新プロジェクトX ~東京スカイツリー 天空の大工事~
- 2024年04月08日
のべ58万人が総力を結集した日本の建設史上空前の難工事。高さ634mの天空の現場に挑んだ技術者と職人たちのドラマ-(新プロジェクトX 水戸放送局 アナウンサー 森花子)
NHKプラスで配信中!
4/13(土) 午後8:52 まで
世界一の自立式電波塔 東京スカイツリー
昭和33年に建設された東京タワーも昭和史に残る難工事として知られていますが、今回ご紹介する「東京スカイツリー」建設はその約2倍。
634mの高さに挑む一大プロジェクトでした。
建設に関わったのは、のべ58万人。
技術革新が進んだ現代においても、最後は人の手で1つ1つくみ上げられていました。
前代未聞の建築物を、東京タワーの4分の1の激狭地にわずか3年半で建設するという難工事です。
この難題をクリアしたのが、大林組の「頭脳」と呼ばれている田辺潔さんです。
田辺さん
デザインを一目見れば、どれだけ大変な工事になるかすぐに想像することができました。だから、関わらないようにしていました。
田辺さんは、3万7千パーツの鉄骨を立体パズルのようにくみ上げていくプランを考案。
500ピースのパズルですら途中で投げ出してしまう私にとっては、3万7千の超巨大パズルを空中で作り上げる作業を想像することすら困難です。
その難工事が、結果的に、わずか2センチの誤差で作り上げられた事は奇跡に近いといいます。
田辺さん
これだけ大掛かりな工事だと、普通はどこかで誰かがミスをしてしまったり、集中力が切れたりしてしまいます。しかし、東京スカイツリーの工事は関わった58万人が、常に最高の仕事をし、高い集中力で仕事に取り組んだ結果だと思います。
重圧と向き合った現場
前例の無い未知の工事。
現場は大きな重圧と戦っていました。
スカイツリーの3本の足を、それぞれ別の会社が担当。
北側が抜群のチームワークを誇る「鈴木組」、東は精鋭集団の「松村組・西中建設」、西は橋の建設を得意とする「宮地建設工業」。
実はこうして、1つの現場で複数の会社が合同で仕事をするのは、非常に珍しいことなのだそうです。
他社のスピードについていけず遅れをとり、苦労していたという宮地建設工業の半田智成さん。
半田さん
違う3社が同じ現場を担当するという狙いは最初から分かっていましたが、田辺さんが無茶な注文をするから大変でしたね(笑)
田辺さん
3社に依頼することで切磋琢磨してもらうという狙いもありましたが、それ以上に、それぞれの得意分野を活かして作業してもらわないと完成できないと思っていました。
現場で鉄骨の組み上げを担当していた3社のうちの1社、
西中建設のとび職人・森川哲治さん。
担当する現場は、雷鳴と稲光が真横から襲いかかり、風速10メートルを超える突風が吹きすさぶ、前人未到の高所。ボルトを1本でも落とせば、下で作業する者のヘルメットを貫通する。そんな、一瞬も気を緩められない現場での作業は、「カリスマ鳶」と呼ばれる森川さんですら、悪夢にうなされるほどだったそうです。
森川さん
気持ちを切り替えるため、仕事の話を家庭ですることは無かったのですが、妻が「夜、うなされてるよ」と教えてくれました。相当緊張していたのだと思います。
あの日、タワーの上で!
当初、互いにライバル視していて会話も少なかった3社。しかし、「お花見」での飲み二ケーションがきっかけで、次第に協力体制を構築していきます。
タワーの高さは600mを超え、完成まであと一歩という時でした。
3月11日午後2時46分。東日本大震災が発生。
最上部でゲイン塔を固定する作業をしていた半田さん。
左右に5m揺れるタワーの上で死を覚悟したといいます。しかし、揺れが収まった直後、半田さんは作業を続行。
半田さん
ゲイン塔を固定しなければ、余震で部品が落下したり倒壊する可能性があると思いました。
最後は人がつくる!
言われてみれば当然のことではあるのですが、パソコンやAIに情報を入力するだけでは、東京スカイツリーは完成しません。
人々の地道な作業の積み重ねが生んだ奇跡のタワー。
それが、東京スカイツリーなのだと改めて感じます。
新プロジェクトX~挑戦者たち~初回放送で、「東京スカイツリー」の見え方が変わった!
そう思っていただけるのではないでしょうか?
1本1本の鉄骨、柱、その構造やデザインに、さまざまな人の知恵や工夫、汗や涙が染み込んでいます。
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