ページの本文へ

こうちWEB特集

  1. NHK高知
  2. こうちWEB特集
  3. 朝ドラ『らんまん』松坂慶子さん好演の裏側 万太郎の祖母役

朝ドラ『らんまん』松坂慶子さん好演の裏側 万太郎の祖母役

  • 2023年04月17日

朝ドラ『らんまん』で主人公の祖母・タキの好演が話題の松坂慶子さんと、女中を演じる高知出身の中村里帆さん。インタビューの中で、演じていく中でプライベートにも変化があったと明かしてくれました。(高知放送局 記者 田中開・聞き手 アナウンサー 永井克典)

「声の大きさを競うように…」

NHK高知放送局のロビーでインタビュー

『らんまん』もついに第3週に突入しました。多くの名シーンが登場する中、とりわけ目を引くのはこの人の演技だという人も多いのではないでしょうか。主人公・万太郎の祖母タキを演じる松坂慶子さん。伝統ある造り酒屋の主人として万太郎を厳しく指導しつつも、元気に成長する姿を温かく見守る姿がSNSでも話題となっています。

第1回で倒れてしまった万太郎の体調を気遣うタキ

迫力ある演技が印象的ですが、好演の裏側にはどんなエピソードがあるのでしょうか。

祖母 タキ役 松坂慶子さん
「(万太郎を)厳しく育てなくてはいけない状況にあるタキさんなので、まずは男勝りに酒蔵をまとめていかなきゃいけないでしょう。それで、声の大きい人にしようと思って。(番頭の)市蔵さん役の人とだんだん声の大きさを競うようになって…(笑)。みんな大きい声になっていってね、面白かったですよ。監督も『もっと厳しく、もっと強く』ってね。それでも、高知の太陽を浴びて元気に育った人なので、その明るさや快活さも出したいなと思って演じています」

第2週では、番頭・市蔵が買ったばかりの懐中時計を万太郎が分解してしまい、部品を書き写すというシーンも。実はモデルとなっている牧野富太郎博士の幼少期にも実際に同じエピソードがあるのですが、タキとしては心に葛藤を抱く場面だったといいます。

「私は監督に、これバラバラにして、もう一回市蔵に時計を買ってあげたのかしらって聞いたら『買わなかったと思います』って。かわいそう市蔵、なんて言いながらね。この才能はすごいと思いつつも、当主としてはどうしたものかと。酒造りを大事にしてきた先祖の思いも継がせたいし、この子の夢も開かせたい…。タキは万太郎を育てながら、ずっと葛藤していたのだと思います。それでも、タキにとって万太郎は生まれてきたこと自体が夢であり、希望なんですね。そのタキの心情は大事にしたい」

「人生ってうまく出来ている」

松坂さんはタキを演じていく中で、ドラマのモデルとなった牧野富太郎博士の人生に思いをはせることもあったといいます。

祖母 タキ役 松坂慶子さん
「高知市の県立牧野植物園などで博士のことを勉強しながら、やっぱり牧野博士は小さいときに病弱だったから、植物に目が行ったのだろうなと感じたんですね。元気な子だったら、きっと昆虫や動くことに目が行っただろうから、いろいろ人生ってうまく出来ているんだなって。その後、ちょっと登っただけで息切れするような山に植物採集で何度も登っていく。そのうちに、どんどん丈夫になって長生きされた。まさに高知の自然が育んだ博士だったんだなと、人生の不思議さを感じました」

「はちきん」らしさも意識して

そして、女中の たま を演じる中村里帆さん。万太郎の体調をいつも気遣いながら、表情豊かで元気な女中を演じています。高知市の出身として、生まれ育った高知が舞台の朝ドラに出演が決まったときのことを教えてくれました。

女中 たま役 中村里帆さん
「オーディションを受けたのですが、受ける少し前に高知が舞台の朝ドラがあると噂で聞いて、その瞬間に頭の中が『絶対に出たい』という気持ちでいっぱいになりました。出演が決まった瞬間は心臓が震えるのを初めて体感しました」

時代劇への出演は初めてだったという中村さん。演技指導のスタッフに動作を丁寧に教えてもらった一方で、型にはまった役作りではなく、高知の女性らしさを表現しようと工夫したといいます。

「高知の女の子の『はちきん』らしさというか、ちゃきちゃきとした感じが出せないなと思いました。私も豪快なほうなので、自分らしさを出して演じさせていただきました」

プライベートにも変化が

そんな松坂さんと中村さん。
『らんまん』の役を演じていく中で、プライベートにも変化があったといいます。

女中 たま役 中村里帆さん
「いつも見慣れた景色でせわしない日常を送っていると、どうしても植物に目を向ける機会は少ないですよね。でも、ドラマから“植物のパワーはすごい”と教えてもらって、最近はちょっと疲れたなというときは、上ではなく下を見るようになりました。それで新しい植物を見つけると日常が彩られる感じがしています。私服でも花柄を身につけることが増えました」

祖母 タキ役 松坂慶子さん
「私はまず高知の食に魅了されましてね。(高知での撮影中は)カツオのわら焼きを毎日のように食べて、ゆずサワーも飲みました。そしてだんだん今は、坂本龍馬とか山内容堂(幕末の土佐藩主)などの歴史にも目が向いてきて、撮影の合間に地元の博物館などを慌てて行ってみたりしています。高知は魅力が尽きない豊かな場所ですね」

「優しく背中を押してくれる作品」

そんなおふたりに、これからのドラマの展開への期待を聞きました。

女中 たま役 中村里帆さん
「今と比べて、まだまだ自由とは距離がある時代の中で、自分の好きなもので世界を切り開いていく情熱と、自分が共に歩みたい人と全力で生きていく決意と。この物語には自分が進みたい道を全力で駆け抜けていく人がすごく多いです。懸命に生きながらも、でも楽しく生きる姿が、時代は違えどすごく優しく私たちの背中を押してくれる作品になっていると思います」

祖母 タキ役 松坂慶子さん
「コロナが続いてなかなか外に出にくかった状況が、やっと少しずつ自由になってきたタイミングでの、この『らんまん』ですよね。自然の豊かさや植物の生命力、そして幕末から明治へという激動の時代をご覧になって、みなさんきっと元気の出る朝になるんじゃないかと思います。これから半年間、一緒に楽しんでいきましょうね!」

  • 田中開

    高知放送局 記者

    田中開

    2018年入局
    ドラマに登場する日本酒はどんな味だったのか、とても気になっています

ページトップに戻る