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いま、鹿児島の港がアツい! 輸出拡大で鹿児島経済の発展へ

  • 2023年07月06日

フェリーやクルーズ船、漁船やヨット、それに巨大貨物船など海の玄関口となっている港。山下智子キャスターが「いま、港がアツい!」というテーマで、九州経済研究所の福留一郎さんに話を聞きました。

(鹿児島局記者 古河美香  キャスター 山下智子)

 

福留さん

港は、人やモノがたくさん行き交い、いろんなものを隅々まで届ける拠点になっていて、経済活動にとってはなくてはならないものです。港が活発になればなるほど、地域が元気になっていきます。
きょうは鹿児島県内の代表的な2つの港、志布志港川内港が、いま、“激アツ”だという話をします。

"激アツ"志布志港 食の産地生かし輸出拡大へ

山下キャスター

”激アツ”なんですか!まずは、それぞれの港の特徴を教えて下さい。

 

志布志港ですが、実は九州では、博多港、北九州港に次いで、国際コンテナの取り扱いが九州で3番目に多い港なんです。志布志港がある大隅半島は畜産が盛んで、配合飼料の原料となる稲わらやとうもろこしなどの穀物をたくさん輸入する一大供給拠点になっているんです。
そうしたこともあり、志布志港は、国が指定する九州唯一の「国際バルク戦略港湾」で、輸入の重要な拠点だと認められているんです。

 

一方で、志布志港からの輸出で最も代表的なものは丸太などの「原木」で、金額も量も全国トップです。

全国トップですか!森林資源が豊富な鹿児島といえど、全国で1位はすごいですね。

 

輸出が後押ししたこともあり、志布志港は2021年の国際コンテナの取り扱い貨物量が過去最多となりました。
また最近、大きな動きもありました。鹿児島県は農林水産物の一大産地ですよね。農林水産物や食品をどんどん輸出するための拠点として、国の「産直港湾」に全国で3番目に認められました。7年後の2030年には、農林水産物や食品の志布志港からの輸出額を36億円に、いまの1.7倍に増やそうという計画です。

1次産業が盛んな鹿児島県や南九州地域の食の物流拠点として、ますます期待できそうですね。

ほかにも志布志港はいろいろな整備を進めています。140mを超えるような大きなコンテナ船が2隻同時に接岸できるようにして、荷物の積み降ろしを効率的にできるようにしました。冷凍庫や冷蔵庫も新たに整備する動きもありますので今後が楽しみです。

 

"激アツ"川内港 広がる地元企業の活用

一方で、川内港はどんな特徴があるのでしょうか。

薩摩川内市には大きな製紙工場もありパルプの輸出が主力ですが、最近、新しい動きもあります。去年、自動車部品の世界的な製造メーカー「日特」のさつま工場が、これまで名古屋港や博多港から出していた製品の一部を川内港にシフトする、つまり、切り替えました。また、この春「京セラ」の川内工場も、ベトナムと中国向けの輸出を博多から川内港に切り替えました。

川内港へのシフトチェンジが続いているんですね。

さらに食品関係もありまして、日置市の焼酎メーカー「小正醸造」の関連会社がウイスキーを作ってるのですが、いままで神戸港から出していたものを、川内港からヨーロッパ向けに3000本を輸出するという動きもありました。

もっと港を活用してもらうには?

県内企業や北薩地域に工場がある代表的な企業が、川内港を活用してくれるのはうれしいニュースですね。
一方で課題などはありますか?

 

私は3つあると見ています。1つは知名度不足です。志布志港だと丸太、川内港だとパルプというイメージが強すぎて、ほかにもいろいろなものを輸出できるということがあまり知られていないです。もっと港をPRしようと、最近は、生産者とか加工業者だけではなくて、商社にも「志布志港や川内港を使ってください」とアピールすることに力を入れています。
また、「トライアル輸出」と言って「お試しで港を使ってみませんか。そのための補助金を付けますよ」ということをするなど、仕掛けをしているところです。

トライアル制度は後押ししてくれそうですね。2つめの課題はなんですか?

 

2つめは空っぽのコンテナ、「空コンテナ」の問題です。志布志港も川内港もそうですが、輸入は原料が多いためコンテナいっぱいに積んでくるんです。ところが、鹿児島から輸出するものはまだ少ないということで、空っぽのままで海外に持っていく「空コンテナ」が多いんです。輸出が順調な分野もある一方で、まだまだコンテナの空きが多いのが現状です。

空のコンテナはちょっともったいないですよね。3つめの課題は?

3つめは、志布志港も川内港もにぎわいが少し物足りないかなと思います。港というと、例えば横浜港、神戸港、函館港など港町のイメージがあるじゃないですか。もうちょっとワクワク感やにぎわいを出してもらいたいなというのはありますね。

確かに、港は人々がにぎわっていたり、夜景がきれいだったりするイメージがありますね。2つの港からたくさん輸出されて、なおかつ、港の周辺もにぎわえば一番いいですよね。

 

また最近だと、物流のドライバー不足や二酸化炭素の排出といった環境問題もあるので船のニーズは高まっていて、近くの港の活用がこうした問題への対応でもカギになります。

 

鹿児島県は、2年後の2025年までに農林水産物や食品の輸出額500億円の達成を目標にしています。もともと300億円が目標だったのですが、好調な輸出を背景に上方修正しました。
今後、地元の港、志布志港や川内港をどんどん生かして、もっともっと盛り上げて、にぎわいもつくって、鹿児島県経済の発展に大きく結び付けてほしいと思います。

きょうは「いま、港がアツい!」というテーマで伺いました。ありがとうございました。

  • 古河美香

    NHK鹿児島放送局

    古河美香

    長崎局を経て鹿児島局勤務 現在は教育や経済を担当 2児の母

  • 山下智子

    「情報WAVEかごしま」キャスター

    山下智子

    鹿児島市出身。1児の母。「かごBiz」のコーナーを通して鹿児島経済を勉強中! 

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