『らんまん』で万太郎の勉学のきっかけとなった本草綱目って?
- 2023年04月15日

『らんまん』で、登場した「本草綱目」。実際に牧野富太郎博士が持っていた「本草綱目」が牧野植物園に保管されています。本を見てみると、植物のほかにも意外なものが載っていました。
(高知放送局 記者 野本宗一郎)
「本草綱目」

『らんまん』で、蘭光先生がヘビイチゴについて、「毒はないが味もない」などと、万太郎に説明する場面があります。そして、これらは「書いちゅう」と話し、万太郎に手渡した本が「本草綱目」です。


しかし、万太郎は、読むことができませんでした。
それでも、「ぜんぶ読めるようになりたいです!」と先生に伝え、積極的に勉学に励んでいきます。
ドラマでは、万太郎が植物学に取り組むきっかけとして、「本草綱目」が描かれていました。
本草綱目とは
県立牧野植物園の文庫班長、村上有美さんです。
植物や牧野富太郎博士ゆかりの書籍に関わってきた村上さんに、「本草綱目」とはどのような本なのか、牧野博士との関わりはあったのか、聞きました。

県立牧野植物園 村上有美 文庫班長
「本草綱目」は、江戸時代より少し前に、中国で出版されました。食べたら腹の痛みが治るなど、動植物の説明が記載されていて、漢方の源流のような書物です。
中国から日本へ来た 本草綱目
村上さんに、本草綱目の成り立ちについて聞きました。
県立牧野植物園 村上有美 文庫班長
「本草綱目」は、1590年に中国で出版された後、日本に渡った52巻からなる書物です。「本草綱目」が出版される前、植物や動物の情報が書かれた「本草書」という書が存在していました。その「本草書」の内容をまとめて作られたのが、「本草綱目」です。
こちらは、「本草綱目」の、ある1ページです。

それぞれの植物について、葉や実の形の特徴を絵で記しています。

植物以外もあるんですよ
さらに、ページをめくると、意外なものが記載されていました。

カタツムリやヤスデなどの虫です。
また、目を疑う生き物も載っていました。それが龍です。

ただ時代を追うごとに、少し内容が変わり、龍をはじめとして、記載がなくなったものもあります。
「本草綱目啓蒙」
『らんまん』では、万太郎が大阪から本を取り寄せていました。その本が「重訂本草綱目啓蒙」です。
この本は、実際に牧野博士も取り寄せていて、自叙伝に本を取り寄せるきっかけが書かれています。
明治13年頃、佐川の医者の家に「本草綱目啓蒙」の写本が数冊あったそうです。
牧野博士はこの本の写本を借りましたが、欠本などもあるかもしれないので「重訂本草綱目啓蒙」を買ったと、自叙伝に記されています。
「本草綱目啓蒙」も、牧野植物園には保管されています。

県立牧野植物園 村上有美 文庫班長
「本草綱目啓蒙」は、小野蘭山という人物の「本草綱目」についての講義を、弟子がまとめた本です。「本草綱目」は、漢文で書かれていますが、「本草綱目啓蒙」は漢字と送り仮名で書かれているので、多くの人に親しみやすかったと思います。


紹介した2つの資料は、牧野植物園で保管されています。
現在は一般公開されていませんが、今後「本草綱目」を含め、『らんまん』で登場した資料を展示する予定だということですので、その際には、ぜひ足を運んで見てください。