ありがとう「SL人吉」これまでの歴史は
- 2024年03月22日
「SL人吉」歴史をふりかえります
「SL人吉」をけん引する蒸気機関車、通称「ハチロク」。
2024年3月23日、機関車の老朽化などを理由にラストランを迎えます。
1922年11月18日に完成してから100年以上。これまでの活躍をふりかえります。
(熊本放送局・藤崎彩智、神田智生)
大正生まれの蒸気機関車 1922年~
「SL人吉」をけん引するのは1922年(大正11)11月18日に完成した「8620」形「58654号機」、通称「ハチロク」です。
JR九州によりますと、蒸気機関車の国産化が本格的に始まった時代につくられ、営業運転するSLとしては日本最古です。
はじめに、長崎県の浦上機関区に配置されたあと、福岡県、鹿児島県、大分県、佐賀県、熊本県と、九州各地で活躍しました。
1975年(昭和50)3月には人吉機関区で役割を終え、肥薩線の矢岳駅で大切に保存されていました。
「SLあそBOY」として復活 1988年~2005年
1988年8月28日には「SLあそBOY」として運行が始まりました。
豊肥本線の熊本駅と宮地駅の間を走り、雄大な阿蘇山をのぞむ車窓の景色や、急なこう配を運行する際に進行方向を転換するスイッチバックを楽しむことができることから人気を集めてきましたが、部品の老朽化により2005年8月28日に運行を終えました。
JR九州によりますと、引退するまでの17年間でのべ52万人が乗車したということです。
その後、SLの復活を望む声を受けて、福岡県北九州市のJRの工場で、およそ2年間かけて改修作業が行われました。
「SL人吉」として再復活 2009年~
2009年4月25日からは「SL人吉」として再復活しました。
熊本駅と肥薩線の人吉駅の間で運行され、吹き上げる蒸気や甲高い汽笛の音、それにすぐ近くを流れる球磨川の雄大な景色を楽しめることなどから、観光客や地元の人たちを魅了しました。
しかし、2020年7月の豪雨で球磨川が氾濫。
肥薩線は球磨川にかかる長さ205メートルの「球磨川第1橋りょう」と長さ179メートルの「第二球磨川橋りょう」の2本の橋が流失したほか、線路の土台部分が流されるなど450か所で被害を受け、一部区間での不通が続き、運行ができなくなりました。
熊本~鳥栖で運行 2021年5月~
2021年5月から「SL人吉」は、運行する区間を変更し、鹿児島本線の熊本駅と佐賀県の鳥栖駅の間を走っています。しかし、機関車の老朽化がさらに進み、メンテナンスを担う整備士の確保も難しいことから、今月で運行を終えることが決まっていました。
ラストランとなる3月23日は、熊本駅と博多駅の間を往復で特別運行し、博多駅では出発式が行われます。また、翌日の24日には熊本駅から八代駅まで沿線の住民などを招待して運行し、八代駅では絶やさず守ってきた火を消す「火消し」など運行終了式が行われます。