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能登×四国 四国で考えたい防災 Q&A

  • 2024年03月08日

    2023年1月1日に発生し、大きな被害をもたらした能登半島地震。
    南海トラフ巨大地震が予想される四国の皆さんの中にも「ひと事ではない」と感じた方がいたのではないでしょうか。
    NHK松山放送局に寄せられた地震や防災に関する質問に、専門家が答えます。

    (四国らしんばん 『能登×四国』 取材班)


    答えてくれたのは防災アナウンサーで能登半島の被災地で支援活動を続けている奥村奈津美さん、そして金沢大学出身で今回の地震の調査にも参加した愛媛大学防災情報研究センター副センター長の二神透さんです。そして15年以上防災士として活動している、日本防災士会愛媛県支部の八木昭憲支部長です。

    【備え】

    Q 水はどのくらい備蓄しておけばいいの?

    水は1週間分備蓄してください。
    目安の量は、1人1日3リットル×7日分=21リットルです。
    つまり、2リットルのペットボトルが6本入ったケースを2箱用意すれば達成します。

    数字だとイメージしづらいですが、箱に置き換えると意外とコンパクトと感じるのではないでしょうか。
    置くスペースに困ったら、ベッドの下やクローゼットの中などに分散して備蓄するのもいいでしょう。
    また2リットルのペットボトルだと重いので、500ミリリットルのペットボトルもあると持ち運びしやすく衛生状態も保ちやすくておすすめです。


    Q 家に常備する防災グッズでこれだけはというものを3つほどあげるなら何がありますか?

    防災というのはこれとこれをしておけば大丈夫ということはありません。
    3つあげるなら水のほか、トイレ、お年寄りでしたら常備薬です。
    必要なものは季節や地域、赤ちゃんがいるなど家庭によっても変わります。


    Q 防災バッグはどこに収納すればいいの?

    まずは、地震が来て家が危なくなったときに逃げる「玄関」です。
    それ以外にも家の2階や、車、倉庫、職場などにも1個ずつ置いておくと身の安全が図れると思います。


    Q 非常食は何食分用意しておいた方がいいのでしょうか

    在宅避難が可能な場合は、非常食よりも普段食べているもので常温長期保存できるものと、水、カセットコンロボンベを1週間分備蓄しておくことをオススメしています。
    非常食を備蓄する場合は、あらかじめ試食して、口に合うか確認してみてください。


    Q 非常用トイレの使い方を知りたいです

    用意してほしいのは、45リットルのゴミ袋、凝固剤、養生テープです。
    ① 便器に袋をかぶせ、養生テープで固定します。
    ② その上からさらにもう一枚袋をかぶせます。
    ③ 凝固剤を入れます。
    ④ 用を足します。
    ⑤ ②でかぶせた袋の口を結び、自宅で保管します。

    凝固剤はホームセンターなどで手に入れることができます。
    手元にない場合は、おむつ、ペットのトイレシートなどでも代用が可能です。
    おむつはサイズアウトしたものを非常用としてとっておくと便利です。
    水を無理やり流すと、水漏れ、詰まり、逆流、その後の復旧にも影響が出る恐れがあります。
    配水管は見えないところで破損している恐れがあるので、一見大丈夫そうに見えても絶対に流さないようにしましょう。


    【被災したら】

    Q 避難所に逃げられない場合、家の中で一番壊れづらい場所があれば教えてください

    残念ながら「ここにいたら絶対に大丈夫」という場所はありません。
    そもそも耐震性が低い家の場合、家が潰れてしまえば、机の下に隠れていたとしても机ごと潰れてしまいます。
    耐震性を保っていない家だと安全な場所はありません。
    やはりまずは、家の耐震性を確保することから始めましょう。

    耐震診断の様子

    Q トイレなど、狭い部屋の方が崩れないと聞きますが本当でしょうか。

    トイレは、狭い場所に柱が4本立っていますので頑丈さはあると思います。
    ですが阪神淡路大震災や能登半島地震で1階がつぶれている状況もありましたので、安全策とは言えません。

    そこで、部屋の1つを耐震工事していただくのがおすすめです。
    1日くらいの工事でできますし、値段も30万円や50万円で、行政によっては助成金が出る場合もあります。


    Q 被災した家に入りたい時、危険を見極めるポイントがあれば教えてください

    自宅が応急危険度判定で「危険(赤)」、「要注意(黄)」、「調査済(緑)」のうち、「危険(赤)」が張られた場合は、余震で倒壊するかもしれませんので、なるべく入らない方がよいと思います。
    ※応急危険度判定:大規模な地震のあと2次被害の防止を目的に、建物が倒壊するおそれが無いか、窓ガラスや瓦などが落ちるおそれがないかを判定する制度。


    Q 避難する時、何日間自宅に帰れないと予想した方がいいでしょうか

    自宅の被災状況にもよりますが、応急危険度判定で「危険(赤)」で半壊以上の場合、危険が取り除かれるまでは自宅に帰れません。


    Q 災害時にデマやフェイクニュースで誤った情報が出回ると困る。信頼できる情報を得るにはどうしたらいいの?

    能登半島地震でもデマによる混乱がありました。
    まずは「情報源がどこか」を必ず確認してください。
    情報源が信頼できるものであればいいですが、誰が発信したか分からないものであれば、信じないようにしましょう。
    NHKでも放送のほか、ウェブサイトやXなどでも災害に関する情報を提供しています。
    またふだんから取り組める防災情報や災害時の注意点などをまとめた「NHK防災」というサイトもあります。

    >>「NHK防災」特設サイトはこちら


    Q 帰省や旅行など、出先で被災した場合、どのような行動を取るべきなのか

    その地域のリスクによって変わります。
    事前にハザードマップで確認し、地域のリスクと避難場所を把握しておいてください。


    Q ハザードマップを見てもどこに行けばいいのか、何を備えればいいのかわからない

    実はハザードマップの見方が分からない人はとても多いです。
    そんな人は「リスク診断ができるサイト」を活用してみてください。
    例えば、私が共同で開発に携わった1分でできるパーソナル防災サービス「パソボ」では、住んでいる場所や家族の構成など13の設問に答えると、どういった災害に備えなければいけないのか、家にいても大丈夫か、もしくは避難所に行かなければいけないのか、など災害時の避難方法や具体的な備えを教えてくれます。

    奥村さんが監修した診断サイト
    簡単な質問に答えていくと診断が出る

    また位置情報から家の揺れやすさや洪水・土砂災害・津波の危険性まで知ることができます。


    Q 専門家は自分のためにどんな備えをしているの?

    私はいつも乗っている車を車中泊できるように準備しています。
    荷台に積んでいる白い箱は冷蔵庫。
    その左上に乗せているのは大容量バッテリーです。
    また遮光カーテンがあれば車を個室にすることができます。

    二神さんの防災仕様の自家用車

    冷蔵庫は普段、買った魚を入れたりして使っています。
    こうした普段使いがそのまま防災に生きてくる、「フェーズフリー」という考え方が大切なんです。
    ぜひ実践してみてください。


    Q テントや車で避難生活をするとき気をつけるべきことは?

    暑さ・寒さ対策です。
    特に寒冷地での冬のテントは、寒さ対策が必要となります。
    低体温症で命を落とす場合もありますので防寒対策に徹してください。
    車中泊の場合、足を延ばして寝られる環境を整えてください。
    足を曲げたままで長時間過ごすと、エコノミークラス症候群で命を落とすケースもあります。


    Q 夜中や雪・台風などの悪天候ときの避難のポイントが知りたいです。

    夜だったらヘッドライト、雪だったら防寒具、雨だったレインウエアなど完全防備で避難することが大事です。


    Q 避難生活でストレスの原因になりやすいことは?

    一人暮らし、家族暮らし、在宅避難、避難所での避難等、状況によってストレスの原因は違うと思いますが、ここでは避難所での生活を仮定しましょう。
    避難所では、衣食住、暑さ、寒さ、トイレ、プライバシー、ペットなど、様々な問題がストレスになります。 また被災による喪失体験(家、仕事、家族、友人など大切なものを失う)、絶望感・悲嘆そして避難所内の人間関係なども大きなストレスになります。


    Q 被災した際、子どもたちが自分でできる心のケアはありますか?

    できるだけお子さんを1人にせず、家族が一緒に過ごし、日常の生活ができるよう保つことが大事です。
    遊びたい時に安心して遊べる空間作り、特に幼い子どもたちは、地震ごっこなど、遊びの中で起きた出来事を表現し、ストレスを対処することもあります。ただ、自分だけでは対処できない場合もあるので、専門家に相談することなど保護者や周りの大人が選択肢を知っておくことも大事です。


    Q 小学生と保育園に通っている子供がいます。日中に地震が起きた場合どちらから迎えに行った方が良いですか?

    小学校も保育園も、地震時の引き渡し訓練を行っていると思いますので、どちらのお子さんも迎えに行ってください。
    ただし津波が想定されている小学校・保育園ですと、学校・園による安全確保が前提となりますので、迎えに行くと逆に津波によって被災するかもしれません。
    事前の確認が必要です。


    Q 介護が必要な家族がいる場合、事前にどのような準備をし、どこに相談しておけばいいのでしょうか

    自治体の福祉や個別避難計画の担当者、平時から利用している福祉サービスの担当者に相談したり、地域の方とも避難について相談しておくと良いと思います。
    介護度や住んでいる地域によって対応などは違うため一概には言えませんが、事前の備えとして耐震基準を満たした家に住むこと、安全なエリアを選ぶなど、基本的な地震対策というのが大事です。


    Q 被災後もし水がなくなった時にどうすれば良いか知りたいです

    給水所に取りに行きましょう。
    生活用水は井戸水や雨水、川の水、雪解け水なども活用することができます。


    Q 震度7の揺れでダムは大丈夫でしょうか?決壊やダムからの水が心配です

    ダム自体は震度7でも問題ないと思います。
    むしろ河川が土砂災害で閉塞し、「天然ダム」、「土砂ダム」が発生し大きな被害を出す場合があります。


    Q 避難所の運営方法は過去より進化出来ているのでしょうか?出来ていないとしたら何が原因なんですか?

    避難所の運営は行政が行うのではなく、そこに避難してきた住民が主体的に運営する必要があります。
    熊本地震では多くの避難所が行政によって運営され、避難してきた住民は“お客さん”となってしまいました。
    自分たちが主体的に運営すれば、細やかな配慮に繋がります。


    Q 会社のBCPで安否確認の訓練をしますが、実際はラインやPCメールは、災害発生時も使えるのでしょうか

    携帯電話の基地局が被災すると、ラインやメールが使えないケースも想定されます。
    家族会議を開いて、家族がバラバラの時に地震が起こった場合、落ち合える場所と時間を決めておきましょう。

    【支援】

    Q 被災者の方のために必要なボランティアは何なのでしょうか、一般人でもできることを知りたいです

    災害の被害状況によって変わりますが、以下は内閣府の資料にあるものです。
    【被災地で行われた防災ボランティア活動の例】
    ●避難所でのお手伝い(炊き出し、洗濯など)
    ●話し相手、足湯
    ●子どもの遊び相手、託児代行
    ●ペットの世話
    ●暮らしに必要な情報の提供支援
    (FM 放送、ニュースレター、ミニコミ誌など)
    ●家の片付け
    ●水害の場合の泥だし
    ●暮らしのお手伝い
    (お買い物、家事手伝い、家庭教師など)
    ●配食サービス
    ●生活物資等の訪問配布
    ●被災された人たちに元気になっていただくための
    交流機会づくり、イベント開催
    ●暮らしの再建のための専門家の相談会、勉強会
    ●復興期における地域おこしのお手伝い
    など


    Q ボランティア活動に参加するのに、年齢制限などはありますか?

    水害の場合、安全面だけでなく、衛生面の観点からも小中学生には作業をさせないよう、呼びかけられています。

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