学校のプールがなくなる?老朽化で高知市が検討委設置へ
- 2023年02月28日
高知市は市立の学校のプールの多くで老朽化が進んでいることから、安全な水泳の授業の実施に向けて、新たに検討委員会を設置し、今後の整備の方向性などについて検討していくことがわかりました。
全国で進む 公立学校のプール老朽化
全国の多くの公立学校のプールは1970年代の第2次ベビーブームに合わせて建設され、改修に多額の費用がかかることもあり、校舎の老朽化とともに安全面で大きな課題を抱えています。
高知市 6割の学校で築30年超え 補修追いつかず
高知市内の市立学校のうち6割余りがプールを整備してから30年以上経過し、老朽化が進んでいることから、高知市は安全な水泳の授業の実施に向けて、新たに検討委員会を設置し、今後の整備の方向性などプールのあり方について検討していくことがわかりました。
高知市教育委員会によりますと、中には築60年を超えているプールもあり、市がすべての市立学校のプールを対象に行っている点検では、修繕をしないと授業を行うのが難しい学校が複数確認されたということです。一方で、部分修繕を行うにも1件あたり700万円から800万円ほどかかり、全面改修するとプール1つあたりおよそ2億円かかる見込みです。
高知市教育委員会 学校環境整備課 高橋直人課長
「全面改修は2006年の第六小学校以降は行っていないが、あちこちの学校で漏水やひび割れなど問題が出てきており、部分修繕では追いつかなくなってきている。費用を考えるとすべてを改修して対応するのは現実的ではなく、プールのあり方自体を見直す時期が来ている。ただ、高知県は海や川に囲まれているため、子どもたちの命を守るためにも水泳の授業をやめるつもりはない」
高知市は新年度・令和5年度の当初予算案に検討委員会に関わる事業費として18万円を計上し、検討委員会を設置する条例案とともに、来月(3月)1日に開会する定例市議会に提出する見通しです。
検討委員会はことし5月に立ち上げられ、9月までに検討結果を取りまとめる見通しです。
県外では民間施設の活用も
県外では学校のプールを廃止して民間の施設を活用したり、複数の学校でプールを共同で利用したりする動きが出てきていて、費用を抑えた上で水泳の授業をどう安全に行っていくかは全国的な問題となっています。
校舎の耐震補強は進むが・・・
一方、校舎や体育館など学校施設全体に目を向けても、児童・生徒が一日の大半を過ごす大切な学習や生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の避難場所としての役割も果たすことから、高知市は耐震性能の確保は重要な課題だとして、昨年度末に校舎の耐震化工事は終えています。
ただ、施設自体の老朽化は深刻で、天井の一部が落下するなどの問題が相次いで起きています(詳細な記事はこちら)。高知市の岡崎市長は自治体だけでは対応が難しいとして、国に補助金の拡充などを求める考えを示しています。
少子化が進む中で、学校の施設をこれからどう維持していくのか考えるべき時期が来ています。