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学校の天井が次々と落下… あなたの学校は大丈夫?

  • 2023年02月01日

安全なはずの学校。
ところが取材を進めてみると、校舎の天井が次々と落下する不具合が各地で相次いで起こっていました。
あなたの学校は大丈夫ですか?
自身も古い校舎で学んだ記者が現場を取材しました。

(高知放送局 記者 奥村敬子)

ある日、天井が・・・

去年7月、高知市の介良小学校で給食の調理場の天井の一部が落下する事故が起きました。

幸いにもけが人はいませんでしたが、市が緊急点検を行ったところ、点検中に新たに3か所の天井が落下するなどの不具合が確認されました。

点検中に落下した天井(写真提供:高知市教育委員会)

この学校ではおととしから校舎の天井や外壁など広い範囲で不具合が確認されていて、高知市教育委員会によると、校舎は1977年に完成したもので、すでに45年が経過し、鉄筋コンクリートが劣化しているのが原因だとみられるそうです。

この学校では緊急工事を実施しましたが、2学期の開始に間に合わず、給食をほかの学校に支援してもらう形になったため、工事期間の1か月間は副菜が1品減った状態となってしまいました(代わりにデザートが加えられたそうです)。

また、安全面を考慮して、校舎に入る動線も一時的に変更されました。

点検中に天井が落下した昇降口は一時、立ち入り禁止に

幸いけが人がでませんでしたが、今回の事故を受けて高知市教育委員会は、去年9月の校長会で注意喚起を行いました。ただ、厳しい財政状況にある自治体だけでは対応にも限界があります。

高知市教育委員会 学校環境整備課 高橋直人 課長

「この学校のほかにも、高知市内の公立学校の施設のうちおよそ6割が築30年を超えていて、校舎の老朽化が進んでいます。
建て替えたり、長く使えるように改修したりするにも十分な予算がなく、現実的ではありません。不具合が見つかったら順次、直していくしかないと思っています。
とはいえ、子どもたちの安全第一なので、学校の先生たちに日々、目視でチェックしてもらうようお願いしています」

第2次ベビーブームにできた校舎が一斉に老朽化

全国の状況も調べてみたところ、多くの公立小中学校は1970年代の第2次ベビーブームに合わせて一斉に建設された過去の経緯が見えてきました。

40年以上たち、校舎の老朽化によるリスクが顕在化してきていると言えます。

文部科学省が去年8月に発表した調査によると、校舎の天井の一部が落下するといった老朽化が主な要因とみられる安全に関わる不具合は、昨年度(2021年度)だけで全国の小中学校などで2万2000件余り確認されていて、高知県内でも406件の不具合が見つかったということです。

子どもたちの安全の確保に加えて、災害時にはほとんどの学校が地域の避難所として活用されることから、国は、外壁の修繕やトイレの改修といった校舎の長寿命化に向けた改修工事を進めていくことにしていて、自治体への補助も行っていますが、改修が必要な学校が多いことからなかなか進んでいないのが現状です。

校舎の老朽化によって、2019年には長崎県の小学校で窓が外れて児童に当たり、背中の骨を折る事故も起きています。

学校の安全をどう守っていくのか、改めて考えるべき時期が迫っていると感じました。

  • 奥村敬子

    高知放送局 記者

    奥村敬子

    2019年入局
    高知市政担当
    不登校をはじめ教育分野を中心に取材
    好きだった給食は、名古屋の味噌おでん


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