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熊本ゆかりの桜「千原桜」

地域で愛され、守られてきた”宝”
  • 2024年04月11日

熊本城の加藤清正像のそばで

加藤清正像と千原桜(右)

熊本城のお堀沿いに建つ、加藤清正の銅像。

すぐ隣には、真っ白で大ぶりな花を咲かせる桜の木がありました。この美しい桜の正体を知りたくて、発祥とされる地を訪ねました。

(熊本放送局記者 藤崎彩智)

多くの観光客でにぎわう(熊本市中央区)

2024年4月2日。熊本市でソメイヨシノの満開が発表されたこの日、熊本城を築いた加藤清正の銅像のすぐ隣では、真っ白で大ぶりな花を咲かせた桜が見頃を迎えていました。

千原桜(ちはらざくら)

この桜は、熊本が発祥とされるヤマザクラの一種、「千原桜」(ちはらざくら)です。1つの枝に一重(ひとえ)と八重(やえ)の花をつけ、芯が青っぽいのが特徴です。

発祥とされるのは熊本市西区

西廻りバイパス(熊本市西区島崎3丁目)

千原桜の名前は、熊本市西区島崎の旧地名、千原台(ちはらだい)が由来とされています。

熊本市立城西小学校 

その千原台にある城西小学校のそばには、かつて樹齢が200年を超えていたと伝わる千原桜の巨大な原木がありました。

原木は今から100年近く前の大正14年(1925年)に道路拡張工事のため、伐採されたということですが、学校の正門の近くには原木があったことを伝える石碑が建てられています。千原桜を40年近く見守り、保存活動にも取り組んでいる中山貴之さん(80)が案内してくれました。

中山貴之さん(80)

中山貴之さん(80)
「千原桜は地域の宝です。この小学校のシンボルツリーにもなっていて、子どもたちにとって桜といえば、千原桜です。今は古い木が多くなり、伐採されるなどして数が減ってきています」

老木となってもなお、子どもたちを見守る

正門の近くや校庭では、原木から接ぎ木などで育てられた千原桜の花が咲き誇っていました。老木となっても変わらず花を咲かせ、春風に揺られながら、遊んでいる子どもたちを優しく見守っているようでした。

地域の人たちに愛されて

熊本城を望む石神山公園(熊本市西区)
樹齢20年ほどの千原桜

千原桜は熊本市内を中心に数か所で見ることができ、このうち熊本城を望む高台にある西区の石神山公園には20本ほどが植えられています。見頃を迎えた千原桜の下では、女性たちが集まって談笑していました。

女性たちは、千原桜の真っ白な花びらが風に舞うたびに、その美しい光景をスマートフォンで動画に収めていました。地域の人たちは毎年、千原桜の開花を楽しみにしていて、今年は大人数でお弁当を食べたり、千原桜をライトアップしたりしてお花見を楽しんだということです。

来年の開花をお楽しみに・・・

「花と葉が同時に出るのも特徴」だという

中山さんは千原桜の保存会のひとつに入っていて、木の周辺の雑草を刈り取って管理しているほか、近くの千原台高校で生徒と一緒に苗木を育て、千原桜を増やす活動にも取り組んでいます。去年は苗木の入手が難しかったということで、今年は入手して育てたいと意気込んでいました。

(中山貴之さん)
「千原桜の魅力は純粋な美しさで、地域の人はみんなが大好きです。きちんと管理していけば、樹齢が100年を超えるので遠い子孫が見られるように残していきたい。守っていきながら熊本県内に、もっと広げていけたらいいなと思う」

来年また会いましょう!

千原桜の見頃は3月下旬から4月上旬にかけてで、例年だとソメイヨシノよりも数日から1週間ほど遅れて満開になるということですが、今年は千原桜のほうが少し早く見頃を迎えていました。今年は見ることができなかった方も、ふるさと熊本で愛され守られてきた千原桜に思いをはせながら、来年の開花を楽しみにしてみてはいかがでしょうか。

  • 藤崎彩智

    熊本局記者

    藤崎彩智

    2021年入局。警察・司法担当などを経て、2023年8月から熊本市政を担当。豪雨からの復旧や鉄道など経済も継続取材。

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