
「本当に大量に人が死んでいる」【テテャーナさん・ハリコフから避難】
「犠牲者の多くは、罪なき国民や子どもたちです。・・・全てが終わってほしいです」
ウクライナ第2の都市ハリコフから、車で20分ほどの町で暮らしていたテテャーナさん(38)。
小児がんの息子を連れてポーランドへ避難することを決め、その道中でインタビュー取材に応じてくれました。
家族の身の安全を守るため、顔の撮影はしないというのが条件でした(3月12日撮影)
息子と避難の途中に爆撃

テテャーナさんの12歳の息子は、脳のがんの治療のためハリコフ市内の病院に1年以上入院していました。
ロシア軍の侵攻が始まると、砲撃によって病院の廊下の窓が割れるなどの危険にさらされるようになりました。
砲撃が激しさを増した3月7日、テテャーナさんは息子を連れてハリコフを離れる決断を下します。
小児がんなど重い病気の子どもを支援してきた団体が、ウクライナ西部の都市・リビウへの避難をサポートしてくれました。
しかしその避難の道程は、ロシア軍の攻撃をかいくぐる命がけのものだったといいます。
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テテャーナさん
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駅へ向かおうとしたとき、爆撃されました。その爆撃で隣の家の若い男の人3人が亡くなりました。
切れ目なく攻撃されるのです。
列車の中は子どもたちが大勢いました。みな治療が必要で、重い病気の子どもたちも乗っていました
病院の地下 十分な治療を受けられない子どもたち
テテャーナさんの息子が入院していたハリコフの病院では、重症の子どもたちを少しでも安全な場所にと、20キロ離れた病院に移動させ、子どもたちは、その地下に避難しています。しかし、薬も限られ十分な治療を受けられない状態が続いているといいます。

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テテャーナさん
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戦火の下で、子供たちは地下室にいます。ハリコフの中心部は完全に破壊されてしまいまいました。
ハリコフは、恐ろしい状況に置かれています。人々が苦しみ、多くの子供たちが犠牲になっているのです
”本当にたくさん死んでいる。すべてが終わってほしい”
ポーランドに向かっているテテャーナさんですが、ハリコフ郊外の自宅には、夫と娘、夫の母の家族3人がいまも避難できずにいます。
いつになったら平穏な暮らしをとりもどせるのか、避難先で息子に適切な治療を受けさせることはできるのか、不安は尽きないといいます。
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テテャーナさん
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心配なことは、家族が・・・
人々には電気だけでなくガスもなくなりました。暖房もありません。ですから、あそこで暮らすのはとても困難です。
恐ろしく、先が見えません。砲撃と戦闘機からの爆撃の音は(電話越しに)何度も聞こえてきます。
私は政治的なことはよくわかりませんが、どうにかしなければなりません。これを止めるために。政府の高官には、この状況を終わらせるために、何かしてほしいです。人がたくさん死んでいるんです。本当に大量に死んでいるんですよ。すべてが終わってほしいです。