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7年ぶりセンバツ出場!東海大福岡

~初のベスト4への挑戦~
  • 2024年03月15日

今月18日に甲子園球場で開幕する、センバツ高校野球。福岡県からは宗像市の東海大福岡高校が7年ぶり3回目の出場となります。選手が主体となってチームを作り上げ、強豪ひしめく福岡大会、そして九州大会を勝ち上がりました。

取材 石井直樹 記者

“つなぐ攻撃”でセンバツへ

東海大福岡の武器はつなぐ攻撃。秋は福岡大会と九州大会あわせて10試合で打率3割5分6厘。逆転やサヨナラ勝ちを続け、センバツ出場に大きく近づきました。

【福岡大会】
準々決勝
東海大福岡7-5筑陽学園
6回に4連打。この回で逆転

準決勝
東海大福岡4×-3福大大濠
延長10回サヨナラ

決勝
東海大福岡3-2飯塚
エース佐藤が完投

【九州大会】
1回戦
東海大福岡10-8九州学院(熊本県2位)
4点を追いかける9回ツーアウトランナーなしから3連打で3点差に。さらにホームランで同点。10回に勝ち越し

準々決勝
東海大福岡10-8延岡学園(宮崎県1位)
13安打。9回ツーアウトから5連打で、この回3得点。センバツ出場に大きく近づく

準決勝
東海大福岡1-5明豊(大分県1位)

チームを作り上げてきた“7人のリーダー”

学校グラウンドでの練習(宗像市)
キャプテンの井上和翔選手(いのうえ・かずと)

チームは冬の厳しい練習を乗り越え、キャプテンの井上和翔選手を中心に、センバツに向けて状態を上げています。

この冬は打撃も守備も全体的にまんべんなく練習してきているんですけど、まだまだ潰していける課題もあると思うので、そこをもう一回潰していって、いい形で甲子園に入っていけたらベストかなと思っています。バッティングについては、日ごろからむだな打席を1つでも減らして、1点につながる打席にするというのをチームとして目標にしていて、そこが九州大会や福岡大会は体現できたので、甲子園でもチームのためにつながる1本というのを意識してやっていきたいと思っています

7人のリーダーたち

チームをまとめるのはキャプテンの井上選手だけではありません。今のチームになってから、「打撃」「走塁」「内野」「外野」「投手」「捕手」「生活」の7つの部門にリーダーを設けたのです。各リーダーは新たな練習メニューを考案したり、練習の前に全員に課題を共有したりします。キャプテンの井上選手の発案で始まりました。

中村謙三監督(なかむら・けんぞう)も選手が主体性を持って取り組んできたことがチームの強さにつながっていると感じています。

操り人間というか、そういったような人を作りたくなくて。要所要所で正しい判断をしながら前に進んでいかなくてはいけませんので、正しい判断力を磨いてというところで取り組んできました。選手の主体性を上げていこうということで取り組んだ結果、秋は粘り強く戦えたのかなと感じています

チームが最も課題だと感じているのが守備です。秋の大会では10試合で試合数を上回る12個のエラー。要所でのエラーが失点につながりました。

取れるアウトをしっかり取って、防げるランナーを防ぐという、基本に立ち返ることが大事かなっていうのは秋の大会を戦ってきた中で感じた部分ではあります。打率の10割というのは不可能に近いと思うんですけど、守備率10割というのは目指せると思いますので、そこら辺を見つめ直してやってきました

内野リーダーの森山凪音選手(もりやま・なおと)

内野の守備でリーダーを任されているのが、森山凪音選手です。本来の守備はセカンド。秋の大会では控えでしたが、控えだからこそさらに守備力を強化できると考えています。

内野には副キャプテンが1人いますが、副キャプテンに任せるよりは自分が率先してやったほうがいいと思って内野リーダーになりました。控え選手だからこそ、カバーリングなど、試合に出ているメンバー以外で気づくところがいっぱいありました。九州大会ではエラーが多くて失点につながったので、内野陣はエラーなしを目標にして、いいプレーが出たら、チーム全員で盛り上がれるように、まずいいプレーをできるようにしていきたいです

選手みずから目標を逆算

さらにもう1つ。この代のチームになってから始めたことがあります。それが7人のリーダーのもとで各部門の目標を立てることです。

チームは発足時に「短期:秋大会王者(福岡県)」「中期:センバツベスト4」「長期:夏の甲子園初出場」という目標を立てました。そこから逆算して、月ごと、週ごとに細かく目標を立てていくのです。

「ピッチャーの球に慣れ打席感覚をつかむ」「果敢に次の塁を狙う攻めの走塁」。チームではこうした目標をタブレットも使いながら全員に共有しています。

選手が、こうした成果を感じたという試合の1つが、九州大会準々決勝の延岡学園戦です。東海大福岡が序盤に6点を取りましたが、2点差まで追い上げられました。迎えた9回の攻撃。選手たちはファーストストライクから積極的にスイングしツーアウトから5連打。この回3点を取り、これが勝利につながってセンバツ出場に大きく近づいたのです。

福岡大会の準決勝のあとくらいの目標で、打撃の面で『一球を大事にしてやっていこう』っていう週の目標があったんですけど、それによって練習でもフリーバッティングで1球ミスショットをしたら交代するなど厳しさも生まれてきましたし、ファーストストライクからどんどん全員振っていけるっていうことにつながって、しっかり1球でチャンスをものにするっていうのができたのかなと思います

全員野球で“前人未到” 初のセンバツベスト4へ

チームのスローガンは「前人未到」。前回、東海大福岡がセンバツに出場したときの成績はベスト8でした。チームを作ってきた選手たちはさらに一丸となって、先輩たちを越えるセンバツベスト4、さらにその上を目指します。

甲子園はたくさんのことが学べて経験できる場所だと思うので、しっかりとまず自分たちのプレーをできるように、球場やムードにのまれることなく、自分たちに自信を持って球場に足を入れたいです。甲子園に出場するだけではなく、そこでしっかりと勝ちを積み重ねて、目標としているベスト4、優勝をつかめるようにやっていきたいなと思っています

取材後記

練習中、どの選手に話を聞いても礼儀正しく、自分の考えをしっかりと話していただけました。自分たちの野球について、毎日のように主体的に考えていることの表れだと思います。
ことしのセンバツからは、バットの基準が従来よりも反発力を抑えたものになり、打線は点を取りにくくなる可能性があります。そうなると、選手たちが課題と考えている守備の重要性がより高まってきます。東海大福岡がセンバツでどんな戦いを見せるのか、注目しています。

  • 石井直樹

    北九州放送局 記者

    石井直樹

    2019年入局
    経済・スポーツ担当
    趣味は草野球とゴルフ

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