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市長が“拉致”された街で【イリーナさん・メリトポリ】

すでにロシア軍によって制圧された街では、人々への締め付けが厳しくなり、市長が拉致される事態まで起きています。ロシア軍に抗議するデモに参加してきたイリーナ・ベズグロワさんは一時拘束され、“殺されるかもしれない”という恐怖にさらされています。

ロシア軍に抗議の声をあげてきた イリーナ・ベズグロワさん(41)

ウクライナの国旗を身にまとってインタビューに応じてくれたイリーナさん。
ウクライナ南部・人口15万人の街メリトポリで会計の仕事をしていました。平穏な日常は、ロシア軍が侵攻を始めた2月24日に終わりました。

イリーナさん

「2月24日の朝、私は爆発の音で目を覚ましました。それまでロシアが私たちを攻撃するなんて考えもしませんでした。それ以来毎朝、私は恐怖で目を覚まします。彼らは私たちを撃ち、街やインフラを破壊しました。90の民家も破壊されました。ここのような小さな街にとって、本当に深刻なことなのです」

まもなくロシア軍はメリトポリを制圧。
3月1日にはフェドロフ市長が「メリトポリは降伏していないが、一時的に占領されている」と声明を発表しました。それでも当初は数多くの市民が路上に集まり、ロシア軍の占領に対して抗議の声を上げていました。

イリーナさんが送ってくれた映像には、ウクライナの国旗をもって声をあげる人々の列や、ロシア軍とみられる兵士に人々が詰め寄る姿が映っていました。

イリーナさんが送ってくれた映像

市長は拉致され…今は“ウクライナ人だと口にするのも怖い”

しかし占拠が長引くにつれロシア軍の締め付けは厳しさを増し、兵士の態度も変わってきたといいます。

イリーナさん

「最初の1週間、ロシア軍は私たちに手を出そうとはしませんでした。脅かしてはまずいと考えたのでしょうか。しかし今は違います。外に出てデモに参加すると彼らは銃口を向けてきて、私たちの話を聞こうともしません。『アメリカ人が悪い』『ここはロシアだ』と彼らは言います」

恐怖におびえながら暮らすイリーナさん。拘束された市長に代わって、ロシアよりと見られる新たな市長の就任も発表されました。それでも、イリーナさんはメリトポリを離れるつもりはないと語気を強めました。

そして3月11日、衝撃的な映像が世界を駆け巡りました。

連れ去られる市長(右上の黒い服の男性)

監視カメラに映っていたのは、フェドロフ市長が軍服を着た集団に連れされられる様子でした。市長はロシア軍への協力を拒否していたとも伝えられています。拘束された市長に代わって、ロシア寄りと見られる新たな市長の就任も発表されました。
市長が拉致された3日後、イリーナさんも一時拘束されてしまいました。

イリーナさん

「行政府も占領され、市長も拉致されました。ウクライナの旗を持っているというだけで、私の子どもと同じくらいの年の男の子が殴られたのです。私が見ていられなくて止めに入ると、拘束されてしまったのです」

それでも 街に残る

日に日に強まるロシア軍からの恐怖に押し潰されそうになるというイリーナさん。それでも故郷の街を離れるつもりはありません。

イリーナ・ベズグロワさん

「次にデモに参加したら私は家に帰れるでしょうか。ウクライナ人であるということを口にすることも怖いです。でも私はどこへも行きません。どこにも隠れる場所はないのです。ここは私の国で、私はこの国を守ります。私は殺されることになったとしても、ロシア軍が人々に手を触れることを許しません。世界の皆さん、聞いていください。ウクライナは大きな悲劇に見舞われています」

※3月16日、ウクライナ大統領府の高官はフェドロフ市長が解放されたことを明らかにしました。地元メディアは「捕虜となっていたロシア軍兵士9人が市長解放のために引き渡された」と伝えています。

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みんなのコメント(8件)

感想
たくお
40代 男性
2022年3月20日
ロシア兵もたくさん亡くなっている。家族がいる。ロシア兵はどんな気持ちで亡くなったのか。ウクライナの人達は命をかけて自分達の生きる場所を守っている。ロシア兵は命をかけて戦ってるのか疑問だ。その中で、家族を残し亡くなったロシア兵の事を考えると、辛くなる。ロシア兵が何千人死亡というニュースを見て、『よし!』とはならない。ウクライナ、ロシアの人々どちらも被害者。
感想
takechiyo
70歳以上 男性
2022年3月18日
日本もウクライナと同じく、ロシア、中国から領空、領海を常に侵されている。ウクライナの何の罪のない人達がプーチンという狂った大統領に殺されている事には胸が痛む。一日も早く平和が戻りますように!
感想
ダンカイオジサン
70歳以上 男性
2022年3月18日
何も出来ないことに情けない気持ちです。ただ、ウクライナ国民の抵抗に一筋の希望を見ています。同時にロシアのような独裁国家の恐ろしさを再認識しました。
提言
とっかさん
70歳以上 男性
2022年3月18日
どうして国連事務総長は動かないですか?総長は自身でウクライナに行って見て欲しい。
提言
聴き耳
70歳以上 男性
2022年3月18日
ウクライナの皆さん! ロシアの武力に負けないでください。遠い日本から皆さんへの連帯と苦難の先に栄光と平和のあらんことを心から祈っています。
感想
ヨシアキ22
50代 男性
2022年3月17日
歴史は繰り返される…こんなこと繰り返しいらないですね…人間が一番愚か…
どうして殺し合いして自分の物にするのか?これからも未来永劫こんな事がいろいろな形で繰り返されるのか…哀れだ
感想
讃岐うどん
30代
2022年3月17日
市長さんが解放されたのは一筋の光ですが、市民の皆さんは日々おびえながら過ごされているのですね。本当に心が痛みます。イリーナさんたちが自分たちの街で心から安心して暮らせるまで、しっかりと情勢に関心をもち、気持ちを寄り添い続けたいです。
感想
とまと
40代 女性
2022年3月17日
侵攻以来、連日ウクライナから届くニュースをみて、その悲惨さや何もできないことに胸がしめつけられ、あまりのつらさに泣いてしまうこともあります。ついニュースや番組をみるのをやめたくもなりますが、現地や避難されたみなさんの辛さに比べたら、これくらい何でもないと思い直し、せめて毎日ウクライナ情勢を見続けることが、自分にできる支援のつもりでいます。NHKさんも国際ニュースなどを総合でも放送してくださったり、いろんな特設サイトを設けてくだはって、ありがとうございます。少しでもウクライナのみなさんの力になれますように