
相次ぐごみ収集車の火災事故 原因は充電式電池か
5月30日は、ごみゼロの日です。私たち、「地球のミライ」では、ごみゼロの日に合わせて「ごみの分別や捨て方の悩み」についてアンケートを行いました。
集まった声の中には、消防車の火災につながりかねないリスクも…。事故を防ぐにはどうしたらよいか?アンケートの声に答えるため東京消防庁に取材しました。
(地球のミライ取材班)
電池の捨て方に悩む声

(集まった声の中には 電池に関する悩みも…)
アンケートに寄せられた声には、「電池」、「モバイルバッテリー」、「小型家電」の捨て方に悩む声が。
□電池の捨て方は?(大阪・40代)
□モバイルバッテリーの捨て方は?(奈良・40代)
□小物家電の捨て方がわからない(佐賀・40代)
ゴミ収集車の火災の原因などを調べている東京消防庁に取材すると、近年、電池が原因でゴミ収集車の火災が相次いでいることがわかりました。
東京消防庁の調べでは、去年ごみ収集車で火災が起こった原因で、最も多かったのは「充電式電池」による火災だったのです。
年間50件以上の収集車火災が…
【令和4年中のごみ収集車 火災状況(東京消防庁 4月4日の速報値)】

東京消防庁がまとめた令和4年のごみ収集車火災の状況です。
全51件中、原因として最も多いのは充電式電池。およそ半数の24件に及びます。
火災の原因は「ごみ収集車の回転板を操作した際に、リチウムイオン電池が内蔵している製品が押しつぶされ、電池内部で短絡(ショート)して出火した」という事例があるとのこと。
その発火のメカニズムとして、
「リチウムイオン電池は、携帯電話(スマートフォン含む)、ノートパソコン、モバイルバッテリ等を始め、幅広い電子・電気機器に搭載されている充電式の電池です。エネルギー密度が高く、可燃性の有機溶剤の電解液を使用しているため、電池内部で短絡して出火することがある」
つまり、電池の短絡によって出火する、と分析しています。
ボタン電池 意外な火災原因に…

時計、キッチンタイマーや電卓、車のキーなどに使われている「ボタン電池」。
これは捨てる前の保管段階でも火災のリスクが…
「電池の異極どうしを金属などの導体で短絡させると、発熱して出火することがあります」
(東京消防庁)
つまり、ボタン電池は重ねて保管することで、発火する恐れがあるのです。

そのため、セロハンテープなどで電池を巻き「絶縁」することで、「短絡を防ぐ」保管方法は有効だとしています。

東京消防庁によれば、近年、モバイルバッテリー、携帯電話機(スマートフォン含む)、電動工具、コードレス掃除機、電動アシスト自転車に使用されているリチウムイオン電池による火災が多く発生しているといいます。
充電式電池の他にも火災につながったごみが…
これまでにお伝えした充電式電池のほかにも、
【エアロゾール缶等 10件】
▶ごみ収集車の回転板を操作した際に、カセットボンベやスプレー缶が押しつぶされて残存していた噴射剤であるLPG やDME 等の可燃性ガスが漏洩し、荷箱内で発生した火花で引火。
【ライター 4件】
▶ごみ収集車の回転板を操作した際に、ライターのスイッチが入り、近くにあった可燃ご
みに着火。
【たばこ 1件】
▶火種が残ったたばこの吸い殻が混入していたため出火
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東京消防庁
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「スプレー缶単体でもライター単体でも火災は起きます。スプレー缶は噴射剤として可燃性ガスが使用されているものがあります。中身が残った状態でごみ収集車内に廃棄されると、回転盤により容器が押しつぶされ、まれに発生する火花により、内部の可燃性ガスに引火して火災が発生するおそれがあります。ライターは、スイッチが誤って入ることで出火することや、完全に消えていないたばこの吸い殻がごみ袋に混入していることで時間が経過してから出火することもあります」

どうやって廃棄する?
大切なのは、製品について知り、捨て方のルールを調べること。
東京消防庁によると、捨てる際には
「必ず製品の取り扱い説明書や注意書きを確認してください。自治体を介してごみとして廃棄する際には、各自治体の分別排出ルールにしたがって分別・廃棄する必要があります」と注意を呼びかけています。
発火の原因となる製品については…
▶リチウムイオン電池
衝撃や落下等により出火する危険性があるため、貯めずにこまめに処分し、廃棄まで保管する場合は、端子を絶縁し金属缶に入れるなど万一出火した際も周りに延焼しない方法で保管するのが安全です。
近年、インターネットショッピング等で、モバイルバッテリーや互換性バッテリーと称して販売されている製品から出火する火災が発生しています。販売されている製品の中には、製品の欠陥により壊れて使えなくなるだけでなく、出火して周辺の可燃物に延焼して大きな被害が発生することがあります。
製造会社の問合せ先がないものや、連絡先に連絡してもつながらないことがありますので、商品を購入する際にも注意が必要です。
▶スプレー缶やライター
中身を使い切り、使い切れなかった中身を廃棄する場合は、火気のない風通しの良い屋外で中身を廃棄して下さい 。
▶たばこ
水につけるなど完全に火が消えているのを確認してから 廃棄して下さい 。
「ごみを出すだけで終わり」ではなく、ごみを出した後のことも少し想像するだけで、事故が防げることがあります。
「わからないから、適当に捨てる」ということがないように、自分の住んでいる地域のごみの出し方をいま一度確認するところからスタートしてみてはどうでしょうか。
【530の日に考えたい!優しいごみの捨て方】
ごみ清掃員・お笑い芸人 マシンガンズ 滝沢秀一さんに教えてもらいました。
配信期限 :6/4(日) 午前1:40 まで