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「宇土櫓」 復旧に向けて

解体工事を前に 内部を公開!
  • 2023年11月13日

熊本城は、7年前の熊本地震で33のやぐらや塀が 被害を受けました。
このうち “ 第3の天守 ” とも呼ばれ、天守閣から西側に位置する国の重要文化財の
「宇土櫓(うとやぐら)は、地上5階地下1階建ての木造建築物です。
地震で大きく損傷したため、一度解体してから 復旧工事を行うことになっていて、
このほど内部が報道陣に公開されました。

このうち地下1階は、地震前も一般には公開されていなかった場所です。

地下1階

昭和2年に宇土櫓(うとやぐら)をすべて解体して 修理を行った際に、
コンクリートで補強されていますが、熊本地震のあと大きな亀裂が入っているのが見つかりました。

数多くの被害

1階は、いたるところで 土壁がはがれています。
壁などを補強するために 入れられている鉄骨も 曲がっています。

鉄骨は、やぐらをすべて解体して 修理を行った際に入れられたということですが、
こうした補強によって、被害を小さくする効果があった とみられています。

柱は床から垂直にレーザーを当てると、上にいくほどずれていて、傾いています。
(垂直の赤い線が、右にやや傾いています。)

さらに別の柱では、鉄骨をボルトで固定した部分で 木材が裂けて折れていました。

また、床もところどころ傾いていて、場所によっては 最大で26.5センチも下がっています。

2階は一部の床が抜けていて、近くの壁がはがれて落下し、穴が空いたものとみられています。

今後の復旧について

最上階の5階からは 現在、雨や風を防ぐため やぐら全体を覆う「素屋根(すやね)」と呼ばれる
囲いを組み立てる様子が内側から見ることができます。

囲いの一部は 透過性があるシートを使う予定で、熊本城の天守閣の最上階からは、
解体されていく宇土櫓(うとやぐら)の様子を うっすらと見ることができるということです。

復旧に向けて宇土櫓(うとやぐら)を一度解体する理由について、
熊本城総合事務所復旧整備課の田代純一技術主幹はこのように説明しています。

田代純一
技術主幹

宇土櫓(うとやぐら)では、柱や床の傾きなど 
下層部の構造部材の被害が特に多かった。
このため、部分的な修繕では全体のゆがみを直すのは難しく、
一度解体することになった。

宇土櫓(うとやぐら)は 来年から2年かけて一度解体されたあと、設計作業などを経て、
2032年度に復旧工事を終える予定だということです。

また、復旧に向けて作業とともに 柱などの部材を調査することで、
いまだ はっきりとしていない やぐらの創建時期などについても、調査を進めることにしています。

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