
おしゃれでエシカル 持続可能なファッションは?
最近、雨の降り方が変わってきているとか、台風が来ると大きな被害が出ることが多いとか、感じることはありますか?いま、気候変動が深刻化しています。このまま温暖化が進むと深刻な気象災害が起きることも懸念されていて、私たちの生活が脅かされる可能性もあります。どうしたら、地球環境になるべく負荷をかけず、よりよく暮らしていけるのでしょうか?生活に欠かせないファッションから考えていきます。
(BS1「Ethical Every Day」取材班)
そもそもエシカルって?
「エシカル」という言葉を聞いたことがありますか?
「エシカル・ファッション」や「エシカル消費」という言葉がところどころで使われていて、目にする機会が多くなったと感じている方も多いのではないかと思います。
消費者庁によると、「エシカル」とは消費者が各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業を行う人たちを応援したりしながら消費活動を行うこと、とされています。
例えば、国連が2030年までに持続可能でより良い世界を目指すために掲げた17の目標がありますが、その目標に向けて行動したときに、「エシカルだね~!」といった感じで使うのだそうです。

ファッションの問題について、お話を聞いたのはエバンズ亜莉沙さんです。
持続可能な社会づくりや環境に配慮した経済活動を広めるため、企業にアドバイスをしたり、一緒にイベントを行ったりしています。
エバンズさんは、アメリカで環境科学を学ぶなかで、環境問題に関心を持ち、
自分が生活の中で何気なく行動していることが誰かに影響を与えていることに
気付いたといいます。
ふだんの生活のなかで、環境に配慮する行動をしているエバンズさん。楽しく、長く続けられることをモットーにしています。
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エバンズさん
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「環境問題に取り組む企業などを応援する気持ちで、自分が共感できるもの、よりよい未来をつくってくれるだろうって思うものをファッションに限らず、選ぶようにしています。」
お話をうかがった際のファッションも、リユースしたもの。黒のワンピースは古着で、ネックレスはヴィンテージだと教えてくれました。

環境の負荷が多い「ファッション業界」
毎日何気なく着ている洋服ですが、実はファッション業界は石油産業に次ぐ、「環境汚染産業」だと言う人もいます。服を作るプロセスで地球環境に大きな負荷がかかっています。
例えば、服を1着作る時には、約25.5kgの二酸化炭素が排出されます。これは、ペットボトル255本を作る時に出る二酸化炭素の量と同じ。服1着で、これほどの負荷がかかっています。
ファッションで私たちにできること

ここ最近、SDGs(2030年までに持続可能でより良い世界を目指すために掲げた17の目標)の達成が言われるなかで、企業側も変わってきています。
エバンズさんは、企業がリサイクルや環境負荷が少ない素材を使うようになってきていて、よい変化を感じています。
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エバンズさん
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「ここ数年、リサイクル素材を使ったり、オーガニックコットンの素材を取り入れたりする企業、ブランドがすごく増えたという印象はあります。これまでは探さないと見つからなかったのに、最近ではどんなお店でも1、2点はリサイクル素材を使っているものを置いていて、新しい素材の開発も進んできているように感じています。
また、素材だけではなく、最後捨てるというところのアクションについての情報も増えてきていますよね。回収ボックスが設置されている店もたくさんあり、着なくなった洋服を回収して、別の新しい服にすることも増えてくることはすごくいいことだと感じています。」
企業側も変わってきている中、「何かやってみたい」と考えている人たちに向けて、その行動を促すアドバイスをしてくれました。
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エバンズさん
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「私は正しい答えが1つしかないという考えではありませんが、その人がどうしてそれをやってみたいって思ったのかという動機の部分に興味があります。動機は、何か自分に対するヒントにもなる気がしているからです。
例えば、ひとこと洋服といっても、環境問題を知って、ちょっと心苦しいから、その環境への負担を減らしたいって思っているのか、または児童労働とか人権問題に興味があるから考えるのかは人によって違います。
人権問題に興味がある人には、『じゃあ、フェアトレードっていうものがあるんだよ』というように、興味を持ったきっかけから話をすれば、興味がわくのではないかと思っています。その人には、そういうものを選んでいったらいいというアドバイスができます。」
しかし、環境問題などに配慮されている「エシカル・ファッション」をしたいと思っていても、まだ高くて、買いづらい…という声も聞かれます。では、私たちに何ができるのでしょうか?

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エバンズさん
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「これまでが恐ろしいぐらいに逆に安すぎた、物が多すぎたと感じています。大量生産、大量消費で、安ければ安いほどいいっていうふうに考えられてきました。
例えば、100円のTシャツと1万円のTシャツ、両方とも真っ白で同じ素材でできているとしたら、100円で作ることができる訳がないことを、生産過程を知ることで分かると思います。安すぎるものは疑問に思ってほしいです。
また、ちょっと値段が高いと感じたとしても、着る回数や着る年数を考えたら、実はお買い得だったりします。
私もセールで『あ、かわいい!』と思って買ったものでも1、2回しか着ないで、そのままクローゼットに眠ってしまうみたいなこともありました。すごいもったいなかったと思います。
例えば、それが1000円、2000円だったとしても着なかったら意味がないと思いませんか?それよりもちょっと値段は高いけれども、本当に自分に合っていて、好きだと思えるもの、結果的に長く着ることができるものを選ぶ方が金銭面的にも得になったりする可能性があると思っています。
結構見落としがちですが、実は、できるだけ今持っているものを大事にすることがすぐにできるアクションです。今持っている洋服に飽きてしまっているのであれば、ちょっとデザインを加えたり、工夫してみたりすることもおすすめです。
まずは自分の持っているものをどれだけ長く大事にできるかっていうことを考えることが何よりも環境負荷が低いと思います」。
「どんなものでも買ったものは、長く使うー」。
見落としがちだけれども、身近にできることは実はたくさんあるかもしれません。
あなたがファッションで環境負荷を減すために、やっていることはなんですか?無理なく続けられるコツもぜひ、コメントで教えてください。
BS1「Ethical Every Day」
地球環境に負荷をかけず、より良く暮らすヒントを発信。