が発表されると、同じ場所で非常に激しい雨が降り続いていることになります。また、「記録的短時間大雨情報」が数回発表されるような状況では、災害が発生する危険度が高まっているので、最新の情報に注意が必要です。
2023年 長崎の季節の便り
「天気あれこれ」の中では、長崎地方気象台などが発表する季節の便りも紹介してきました。ことしはどんな年だったのか一部を見ていきましょう。
長崎の季節の便り
〇サクラの開花 3月21日(平年より2日早い)
〇アジサイの開花 6月5日 (平年より1日早い)
〇梅雨入り(九州北部地方)5月29日ごろ
(平年より6日早い)
〇梅雨明け(九州北部地方)7月25日ごろ
(平年より6日遅い)
〇ススキの開花 10月5日
(平年より6日遅い)
〇イロハカエデの紅葉 発表無し
落葉 12月22日
(平年より1日遅い)
〇イチョウの黄葉 12月8日
(平年より3日遅い)
落葉 12月12日
(平年より3日早い)
〇初雪 12月17日(平年より6日遅い)
〇初氷 12月22日(平年より2日遅い)
生物季節観測を見ると、平年よりも遅い開花や紅葉となっていて、夏が長かったことが感じられますね。一方で、サクラの開花は平年並みで、冬はしっかり冷えたことがわかります。気温のふり幅が大きくなっているように感じられます。
そうですよね。2024年は季節の便りがいつ届くのか。引き続き注目していきたいですね。
2023年 台風はどうだったのか?
さて2023年を思い返してみると、台風が少ない年でしたよね?
12月26日現在で、2023年は17個の台風が発生しています。発生個数としては歴代3位の少なさとなっています👇
なかでも、台風の発生数の多い9月には2個しか発生せず、観測史上最少タイとなっています👇
エルニーニョ現象の影響で、台風の発生する場所がフィリピンの東よりも、南東にずれたため、少なくなったと考えられます。
2024年のスタートはどんな天候に?
この先についてですが、2024年のスタートでもある冬の間はどのような天候になりそうですか?
この冬はエルニーニョ現象が続くため暖冬傾向です。ただ、急に強い寒気が流れ込む場合があるので、気温の変化の大きい冬になりそうです。体調管理には注意が必要ですね。
エルニーニョ現象の影響を、長崎県もしばらくは受け続けるということですね。「ぎゅっと!長崎」の「天気あれこれ」の中でも寒暖差に注意してお伝えしていきましょう!
ここ数年と同様、2023年も記録的な「暑さ」「大雨」が特に印象に残りました。いずれも命の危険が伴うものです。穏やかな気温・雨となることを期待しつつ、命を守るために「ぎゅっと!長崎」の中で気象情報を詳しくお伝えしていきます。来年もよろしくお願いします。