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【茨城県の祭り】“陸上”を駆け抜ける船とは 須藤健吾アナが取材

300年以上続くとされる茨城県北茨城市の「御船祭」
  • 2024年04月16日

北茨城市で5年に一度行われる「御船祭」。今年はちょうどその年だ。今年、祭りで初めて使われる船が展示されている北茨城市の資料館「よう・そろー」を取材。すると、船には伝統を重んじながらも工夫が凝らされていることが分かった。
(アナウンサー・須藤健吾)

5年に一度の熱気が再び!

右下の私と大きさは一目瞭然!大きなこの船が「御船祭」で使われる新しい祭事船だ。全長約15メートル、幅約3.6メートル、重さ約8トン。それまでの船が老朽化したため、去年新たに納められた。
「御船祭」は海の安全や大漁を祈願する祭りだ。

前回の開催は2019年だった。
船の曳き手は、保存会を中心とした約300人。車輪などはついておらず、「ソロバン」と呼ばれる材木の上を滑らせるように動かす。船の両絃にぶら下がった人たちが、一斉に船を揺らしながら、少しずつ船の向きを変えて街なかを駆け抜ける壮大な祭りだ。

下に敷いた木と揺れる船がこすれ、人々の熱気とともに煙が舞い上がる。この祭りの最大の見せ場だ。

船の伝統の絵柄にまつわる“言い伝え”とは

船の側面には、北茨城市にゆかりのある海の生き物たちの姿が。豊かな海を象徴しているこの絵柄。

地元の人によると必ず「ある生き物」を定位置に書くことが伝統だという。
それが・・・「エイ」だ。

地元の人によると、はるか昔に漁に出ていた船に穴が空き、沈没しかけたという。その時にエイが穴をふさぐようにペタッと覆いかぶさり、船員の命が助かったという。海への感謝を忘れないよう、ここに300年以上書き続けられている。

激しい祭り 求められる「工夫」

祭りに合わせて新たに作られたこの祭事船には、激しい動きに耐えられるように工夫が凝らされている。「強度」を上げるために骨組みの本数を通常より3割増やしているそうだ。
また通常の木造船では使われないが、船底と側面の骨組みをつなぐ部分は、ボルトとプレートでがっちり組まれている。

ただ、重さは前回の船より約1トン重くなっている。

画像提供:北茨城市教育委員会

船が陸上を駆け抜ける祭りは全国でも珍しく、2017年には国の重要無形民俗文化財に指定された。そして2023年には、ユネスコの無形文化遺産の対象(「山・鉾・屋台行事」)の候補にも選ばれている。

初登場する船 盛り上がる地元

昨年から資料館に展示されているが、祭りで登場するのは今回が初めて。最初の祭りの成功に向けて、地元も期待が高まっている。今年の祭りの執行委員長、高倉雅友(たかくら・まさとも)さんに話を聞いた。

高倉さん
やっと新しい船ができて、先日テストを行いました。実際に「ソロバン」を敷き詰めて、左右に揺さぶってみて、これは大丈夫だと。これから装飾をして祭りを盛り上げていこうと思います。それから世界にも見てもらって、みんなでもっともっと広げていきたいと思います。

5月の本番に向け、地元も熱く、今か今かと“船出” を待っている。

  • 須藤健吾(すとう・けんご)

    水戸放送局

    須藤健吾(すとう・けんご)

    2020年入局。東海村出身。
    好きな食べ物は干しいもとスタミナラーメン。今年度いば6メインキャスター。

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