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茨城“断水・漏水 高リスク”水道管の割合は?全地域データ

「ある日突然、断水したら・・・」 石綿セメント管の割合で見る“断水・漏水リスク”
  • 2024年03月20日

想像したくない事態が、頻発するかもしれません。先日、茨城県大洗町のほぼ全域で36時間にわたった断水や水の濁り。県内地域ごとに“高リスク”のデータをまとめました。
(水戸局記者 戸叶直宏 田中万智/ネットワーク報道部記者 齋藤恵二郎)

「東日本大震災の断水思い出す」

大洗町の生花店の赤く濁った水道水 花には使用できない

茨城県大洗町で今月12日から36時間にわたり町内全域で断水や水の濁りが発生しました。
町役場に給水に訪れた人たちは、口々に「東日本大震災で断水したことを思い出した」と話していたのが印象的でした。

 

給水に来た40代の男性

町役場に給水に来た40代の男性
赤茶色の水が出てきて驚きました。東日本大震災を機にペットボトルの水を備蓄していましたが、足りなくなるのが怖いです。

石綿セメント管の割合 全国3位

漏水の原因となったのは50年以上前に埋設された壊れやすいタイプの水道管「石綿セメント管」で、昭和30~40年代に普及しましたが、最新のデータで大洗町は、管全体に占める割合が全国でも3番目に多くなっています。

漏水の現場 画像提供:大洗町
日本水道協会「令和3年度板 水道統計」
データを基にNHKが作成

大洗町によりますと、取水施設から町内すべての配水管の総延長およそ143キロのうち「石綿セメント管」が占める割合はおよそ32キロと22点5%に上っています。

日本水道協会の2021年度時点での調査では、「石綿セメント管」が全体に占める割合は回答があった全国1300余りの事業体のうち大洗町は3番目に多くなっています。

今年度のペースなら30年かかる

厚生労働省は、「石綿セメント管」は地震などの被害率が高く耐震性のある新しい水道管に早く取り替えるよう全国の水道事業者に呼びかけています。

給水に訪れた大洗町民

町では取り替え工事を進めていますが、年間1点3キロの目標に対し今年度は職員や業者の人手不足が原因でおよそ800メートルしか進まなかったということで、すべて交換するまでに計画どおりでも20年、今年度のペースでいけば30年ほどかかることになります。

今月成立した町の新年度予算では、工事費が今年度より50パーセント余り増額されていて、町では交換のペースを早められるよう検討することにしています。

茨城・地域別「石綿セメント管」割合

では、自分の地域の水道管はどうなっているのか・・・?
茨城県内のお住まいの地域ごとに「石綿セメント管」の割合についてデータをまとめました。

地域の水道事業団ごとに、浄水場へつながる管から地域に広がる水道管までの中で、「石綿セメント管」が占める割合です。

画像はすべて 日本水道協会「令和3年度板 水道統計」
データを基にNHKが作成

専門家「繰り返し断水起きかねない」

水道事業経営に詳しい
近畿大学 浦上拓也 教授
大洗町では、今後も断水が繰り返し起きかねず、大地震の時に長期的な広域断水になりかねないので、優先的に取り替えるべきだ。
事業体として規模が小さく水道料金を上げられないのであれば、茨城県が目指している広域連携に参加するのも現実的な選択肢ではないか。

※湖北水道企業団
→石岡市の一部(旧石岡市)小美玉市の一部(旧玉里村)を管轄
※茨城県南水道企業団
→龍ケ崎市、牛久市、取手市、利根町を管轄
※茨城県(県南西)(鹿行)(県中央)
→用水供給事業として、水源から浄水場、そこから各水道事業体の配水池まで水を送る事業をしている。

  • 戸叶直宏(記者)

    水戸放送局

    戸叶直宏(記者)

    栃木県栃木市岩舟町出身。2010年入局。
    福岡→横浜→首都圏→社会部(文部科学省など教育担当)→週末に家族に会うため水戸に異動してきました。

    能登半島地震の現場で、長期の断水のつらさを取材しましたが、大地震でなくてもリスクがあることを今回、再認識しました。

  • 田中万智(記者)

    水戸放送局

    田中万智(記者)

    2023年入局。
    首都圏局を経て水戸局。
    現在は事件・事故、大洗町などを担当しています。

    話をうかがった住民の方からの「東日本大震災を思い出した」という言葉が印象に残っています。生活に欠かせない水道について、今後も取材を続けます。

  • 齋藤恵二郎(記者)

    ネットワーク報道部

    齋藤恵二郎(記者)

     2010年入局
    盛岡局時代に、大船渡・陸前高田支局で震災の取材にあたる。 データ分析、災害、子育て、教育などを取材。

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