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新プロジェクトX 「カメラ付き携帯電話」開発物語 【NHK水戸 森花子出演】

  • 2024年04月17日

4月13日に放送した「新プロジェクトX〜挑戦者たち〜」では、今や世界中で暮らしに欠かせない存在となった「カメラ付き携帯電話」開発物語をお伝えしました。世界で初めて、撮った写真をメールで送れる携帯電話が日本で生まれた裏には、弱小連合と呼ばれた社員たちの悲願がありました。後発の端末メーカーで退路を断って挑んだ開発者の覚悟。存続の崖っぷちに追い込まれていた事業部で、極限の薄さの携帯電話にカメラを入れ込む難題に挑んだ上司と部下の奮闘。反骨のエンジニアたちが成し遂げた、執念の逆転劇です。
(水戸放送局アナウンサー 森花子)

きっかけは「遠距離恋愛」!?

今回の新プロジェクトXで「カメラ付き携帯」を取り上げると聞き探し出しました! 
自宅の引き出しの奥の奥にしまい込まれていたガラケー(ガラパゴス携帯)。 

15年ほど前に使用していたものです。 
ドキドキしながら充電してみると・・・・。
中には、当時の写真。シロクロだった記憶に色彩が戻ったような気分になりました。この携帯を長い間手放せないのは、小さな端末の中に様々な思い出が眠っているからなのでしょうね。

今回のプロジェクトXは、手のひらサイズの携帯電話に、 どのように「カメラ」機能を取り付けるのか・・・。 

「遠距離恋愛」のもどかしさと箱根のロープウエーでの経験からアイディアが生まれた 世界初!カメラが内蔵されメールで送信することが可能な「携帯電話」。 
「写メール」という言葉を生み出した携帯電話の制作秘話、皆さんご覧いただきましたか?
スタジオには、歴代の携帯電話がズラリと並んでいたのですが、人生で初めて手にしたショルダーフォン(肩掛け電話)に私大興奮でした。重さは約3キロ。
重みが肩にズッシリと感じられました。良い筋トレになりそうです!

ここから開発を重ねて、手のひらサイズになるんですから・・・すごいですよね!

今回のゲストは・・・。

さて、今回の「新プロジェクトX」は、反骨のエンジニアたちが成し遂げた執念の逆転劇。 
スタジオには、元自動車メーカー社員の高尾慶二さん。

高尾さん
「弱小タッグという呼び名。本当にその通りなんで(笑)
当時のJ-Phoneはガリバー(巨大企業)に立ち向かう蟻のような存在だった。」

シャープで携帯事業を担当していた山下晃司さん。

そして、事務職から15年。
独学で開発研究職にたどり着いた宮内裕正さん。 

宮内さん
「会社に雇われる立場ではなく、会社に必要とされる人材にならなければという危機感。それが原動力だった」

弱小連合の誕生 

「21世紀は通信の時代」と叫ばれる中、通信キャリアに各社が出資。 
当時「つながらない電話会社」と揶揄されたJ-フォンにマツダから出向した高尾さん。ここなら「誇れる仕事」ができるかもしれないと開発に意欲をみせていたが、その道は困難を極めた。
相次ぐトラブルに謝罪行脚の日々。 新たなアイディアもなかなか浮かばない。
そんな折、休暇中に 訪れた箱根で出会った光景からヒントを得た「カメラ付き携帯」。 
そんな高尾さんに協力したのは、高い液晶の技術をもったシャープの携帯事業部。大手メーカーで唯一携帯電話市場に本格参入できずにいたシャープ。
この時の思いを山下さんは・・・・。

山下さん
「背水の陣ですよね」

熱い思いで共同開発がスタートしたものの、他社では次々と新たなサービスをスタートさせ、J-Phoneには解約の申し込みが相次いだ。 上層部から大手を真似た端末の開発を行うよう指示をうけた高尾さんだったが、新たなアイディアを生み出すことを諦めなかった。 
そんな時ヒントになったのは、箱根のロープウエーの中で見たある光景。 

高尾さん
「目の前の感動を共有できるカメラ付き携帯。これだ!と思ったんです」

しかし、そのアイディアは無謀にみえた。すでに極限までコンパクトになった携帯電話の中にカメラを収めるスペースなど存在しない。そんな難題を託されたのが、シャープのエンジニア・宮内裕正さんだった。
高尾さんと山下さんは、宮内さんの技術、そして、執念に全てをかけた。 

山下さん
「本当になにかあったら、まあ、俺が尻拭いしてやるわっていう・・・。最後は個々のスキルに託すしかないですよね」

執念の開発

小さな基盤の中に600もの部品を並べ、50以上の不具合を1つ1つ、潰していくという地道な作業。42年間エンジニアの道を貫き去年(2023年)12月に定年を迎えた宮内さんは。 

宮内さん
「好きに生きました。
好きに生きられるように努力してきました。」

宮内さんが後輩たちに送ったこの言葉が、明日を生きるヒントになるかもしれません。

こぼれ話

スタジオで感じたのは、開発者、エンジニアたちの熱意と矜持。「絶対に成功させる」「もっと良くなるはずだ」と、後ろを振り返らずに歩み続けることで技術革新が生まれている。彼らにとってはそれが当たり前のことで、それが楽しいと思えなければ、仕事が務まらない。

淡々と話す3人に、ふと口をついて出た「自分たちの開発を自慢したくならないんですか?」という無粋な質問。皆さんの回答は・・・?

 

高尾さん
「飲み会などで、カメラ付き携帯の開発者だと周囲が紹介してくれると会話が盛り上がるんですよね。そういうのはとても嬉しいと感じますね。」

山下さん
「街中で、カメラ付き携帯電話で楽しそうに撮影している人を見かけると嬉しくなって、言いたくなる時もありますね。」

宮内さん
「山下さん、そうなんですか!?僕は全然言いたくならないな(笑)」

職人気質なお三方の人間味あるトークに、私は笑顔が止まりませんでした。

そんな「新プロジェクトX 挑戦者たち」を見逃した!もう一度見たい!と思ってくださった皆さん。 
新プロジェクトX~挑戦者たち~は、NHKプラスでも配信されております。 
いつでも、どこでも、何度でもお楽しみいただけます!

▼見逃し配信はこちらから!▼ 配信期限:4月20日(土)午後8:14

  • 森花子(アナウンサー)

    水戸放送局 

    森花子(アナウンサー)

    3年ぶり3度目の水戸局勤務となる森花子です。三度茨城に戻ってくることができて幸せです。 皆さんの生活に寄り添う放送をお届けしたいと思っておりますので、ご協力お願いいたします。

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