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土佐三大祭り 帰ってきた「秋葉まつり」

高知県仁淀川町
  • 2023年02月22日

今月11日、土佐三大祭りのひとつとして知られる仁淀川町の「秋葉まつり」が開かれました。
ことしは3年ぶりの通常開催。伝統の風景が、ようやく山あいの集落に戻ってきました。
(高知放送局 記者 田中開)

伝統の祭りが復活

土佐三大祭りのひとつ 秋葉まつり

200年以上の歴史がある仁淀川町の秋葉まつり。
今月11日、3年ぶりに通常通りの規模で開催されました。
山あいの小さな集落がこの日ばかりはにぎわう、高知を代表する祭りの復活です。

練り保存会 片岡和彦会長
「コロナ禍でもやっと今年ここまでやることができた。それに尽きます」

技の伝承が途絶える危機感

さかのぼって、ことし1月。
3年ぶりの祭りに向けて、町には練習風景が戻っていました。

太刀を持って踊る子どもたちに…

太刀と竹の棒を手に真剣そのもの

長い毛やりを飛ばす若者たち。難しい技巧が要求されます。
例年なら経験者ばかりですが、ことしは事情が違っていました。

祭り最大の見せ場「鳥毛ひねり」の練習も

練り保存会 片岡和彦会長
「2年間も祭りを休むと経験者も踊りの形を忘れているんです。
 危機感はやってみて分かった。やらなかったら本当に続いていかない」

祭りは、新型コロナの影響で去年とおととし、規模が大幅に縮小。
長年続いていた技の伝承が、途絶えてしまっていたのです。
このままでは、秋葉まつりは続けられなくなってしまう。
感染状況を気にしながらも、ことしは通常どおり開催すると決めました。

世代を超えて先輩が子どもたちを指導

先輩からの指導にも熱が入ります。

迎えた本番 行列が神社を目指す

そして迎えた、祭り本番。
ご神体を祭る神社までの3キロの道を、みこしを先頭にゆっくりと練り歩きます。
紋付きはかまや武者姿にふんした160人の行列。祭りを彩る美しい風景です。

山あいの町を練り歩き神社を目指す

恒例の「油売り」も登場しました。
ユーモラスなしぐさや声で、「さいはら」というお守りを売って場を盛り上げます。

お面を着けた「油売り」も練り歩く

行列は、名所の一本道に到着。
沿道から注目が集まる中、練習を重ねてきた「鳥毛ひねり」が披露されます。

先端に鳥の毛がついた、長さ7メートルの毛やりを、2人の若者が豪快に投げ合う光景。
細い道だけに力量が問われる、祭り最大の見せ場です。

数メートル先の相手に豪快に毛やりを投げる

受け手の若者が体制を崩しながらも、なんとか毛やりをキャッチすると、沿道からは「よう取った!」と大きな拍手がわきました。多くの人が待ち望んだ、3年ぶりの「鳥毛ひねり」です。

祭りは熱気あふれるクライマックスに

そしてついに、9時間かけて運んできたみこしが、神社の境内に到着します。
ここで2度3度と拝殿に担ぎ込もうとするものの、追い返されるのがお決まりです。

最後は勢いよく境内に担ぎ込む

最後は荒々しいかけ声とともに、勢いよく担ぎ込むと、境内は熱気に包まれました。

練り保存会 片岡和彦会長
「本年とにかくやらないと続かないという思いはものすごくあった。
 地域の人や関係者の支えがなかったらきょうはないので、お礼を言いたいです。
 子どもたちは1年1年成長する。今年やったことが次につながると思っています」

山あいの集落に息づく、伝統の祭り。
そのともし火は、次の世代へと着実に受け継がれています。

  • 田中開

    高知放送局 記者

    田中開

    2018年入局
    高知局で遊軍担当
    赴任5年目で初めての秋葉まつり
    熱気に圧倒されました

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