茨城県内の土地価格上がった?下がった?令和6年地価公示公表
- 2024年03月26日
国土交通省が調査したことし1月時点の茨城県の土地の価格が公表されました。
県内では住宅地の平均が32年ぶりに上昇。このほか、商業地や工業地でも上昇しました。
市町村ごとや地点ごとのランキングのほか、変動の要因や今後の見通しを取材してまとめました。
(水戸放送局 記者 安永龍平 丸山彩季)
NHKプラスでも配信 4/2(火) 午後7:00 まで
地価公示とは
地価公示は国土交通省が1月1日時点の土地の価格を調べたもので、住宅地や商業地、それに工業地などの平均価格や前年と比べて価格にどのくらい変化があったのかを知ることができます。
ことしまでの推移はグラフの通りです。
茨城県内では今回、住宅地や商業地、それに工業地などあわせて687地点が対象となりました。
住宅地は32年ぶりに上昇
全体の地価の県内の平均価格は1平方メートルあたり3万7300円。
去年より0.3%上昇し2年連続で上昇しました。
用途別では住宅地の平均価格は1平方メートルあたり3万2800円で、去年より0.3%上昇し、1992年以来、32年ぶりに上昇しました。
商業地の平均価格は5万9700円で、去年より0.2%上昇し、2年連続のプラスでした。
また、工業地の平均価格は2万2200円で、去年より1.5%上昇し、3年連続の上昇となりました。
市町村別 住宅地の変動率
32年ぶりに上昇した県内の住宅地の平均価格。市町村の価格の変動率に応じて色分けしました。
黄色が濃くなるほど価格が上昇、青が濃くなるほど下落していることを表します。
特に県南地域で上昇していることを示す「黄色」が目立っています。
こちらは市町村別の住宅地の変動率ランキングです。上昇率が最も高かったのが守谷市で6.2%の上昇です。
住宅地標準地別のランキング
ここからは標準地別のランキング。
まずは住宅地の上昇率です。
1位から20位、すべてが県南地域の自治体となりました。
上昇率が最も高かった住宅地はつくばみらい市紫峰ヶ丘2丁目で上昇率は10.6%、1平方メートルあたりの平均価格は8万4700円でした。この地点は3年連続で上昇率が県内トップとなっています。
商業地の上昇率ランキング
続いて商業地の上昇率です。
商業地で最も高かったのは守谷市中央4丁目で上昇率は8.4%、平均価格は23万2000円でした。
工業地の上昇率ランキング
こちらは工業地です。
工業地で最も高かったのは守谷市緑2丁目で上昇率は9.8%、平均価格は4万3900円でした。
水戸市の住宅地 31年ぶりに上昇地点
今回の地価公示では水戸市の住宅地でも31年ぶりに価格が上昇した地点がありました。
水戸市内で上昇した地点はあわせて5地点です。
つくばみらい市は「子育て応援住宅」
地価が上昇しているつくばみらい市では、行政が子育て世帯を対象にした集合住宅を整備して、移住者を増やそうとしています。
つくばみらい市はつくばエクスプレスの沿線にあり、住宅地の地点ごとでは3年連続で最も上昇率が高くなっています。
こうした中、つくばみらい市では、若い世代の移住者をさらに増やそうと、新たに子育て世帯を対象にした集合住宅を整備します。
対象となるのは、18歳未満の子どもがいる世帯や新婚の世帯などで、まずは生活や教育環境を体験してもらうことで、市内での戸建て取得や定住につなげる狙いがあります。
また、家賃は月6万5000円程度で、市によりますと、周辺より低く設定するということです。
地価の上昇している駅周辺だけでなく、郊外も活性化させようと集合住宅は駅から離れた板橋地区の幼稚園跡地に建設され3階建ての2棟、57部屋分で来年1月から入居できるよう整備を進めています。
つくばみらい市では初めての試みだということで、小田川浩市長は、「移住をテーマにして子育て環境を整えていく上で住宅は1つのキーワードになる。子育て応援住宅として、1部屋や2部屋ではなく、もう少し大型の建物を市で作りたいと考えた。駅の周辺ばかりではなく、つくばみらいにはまだまだたくさんの魅力ある地区があるので、地域の特性を生かしながら、別のエリアでも同様の住宅を展開していけるような流れにしていきたいと考えている」と話していました。
不動産鑑定士「地価下落考えにくい」
今回の地価公示の結果について、羽場不動産鑑定士は次のように話します。
つくばエクスプレス沿線の大幅な地価上昇がその周辺部の県南の常磐線沿線の地価にも影響を及ぼし、県南地域では全用途でほぼ上昇に転じている傾向が強いです。一方で県北においては、環境がよく、常磐線本線から近い地点については地価が力強く回復傾向を示しているというのが今回の大きな特徴だと思われます。
県内の住宅地の地価が上昇した要因は。
日銀の金融政策決定会合において、マイナス金利が解除されました。これによって早くも一部で住宅ローンの変動金利が上昇すると伝えられているので、それを見越して、地価が今まで安くなっている県北に関しても住宅地をほしがる人たちが動いたということが大きな要因ではないかと思われます。
工業地の地価の上昇については。
工業地もやはり県南地域の工業地価が茨城県全体を引っ張り上げているという状況です。特に守谷市および守谷市に隣接するつくばみらい市が、隣接県の千葉県側の工業地の地価の高騰に引っ張られる格好で上がってきています。世界的に中国の経済状況がおかしくなり、徐々に生産工業地域としての中国の魅力が薄れ、製造業が国内回帰するという傾向がはっきりしてきたため、県北の工業地も見直されつつあるというのが現状です。
水戸市の住宅地が上昇した要因については。
水戸市の住宅地の一部、特に千波湖周辺および笠原町周辺において、住宅地需要がかなり増大しています。そういう一部の地域においては地価が上昇に転じました。なおかつ、地価水準が30年間下がり続けたため、比較的に土地を求めやすいという状況も発生しており、買いやすくなっています。
今後の見通しについては。
特に千葉県側のつくばエクスプレス沿線、流山市、柏市においては分譲する土地そのものがほとんどなくなってきているので、茨城県は注目されてきています。つくばエクスプレス沿線の土地について、急速に需要が減少すると考えることは難しいと思っております。つくばエクスプレス沿線の土地が高くなることにより、茨城県南地域の常磐線沿線に目を向けてくれているので、相乗効果で県南地域は地価はなかなか冷えにくいと思います。
水戸に関しては現時点で人気のある住宅地はかなり活発に土地が動いていると聞いております。それによって地価が上昇しています。JR勝田駅前とか水戸市の千波湖周辺等について、住環境がよく駅から近い地域については、需要がそれなりにあるので、ここもなかなか冷えにくいという傾向から考えれば、地価が今後、急速に下がるということは考えにくい状況ではないかと思います。
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