「えひめふる里山歩き」その(4)皿ヶ嶺
- 2023年08月02日
愛媛県内の身近な里山の魅力を紹介するシリーズ「えひめふる里山歩き」。4回目は東温市と久万高原町にまたがる皿ヶ嶺です。夏の暑い時期でも涼しく楽しく過ごせる楽しみがたくさんありました。
(NHK松山放送局 松田利仁亜)
皿ヶ嶺は標高1278m。
松山平野の南に屏風のように並ぶ山々の代表ともいえる山です。
山頂付近の稜線は見るからになだらか。それが皿を伏せたように見えることからその名がつけられたそうです。
皿ヶ嶺山頂へは登山口が複数ありますが、今回は標高 約950mにある上林森林公園から登ります。車でこの高さまで来られるし、駐車場やトイレも整備されていて初心者にもおすすめです。
この日も朝早くから多くの人が訪れていました。
案内してくれるのは東温市観光物産協会の事務局長吉岡智美さん。
これまで何度も皿ヶ嶺に登っていて、登山イベントを開催した経験もあります。
「皿ヶ嶺は花の山といわれるほど春から秋にかけてお花が楽しめます。広葉樹林帯もきれいですし、なおかつ竜神平という湿原もあって多様な姿を見せてくれる山です。登山口から頂上まで標高差が300メートル程度で、初めての方でも登りやすい山です」
歩き始めてすぐ、7月中旬にもかかわらず、平地ではすっかり見ごろを過ぎたアジサイが咲き誇っていました。
吉岡さん
「上林森林公園のアジサイは7月からのお楽しみです。平地の6月中旬からの見ごろから1か月ずれてる感じ。7月いっぱい楽しめます」
標高が高い場所だからこその見られる光景。
よく晴れたこの日、朝からすでに暑かったのですが、それを忘れさせてくれる清涼感がありました。
登山を開始してすぐ、道沿いにはアジサイの仲間、ギンバイソウが。
序盤、そのつぼみに囲まれるように進みます。
登山道にはブナやケヤキ、ミズナラの大きな木も。
木々の枝や葉が日光を遮ってくれるので、夏の晴れの日であっても道中の快適さはまったく違うと思いました。
とは言え、そもそも汗っかきの私。大粒の汗がしたたり落ちていた頃にあったのが水場です。
手を少しつけていただけでしびれるような冷たさ。その水で顔を洗うと実に気分爽快でした。
そして、その先には、広々とした空間が。標高約1150mにある竜神平です。
手元の温度計で気温は25度ほど。吹き渡る風を全身で受けると実に心地よかったです。
吉岡さん
「こういう高い標高で湿地帯っていうのはなかなか四国ではない環境なので。珍しい植生を観察することができます」
ただ、竜神平は環境の変化で乾燥化が進み、ササやカヤなどが勢いを増し勢力を広げているそう。
変化する自然、そしてその原因になっているかもしれない私たちの営み。
どのようにふるまうのが正解なのか難しさを感じました。
さてここで、ふる里山歩きワンポイント。
山で出会った花などをスマホで撮影する際、上手に撮る方法です。
このコーナーの撮影担当、岡部カメラマンによりますと、
●カメラがぶれないように、脇をしめて撮影する
●カメラの四角をしっかりと固定する。動画の時はマイクの部分をふさがないように
●手前にものを入れ込んで撮影すると遠近感がより際立つ
上が私が撮影したもので、下が岡部カメラマンが撮影したもの。やっぱり違いますよね。山に行った際、あるいは日常でもぜひ参考にしてみてください。
そしてたどり着いた、標高1278mの皿ヶ嶺山頂。
見上げる雲がかなり近いと感じます。コーナー初の1000m超えは達成感がありました。
山頂から少し下ったところからは松山市街が一望。
これまでもいい景色を堪能してきましたが、別格の眺望でした。
元来た道を下って登山口に。
山で熱くなった体を冷ましてくれるご褒美のような場所がありました。風穴(かざあな)です。
地下の空間に冷気がたまり、山の斜面の岩の隙間から1年中風が吹き出しています。
「山に登るのはなぁ・・・」という方も、暑さを忘れさせてくれる風穴、おすすめです。
ただ、涼しいと感じたのは一瞬で、しばらくその風にあたっていると寒いほどでした。
吉岡さん
「皆さんに何より愛されている山だと思っていて、なおかつ湿原であったりとか多様な植生も動物も見れますし、この身近な環境でこういったところがあるっていうのは宝にすべきだなと思ってます」
一句詠んでみました。
「木漏れ日に紺碧の空盛夏来る」
ふと上を見上げると木漏れ日と濃い青空が見え、いよいよ本当の夏が来た!と感じたことを詠んだつもりです。
皿ヶ嶺について
所在地:愛媛県東温市・久万高原町(山頂は久万高原町)
標高 :1278m
「えひめふる里山歩き」のコーナーでは皆さんおすすめの里山の情報を募集しています。
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