ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. ヒグマ情報
  4. ヒグマをバーチャルで体験する 0755DDチャンネル

ヒグマをバーチャルで体験する 0755DDチャンネル

  • 2024年4月1日

ヒグマと出会った瞬間はどんな感じなのでしょうか? 森を歩いているとき、出会った時が「本番」で適切な対応ができるのでしょうか。ならばバーチャルで体験してみるのはどうか。NHKが制作した「ヒグマVR」を追いました。
初回放送:2024年3月30日
 

ヒグマカメラのリアリティをバーチャルで体験する

2023年12月、札幌市郊外の森に、高性能VRカメラが持ち込まれました。グレープフルーツ大のボディーを持つそのカメラは、6つのレンズで対象を立体でとらえることができます。

撮影するのは、倒木がうまい具合に道を作っている「けもの道」の交差点です。NHKは2022年から自動撮影カメラを設置して、定点での観察と記録を続けています。
2023年には、3月31日朝にかけて最初にヒグマの足跡が写り、4月26日から9月3日までの間に、9回、ヒグマが通過するのを記録しました。

このヒグマが利用する森を、立体的なバーチャル空間としてとらえそこに、この場所を利用していたヒグマの映像を重ねあわせれば、ヒグマとの遭遇を疑似体験できるのではないかというのが、開発チームの狙いでした。

ヒグマの質感と息づかいを感じる

3月、VRカメラは、札幌市の円山動物園に向かいました。円山動物園は、オスのヒグマ「大(だい)」とメスの「とわ」の2頭が飼育しています。円山動物園の協力を得て、「大」の様子をVRカメラで撮影します。

ポイントは、ケガをさせないようにどう撮影するか。普段から「大」と接している円山動物園のみなさんと検討の結果、カメラをすえつけるポリ容器(ドラム缶)を雪で埋めることになりました。
この容器、水をいれると200キロになりますが、体重320キロの「大」にとっては、さほど重いものではないそうで、雪で囲って、ヒグマがなるべく違和感を感じないようにする作戦です。

「大」は盛り上がった雪の小山の上にある透明なカメラカバーに少し、興味を持って鼻を近づけました。普段は間近に観察するのが難しい、顔の毛の質感や息づかいが記録できました。

円山動物園 ヒグマ担当の石井亮太朗さん
「ヒグマについて、多くの人により詳しく理解してほしいので、VRが完成したら良い教材になるのではととても期待しています」

具体的な体験が考えるきっかけに

このヒグマVRには3つ目の要素があります。ヒグマとあわないためにどうしたらいいか、とヒグマにあったらどうしたらいいか、を知ってもらうコーナーです。
状況別に6つのテーマから問題を選んで、クイズ形式で答え合わせをしていきます。
このコーナーの解説を担当したのは、「ヒグマVR」全体の監修をお願いしている酪農学園大学環境共生学類・佐藤喜和教授です。

たとえば、森の中を歩くときは、音を出してヒグマに人間が近づいていることを知らせること。ヒグマが5メートルまで接近してきたら迷わずヒグマの顔に向かってクマ撃退スプレーを噴射すること。それでも襲われてしまったら、うつ伏せになってお腹を地面でまもり組んだ手で首を守ること…。

バーチャルの遭遇体験とヒグマ対策をセットで提示することで、より深く理解してもらうのが狙いです。

酪農学園大 佐藤喜和教授
「どこでクマの話をしても、クマにあったらどうするとか、そんなことはできないとか、そういった会話になるのですが、具体的な例があると、もう少し考えるきっかけになって、それぞれが抱く印象が具体的になると思います」

ヒグマの活動本格化を前に

体験プログラムヒグマVRは、最初のバージョンが完成。3月23日(土)から5日間にわたって、NHK札幌放送局で公開されました。ヒグマの活動が本格化する前に間に合いました。

即席の体験ブースには連日行列ができ、春休みの別のイベントを目指してやってきた家族連れなど、あわせて300人以上に体験してもらうことができました。

NHK札幌放送局ヒグマプロジェクト 田中 壮 開発担当
「いろんなデバイスが登場し、体験型で学べるようなものもあります。さまざまな映像表現ができるようになってきたので、その特徴を生かしていきたいです」

体験公開で、さまざまな人たちから意見をもらい、その反応を間近に感じて 、ヒグマVRの体験をさらに価値のあるものにするヒントを得ることができました。

ヒグマとどうつきあうのか、自分ごとに近づけて考えてもらうために。ヒグマVRの改良を続けます。

 

ヒグマVRのもとになった「ヒグマカメラ」とその番組記事はこちら

ヒグマカメラ
ヒグマに出会ってしまったらどうするの
ヒグマカメラ となりのヒグマを知る
ヒグマカメラ 札幌のヒグマたちはいま

 

ページトップに戻る