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柴咲コウさんのサステイナブルな旅

俳優で歌手の柴咲コウさん。自然と共生する生き方に憧れ、自然の中で二拠点生活を送りながら、みずから環境に配慮したブランドを立ち上げています。柴咲さんが今回訪ねたのが2024年に設立から90周年を迎える阿蘇くじゅう国立公園です。国立公園は自然を回復させることで二酸化炭素を吸収できるなど、気候変動対策としても注目されています。サステイナブルな(=持続可能な)環境を目指すには何が大切なのか、柴咲さんの旅に同行しました。
(地球のミライ取材班)

阿蘇で感じた“地球の鼓動”

柴咲コウさんは大河ドラマ「おんな城主 直虎」で主役を演じ、阿蘇を舞台にした映画では主題歌「月のしずく」を歌っています。

幼い頃から自然が大好きな柴咲さん。持続可能な生活スタイルや国立公園の魅力を国内外に発信することなどを期待され、2018年からは環境省の環境特別広報大使を務めています。

これまでも各地の国立公園を訪ねて自身のYouTubeチャンネルなどで伝えてきましたが、今回、大自然とともに生きている人々の思いに触れてみたいと、世界最大級のカルデラの中で4万人以上が暮らす阿蘇くじゅう国立公園を訪ねました。

向かったのは活火山である阿蘇山の中岳。その火口からは噴煙があがっていました。
柴咲さんは自然の大きなエネルギーに触れ、地球とともに生きていく大切さを実感していました。

柴咲コウさん

「壮大。空が近いです。はるか昔に火山の大噴火があって、いまは森になり、山になり、草原になり、この規模で人が住める状況になっているというのはすごいことです。


火山があるところは、そこはかとないエネルギーがあります。そういうところが地球であり、人間はそこに住んでいる、住まわせてもらっている感じがします。

ともに生きているんですよね、われわれは。忘れがちですよね、こういう光景はあまり見る機会がないですし。地球もいつかは死ぬ、何十億年先には終わりがあるわけです。だから、こうして生きてくれているというのはうれしいというか。地球が生きているのだと思えるのがうれしいです」

柴咲さんは、阿蘇のシンボル草千里に向かいました。噴煙があがっている中岳を臨むことができ、大草原が広がっています。

毎年、草原地帯では冬の枯れ草などを焼いて新しい草の芽吹きを促す野焼きが行われています。この野焼きは、実は阿蘇の草原が気候変動を食い止め、生物多様性を守ることに大きな役割を果たしていると言います。

国立公園のパトロールや調査などを行っている環境省のレンジャーに、草原を守ることの意味を聞いてみました。

左・ 環境省の山下淳一さんと
柴咲さん

「国立公園として、この草原を守るということにはどういう意味があるのですか?」

環境省 山下淳一さん

「希薄になってきているかもしれない自然と関わってきた暮らしや生き方、そういうものを守るということなのかと思います。


自然を守ることは一見、人が手をつけないことが自然を守ることだというイメージも多いかと思いますが阿蘇の草原の場合は、人が関わることで草原が守り続けられて、人がそこから恵みをもらったり、あるいはそれが結果的に景観を守るであったり、草原の持っている水を育む力とか、あるいは炭素を蓄える力とかそういうことを維持するっていうことにもつながっています」

柴咲さん

「二酸化炭素を固定するとか、そういうことですね?」

阿蘇の野焼き
山下さん

「野焼きをしていると黒い煙が出て、一見、地球温暖化に悪そうなイメージもありますが、実は野焼きをし続けることでどんどん土の中に炭素を蓄えていることもわかってきています」

柴咲さん

「ある程度野焼きをすることが大切になってくるのですね。それは、自然の火災とはぜんぜん違うのですか?」

山下さん

「英語でコントロールバーニングという言い方をしますがコントロールされた、文化的歴史的に野焼きをし続けてきたところでは、それに適応している植物や動物も出てきています。


草原の植物は結構背丈が低い植物が多いのですが、野焼きをしなければどんどん草が伸びてきて、木が生えてしまうと光が当たらなくなって生きられなくなります。


草原であるからこそすごく豊かな植物があり、豊かな植物があるからこそ、そこに虫とかチョウとか鳥とか、そういう生き物も住み着きます」

草原は「宝物」! 受け継ぐために価値を知ってもらう

左・地元の農家 市原啓吉さんと

国立公園の中で多くの人が暮らしている阿蘇。
柴咲さんは、阿蘇の草原を守り続けている地元の農家にも話を聞きました。

柴咲さん

「阿蘇くじゅう国立公園の中に住んでいると伺ったのですが、長年暮らしていてこの阿蘇の自然にどういう思いを持っていますか?」

市原さん

「草原は阿蘇で生活する人にとってはなくてはならない存在だと思います。わたしたちの農業は特にそうですけれども先祖が神様からもらったものを受け継いで、それをずっと守ってきています。それは自分たちの生活のために欠かせないものだったのです。欠かせないということは、その人たちの命を守るためにも草原は大事な役割を果たしているということです。


草も同じです。農家の人にとって草は欠かせないものです。阿蘇山は火山なので噴火します。土壌としては酸性になるのですが草を利用することによって、畑の堆肥とか肥料にすることができます。そのことで土壌を中和しています。農作物も作りやすくなります。


それが昔から私たちが受け継いできたものです。草原を守るということは、わたしたちの生活を守るだけじゃなく、みんなの生活も守っています。草原を守る作業は、そこにあった石ころをポケットに入れて作業しているようなものなので大変だと思っていました。



ただ、ポケットからそれを出してみたらそれが“宝物”だとわかりました。宝物っていうのは草原の景色とか、いろんな植物や動物でもあるわけです。そうしたもののすばらしさをみんなに知ってもらう必要があります」

柴咲さん

「国立公園ということばはよく耳にしていましたが、『公園?ふーん』って思っていました。ですが、実はわりと自分の身近に国立公園があると思いました。壮大な自然を守る人たちがいて、残していっていることがよくわかりました。


結構その地域に住んでいる方はその距離が近すぎて、そこにある宝に気づいていないとか、当たり前って思う方もいるのですがそれを感じ取って、広めようとしている人がいて、それが伝わっていって、大切に守ろうという文化になっていくのだなと感じました。


もちろん、その地域を愛する方がいてこそだと思いましたし、住んでいなくても遠くにいてもそういう話を聞くと、その地域のよさを知ることができますし、知ることでまた協力できることがありますし、関わることもできます。そうやって伝え広めていくことが大切なのだと思いました」

ネイチャーポジティブの鍵を握る国立公園

来年、設立から90周年を迎える阿蘇くじゅう国立公園では今、国立公園の範囲の拡大などが検討されています。

世界では、これまで失われてきた自然や生物多様性を2030年までに回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」というキーワードに注目が集まっています。2030年までに陸と海の保全区域を30%以上に増やす「30by30」が具体的な目標ですがその実現の鍵を握っているのが、国立公園です。

柴咲さん

「正直、国立公園90周年は地球規模で考えるとまだ短いと思います。あらがえない気候変動にもいま私たちは直面していて、この国立公園の姿を保っていけるのかどうかという分岐点でもあるような気がします。


守り続けている人々はその変化に気づくことができると思うのですが、私のように都会で暮らしていたりすると、なかなか気づけません。気候の変化だけは自分の体感でわかりますが、自分が住んでいる地域以外の姿や形が変わってきているのに気づいた頃には遅い、というふうにならないといいと思っています。


国立公園ができてから100年に向けて、きちんと保てるのかどうか。そして、また次の100年につないでいけるのかどうかを、住んでいる方たちだけではなく、日本のみんなで考えていけたらいいなと思います」

柴咲さん

「まずは知ることから始めましょうということですが、それではこのスピードにはついていけないのかもしれないと個人的に危機感を持っています。


知るところから、もう一歩踏み込んだアクションを起こす。そして、すでにアクションを起こしている人たちとセッションしていくとか、そういう動きが必要なのかなと感じました。


だから地球環境のことを考えると、焦りのほうが多くなってしまいがちですが、今回こうやって来ることができて、ワクワクできました。すてきだな、自然ってすごいな。そこに集まっている人たちはすてきだなと。


ワクワクドキドキがあったので、やはりそういったワクワクドキドキを通して広まっていくといいなと思います。守るということをどうしてもかたく考えがちですが、楽しいのは大事ですね。


少しずつ学んでいって、次どういう気づきが訪れるか、どういう行動ができるかというように私自身もつなげていきたいなと思いました」

柴咲さんのように気候変動対策で楽しく取り組めることはありますか?
具体的にあなたがいまやっていることは何ですか?
ぜひ、コメントで教えてください!

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国際社会は気象災害などの被害を減らすために世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃に抑えることで合意しています。NHKでは、気候変動に歯止めを掛けるための具体的なアクションを提示し、個人や組織に行動変容を促すため、国連の「1.5℃の約束」というキャンペーンに参加しています。

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担当 地球のミライの
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