『らんまん』万太郎が触れた植物はレプリカ⁉ 朝ドラ舞台裏
- 2023年04月14日
今週の放送で登場したキンセイランやツユクサ。
そして、先週の放送で万太郎が母に持ち帰ったセツブンソウ。
これらの植物、実はすべて“レプリカ”だったんです。
植物が開花する時期をひとつひとつ待っていたら、ドラマの撮影は進みません。
本物そっくりの“植物レプリカ”は今回のドラマに欠かせない存在なのです。
(高知放送局 ディレクター・石原智志)
京都のレプリカ製作所
取材に伺ったのは、京都市にある創業98年の製作所。
『らんまん』では、およそ25種類ほどの植物レプリカを製作しています。
今回は、第1週に登場したセツブンソウの製作過程をご紹介します。
セツブンソウといえば、万太郎が病床の母のために持ち帰った白い花。
万太郎は本当は母が好きなバイカオウレンを採ってきたかったのですが、よく似たセツブンソウを持ち帰ってしまいました。ネットでは、“万太郎が間違った花”として話題になりました。
セツブンソウのレプリカ
①成型
まずは「ガク」の部分の成形から。
材料に使っているのはやわらかい塩化ビニルです。
ドラマでは、出演者がレプリカを指で触ったり、服にしまい込んだりするシーンがあります。
そこで今回はいつもよりやわらかい素材を使っているそうです。
本物のセツブンソウをもとに作った「型」に熱で温めた塩化ビニルを押しつけると、ガクの形や凹凸が浮かび上がります。
立体的に作りたいものは、車の部品作りなどでも使われる「真空注型機」という特殊な装置を使って成型します。
この装置を使えば、葉の厚みや葉脈も忠実に再現することができるそうです。
②切り抜き
成形したものを、手作業でひとつひとつ切り抜いていきます。
③色付け
本物の色合いを再現するため、塗料は何度も配分を変えて作っているそうです。
④組み立て
ロウや接着剤を使い、パーツをくっつけていきます。手先の器用さが求められる繊細な作業です。
⑤仕上げ
最後の仕上げに使うのは歯ブラシ!
茶色い絵の具をつけて吹きつけると・・・、まるで本当に土から引き抜いてきたみたい!
⑥完成
ひとつの植物レプリカを仕上げるのに数時間かかることも。
参考にしているのは、牧野博士の本!
製作を担当した飛川さんがいつも参考にしているのが、牧野富太郎博士が描いた植物図。
葉の長さやしべの数などの情報がいちばん詳細に書かれているそうです。