防災植物って何? 身近な野草が非常食に
- 2024年03月22日
ことし1月に起きた能登半島地震の被災地・石川県では、多くの避難所で食料などが不足しました。高知県でも南海トラフ巨大地震が想定されているだけに、心配している方も多いのではないでしょうか。
こうした災害時の食料の心配を少しでも和らげようと、身の回りに生えていて食べられる野草を防災植物と名付け、非常食として活用しようとする取り組みが高知県内で行われています。今回は、四万十市で開かれた教室を取材しました。
(高知放送局キャスター 矢島夏)
防災植物って何?
3月9日、四万十市のキャンプ場で植物採取に夢中になっている方々がいました。
みなさんが採取しているのが、防災植物。非常時に食料として食べられる野草です。
防災植物を知ってほしい
身近な野草を災害時の非常食に活用してもらおうと教室を開いたのは、「日本防災植物協会」です。
四万十市を中心に、県内外で防災植物の普及活動を行っています。
日本防災植物協会の斉藤香織さん。
斉藤さんが防災植物の必要性を感じたのは、東日本大震災がきっかけでした。
東日本大震災の時に、私は東京にいました。その時、すぐにスーパーやコンビニから食べ物がなくなりました。そのときに身近に生えている食べられるものを知っていたら、非常に心強かっただろうなと思ったことがきっかけです。(日本防災植物協会事務局長 斉藤香織さん)
防災植物で大事なのは、食べられる植物の見分け方です。
よく観察して、食べられる植物の名前や特徴、採取できる時期などを覚えます。
春は、ヨモギや菜の花が採取できるそうです。
そのほかにもシロツメクサやツユクサなど、身の回りでよく見かける野草も立派な防災植物なんです。
ただ、野草によっては苦みが強いものや毒があるものもあります。
食べられる野草かどうか、注意が必要です。
お待ちかねの調理タイム!
野草を採取してきたら、さっそく調理していきます。
災害時は食料もありませんけど、火・油・調味料・調理器具などもないことが多いと思います。そういうときでも、採集した野草をおいしく食べていくということをきょうはチャレンジをしてみたいと思います。
私も防災植物でサラダを作ってみました。作り方はとっても簡単!
まずは、ビニール袋に野草を入れます。
そこに塩と水を加えて、振りながら野草を洗います。
洗浄した水を捨てたら、味をつけます。
調味料は、災害時でも手に入りやすいスナック菓子や缶詰で代用。
これもビニール袋にいれて、さっと振れば・・・
簡単でおいしいサラダの完成!
私も、実際に防災植物で作ったサラダを食べました。少し苦みもありましたが、おいしかったです!シャキシャキしていて、本当の野菜のサラダを食べているみたいでした。
教室では防災植物の活用方法だけではなく、ブルーシートと段ボールを使った簡易な食卓の作り方なども教えてくれました。
みなさん、自分で作った食卓で調理したサラダを味わっていました。
活動への思い
災害時に不足しがちなビタミンなどの栄養を補える利点がある防災植物。
日本防災植物協会の石川愼吾さんは、おいしさも広めることで、認知度を高めていきたいと意気込んでいます。
能登半島の地震でも分かったように、孤立する場合が多いです。そのときに、やはり備蓄している食料というのは、どうしても栄養に偏りが出てしまいます。一番不足しがちなのは野菜。その野菜の代わりにするのが、食べられる野生の植物です。それを取ることによって震災下でもそういう災害時であっても健康な生活を維持できる、そういう1つの切り札になるのかなと思います。(日本防災植物協会理事長 石川愼吾さん)
防災植物の注意点は?
日本防災植物協会は、防災植物を食用として活用するときの注意点を4つあげています。
①植物の中には有毒なものがありますので、正しく見分けましょう。
②体質や体調によってはアレルギー反応が出る方もいます。
③安全性がわからないものは、口にしないようにしましょう。
④分からない時や迷った時は、正しい植物の知識をもった人に聞きましょう。
また、イベントの情報などは、日本防災植物協会のホームページにてご確認ください。