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長崎・松浦高校「まつナビ」~地域課題に立ち向かえ~

帰ってきた!ながさき跳町発市
  • 2023年12月12日

 

高校生、先生、地元の方、総勢40人が出演

NHK長崎開局90年の今年、全21市町を巡り、その魅力を中継でお伝えするコーナー「帰ってきた!ながさき跳町発市」。20回目は松浦市を訪ねました。松浦高校で行われている、全国でもユニークな授業、その名も「まつナビ」。生徒たちが地域と向き合い、地域の課題に立ち向かう取り組みと皆さんの思いを取材しました。

NHK長崎放送局アナウンサー 川崎寛司

松浦市唯一の高校 松浦高校

松浦市は玄界灘に面し、佐賀県との県境にあります。アジの水揚げ量日本一で、通称「アジフライの聖地」。そんな松浦市にただ1つある高校が県立松浦高校です。

松浦市はアジの水揚げ量 日本一!

全国でもユニークな授業「まつナビ」

 

1~3年生が迎えてくれました

松浦高校で取り組んでいる授業が「まつナビ・プロジェクト(以下『まつナビ』)」。生徒数が減る中、特色ある学校にして生徒に通ってもらいたいと平成29年度から始まりました。文部科学省の委託事業にも選ばれ、昨年度できた「地域科学科」でも行われています。松浦市の課題を学び、取り組みたい課題やテーマを決め、フィールドワークで解決策を探り、2年生の秋には、課題の解決策を市長の前で発表・提言します。

今年10月、2年生の全12チームから選ばれた5チームが市長の前で発表を行いました。中継ではその5チームに、取り組んだテーマや課題についてインタビューしました。

 

①人口減少対策
 「松浦名物ガチャポン」

最初のチームのテーマは「松浦名物ガチャポン」。

このカプセルトイを回して出てきたのは、松浦名物アジフライのキーホルダーです。

レバーを回すと・・
松浦名物アジフライの“手作り”キーホルダー

人口減少が進む中、少しでも松浦の名物を知ってもらいたいと、キーホルダーを手作り。生徒は「今後、駅や市役所など人が集まるところで販売したい」と話していました。

 

②知名度を上げろ
 「HAPPY菓子改革」

次のチームのテーマは「HAPPY菓子改革」。

お菓子で市民に幸せな気持ちになってもらおうと作ったのが「はぴ姫さん」。市内のお菓子屋と共同開発しました。

「はぴ姫さん」

アーモンドの生地にバターイチゴクリームをサンド。イチゴは松浦市の特産で生徒たちが提案しました。サクッとしながらも、ふわっとした食感が特徴です。

イチゴ味

イチゴを使った理由は、近隣の小中学校と市役所を訪問し、500人以上から『食べたいお菓子』『あったら良いと思うお菓子』をアンケートし、1位が松浦のフルーツアイスだったこと。アイスは保存が難しいので、イチゴを使ったお菓子を作ろうと提案しました。

生徒たちが500人以上に行ったアンケート

 

③民話を生かし連携を!
「小さなカッパ石になるべく」

このグループは「小さなカッパ石になるべく」。

カッパ石とは、松浦の青島を舞台にした民話「長者と河太郎」に登場する石。島を見守り、皆の懸け橋になっている物語です。そのカッパ石のように市民の懸け橋になるべく作ったのが、このTシャツ。カッパと人が手を取り合っている様子をデザイナーに提案して作りました。

カッパと人間が手を取り合っているデザイン

このTシャツを企業や団体などが着て、横の連携を作りたいとのこと。今、8件の企業などに協賛の内諾を頂き、発表会では市長にふるさと納税返礼品にと提案しました。

 

④SDGs達成へ
 「ゴミリメイクで幸福を」

このグループのテーマは「ゴミリメイクで幸福を」。

下の写真は市内の海水浴場で拾ったゴミ。1日で189個拾いました。

市内の海水浴場に落ちていたゴミ

一番多かったプラスチックゴミを使って、キーホルダーを手作り。松浦高校のマスコットキャラクター「まつドリー」です。

プラゴミで作った松浦高校のマスコットキャラクター

これを販売し、ゴミ問題を解決できたらと開発。生徒は「ゴミというマイナス面をリメイクすることでプラスに転換し、社会に役立てたい」と話していました。

 

⑤廃校活用
「あジョぶる自然学園」

最後は10月のプレゼンで1位に輝いたチーム。テーマは「あジョぶる自然学園」。

「あジョぶる」とは、「遊ぶ」「エンジョイ」「学ぶ」「知る」の文字をとった造語です。

松浦市には廃校が8校あるので有効活用できないかと取り組みました。こちらは大崎小学校に下見に行った時の写真。内観はきれいな状態で使えそうなものが沢山ありました。

この廃校を、コロナで子ども達の外遊びが減っているというデータを元に、外遊びやプール、映画鑑賞をする場にできないかと考えました。課題と課題を繋ぎあわせ、それらを同時に解決しようという取り組みが評価されました。

 

生まれつつある
アイディアの卵たち

2年生だけではありません。既に1年生が、来秋の発表会に向け、取り組みたい課題やテーマの校内プレゼンを行いました。ダンスで世代をつなぐイベント、聴覚障害者が暮らしやすい町づくり、アジフライのうろこを使った保湿剤、松浦のアプリ開発、ゴミ拾い大会などのアイディアが生まれています。

1年生のアイディア

地域が支える「まつナビ」

さらに、「まつナビ」は地域の人たちが支えています。
中継では松浦商工会議所や地元の方にも来ていただきました。

 

松浦商工会議所の皆さん

12月17日(日)の「松浦こども博」では3年生が去年開発したお菓子を出品します。お菓子屋と共同開発しました。

 

3年生が菓子屋と共同開発した「まつボーロ」

開発した3年生はもうすぐ卒業。「まつナビで松浦のことをたくさん学んだ。それを生かし今後松浦が多くの人に知ってもらえるよう貢献していきたい」と話していました。

「まつナビ」で学んだ3年生 まもなく卒業

総勢40人の生徒や先生、地元の方にご出演いただきました。そして最後に声を合わせました。
「松浦、サイコー!!」

皆さん、ありがとうございました。
松浦市はとっても“いいカンジ”でした♪

  • 川崎 寛司

    NHK長崎放送局アナウンサー

    川崎 寛司

    2003年入局
    長崎県五島市出身
    学生時代はバレーボールに熱中

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