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浸水家屋の復旧作業これだけは! 3つのポイント

かごしまの夕べ~島ラジオ~
  • 2023年06月29日

今月の大雨で大きな被害を受けた奄美大島。宇検村、瀬戸内町、奄美市、大和村では多くの家屋で床上、床下の浸水の被害も報告されています。この記事は6月26日の かごしまの夕べ~島ラジオ~で、佐賀県を拠点に活動するボランティア団体・おもやい代表の鈴木隆太さんにお聞きした「浸水家屋の復旧作業の注意点」をまとめたものです。鈴木さんは令和元年の8月豪雨、令和2年の九州北部豪雨で災害復旧活動やその後の支援活動にも尽力されました。(NHK鹿児島アナウンサー・黒田賢)

ポイント① まずは写真を撮って被害を記録!

令和2年・九州北部豪雨で被害を受けた住宅
(写真提供:おもやい)
黒田

さっそく浸水した住宅の復旧作業についてお聞きしていきます。まずは作業を始める前に大きなポイントがあるんですよね?

鈴木さん

家が浸水被害にあわれた方は「早く片づけたい」っていうお気持ちが当然あるかと思います。 ただ、その前に家屋の浸水の様子が分かる写真を残すことが大切です。どこまで水がきたのかを示す水の跡の写真を家の外から、四方から撮って頂きたい。

黒田

写真を撮らなければいけないのはどうしてですか?

鈴木さん

写真を残しておくとこによって「ここまで水が来ていた」と、被害の様子を証明するためです。役場や役所などで、「り災証明」(さまざまな支援を受けるうえで必要になる被害の度合いを証明する書類)というものを発行してくれるのですが、り災証明を発行する際に「そのお宅がどこまで水の被害を受けているのか」「浸水は床上何cmなのか」というようなところを確認に来られます。 確認に来られる前に片づけることは問題ないのですが、写真を撮らずに片づけてしまうと、「きれいだから大丈夫ですよね」っていうことでり災証明の判定に大きく影響が出てしまうということも起こり得るんです。

黒田

り災証明を受けるために記録を残しておくことが必要だということですね。 写真を撮るのは室内も重要ですか?

鈴木さん

屋内屋外ともに写真を残しているのがベストです!

令和3年8月の大雨で被害を受けた住宅の床
(写真提供:おもやい)
令和3年8月の大雨で被害を受けた部屋
(写真提供:おもやい)

ポイント② 作業では特に「乾燥」を入念に!!

令和2年・九州北部豪雨の復旧作業で床下を乾燥させている様子
送風機などを使うと乾燥が早まる
(写真提供:おもやい)
黒田

続いて、作業の中で特に重要になるポイントはどんなところですか?

鈴木さん

家屋にとってはきちっと乾燥させることが一番重要なポイントです!

黒田

乾燥させることですか。それはどうしてでしょう?

鈴木さん

水分を含んだ状態の木材をふたをしてしまうと、そこからカビやシロアリが大発生してしまうということにもつながりかねないからです。湿気を含んだ木材はシロアリの大好物です。時間を掛けてゆっくり湿気を含んだところから腐敗腐食が始まっていって家の構造そのものにも影響を及ぼしてしまうということがあります。そのため、 きっちり乾燥をしていただくということが重要になります。

黒田

乾燥には通常どれくらい時間をかければいいんでしょうか?

鈴木さん

大体の目安ですが、自然乾燥で床を閉じずに取り払った状態で乾燥をさせているとそれだけで最低2か月間かかるんですよね。 あとはその時々の2か月間における天候、たとえば雨が多かったりすると期間が延びていきます。

黒田

自然乾燥で最低2か月…
期間を早める方法はありますか?

鈴木さん

ご自宅でお持ちの扇風機がありますよね。 一番乾きにくいのが床下になりますので。床下に向かって扇風機を回していただく、 そういった風を送る機械、送風機を床下等に設置をして 空気を動かして乾燥を促していくっていうことを心がけていただくといいのではないかと思います。

ポイント③ 「消毒は消毒薬や消毒液で!(消石灰は使わない)」

消毒は消毒薬/消毒液で!
(写真提供:おもやい)
黒田

乾燥させた後は消毒も必要になりますが消毒について注意点はありますか?

鈴木さん

これまで、消毒に関して消石灰を使用されることが非常に多かったのですが 消石灰って実は取り扱いに注意が必要な上に、大量にまかないと消毒の効果が余り認められないんです。 消石灰の粉が、汗をかいた肌や目などに入った場合、化学反応で熱を起こしてやけどになったりします。目に入った場合最悪の場合ですと失明に至る可能性もあるので非常に危険なんですよね。 なので現在は我々の地域でほとんど消石灰は使われていませんいわゆる消毒液や消毒薬を使っていただきたい

黒田

ではまとめると…
① り災証明の発行のためにしっかり写真を撮って記録しておく 
② 作業ではしっかりと乾燥させる。
⇒扇風機など送風できる機械を使うと乾燥を早められる 
③ 消石灰を使わずに消毒薬や消毒液などで消毒する
ということですね。
ありがとうございました!

鈴木さん

ありがとうございました!

  • 黒田 賢

    NHK鹿児島放送局 アナウンサー

    黒田 賢

    2021年入局。ニュース、スポーツ実況などを担当。
    大学時代は競走部。箱根駅伝で給水ランナーを務める。山形県出身。
    映画とK-POPを愛する24歳。

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