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クマに出会ってしまったらどうしたらいいの?

  • 2023年8月3日

北海道の各地で目撃情報が相次いでいるクマ。できれば出会いたくないですが、万が一出会ってしまった場合どうしたらよいのか?出会う可能性があるシチュエーション別に対処法をお伝えします。

短い動画でご覧になりたい方は記事の最後に動画があります。
✅歩行者編(48秒)
✅自転車編(28秒)

✅自動車編(29秒)


クマも人を襲おうとは思っていない

今回対処法を教えてくれたのは、クマの生態に詳しい酪農学園大学の佐藤喜和教授です。佐藤教授によると、クマはとても臆病な生き物で、クマとしてもできるだけ人間と距離を取りたいと思っているということでした。

    酪農学園大学 佐藤喜和教授

佐藤教授
「人に何かしようと思っているクマと出会うことは非常にまれで、大抵の場合はクマの方が先に立ち去ります。もし出会ってしまっても、まずは落ち着いてクマを刺激しないことが大事です。急に走って逃げたり、大声で騒いで刺激をしたりするのはよくありません。」

歩行中に遭遇したらどうする?

そのうえで、公園を散策しているときや登山など歩行中にクマに出くわしてしまったときの対処法を教えてもらいました。

佐藤教授
「遠くにクマを見つけた場合は、クマの様子を見ながら静かに引き返してください。また、近くでばったり出会ってしまった場合は、まず止まるようにしてください。もし複数人いる場合には静かに集まって、落ち着いてクマの様子を確認しながらゆっくりと後ずさり、クマから離れてください。道を進む必要がある場合は、クマが立ち去ったあとしばらく時間をおいてから進みます。クマが立ち去った方向に向かうのは危険で、進む場合も近くにクマがいるという前提で十分注意を払ってください。」

クマ撃退スプレーはすぐに取り出して使えるように

このとき、クマ撃退スプレーを持っていればすぐに準備することが大切だと教えてもらいました。

佐藤教授
「もしもクマが一気に迫ってきた場合には1、2秒で接近してしまうと思うので、すぐに準備するのを忘れないでほしいです。このとき、スプレーをリュックサックなどに入れているとすぐに取り出すことができないので、腰や胸元などに付けてすぐに取り出せる状況で持っておくことが大切です。」

クマが威嚇してきても慌てて逃げないで!

また、何かを食べているクマやその場から離れないクマに出会った場合には威嚇される可能性が高いと佐藤教授は言います。ただ、その場合でもクマから目を離さずに状況を確認しながら、ゆっくりと下がることが大切だと教えてくれました。

佐藤教授
「クマは逃げたいけれど子グマがいてうまく一緒に逃げられない場合や、シカの死体を見つけたばかりでここから逃げたくない場合などに、接近してくるものに対して近づくなという威嚇突進をすることがあります。これを『ブラフチャージ』といい、具体的には地面をたたいたり、少し走ってきてピタッと止まったりするような行動です。このとき、出会った人は非常に怖いと思いますが、ここでも慌てて逃げることはしないでほしいです。背中を向けて逃げてしまうと動物は反射的に追いかけてしまうので、怖いけれども立ち止まってください。クマも威嚇したあとは止まって大体後ろに戻るので、その間に少しずつゆっくりと距離を取るようにしてください。」

近距離ではクマ撃退スプレーを使って!

クマとの距離があまりにも近く、かつクマ撃退スプレーを持っている場合にはためらわずに使ってほしいと佐藤教授は言います。

佐藤教授
「スプレーの種類にもよりますが、基本的には5メートルほどの距離で噴射するのがいいと思います。スプレーにはとうがらしに含まれるカプサイシンという辛さの成分が入っているので、目とか鼻とか口のような粘膜系の部分を狙って噴射すると即効性があります。クマは四つんばいのまま接近してくるので、移動してくるのを想定しながら噴射してください。本当に噴射する場合、人間にとってもすごく刺激があって痛みを感じるので、極力自分の体から離して噴射するようにしてください。」

クマと接触してしまう最悪のケースでは…

スプレーは効いているけれどクマの勢いが強くて止まらない場合や、ブラフチャージで威嚇突進してきたクマと接触してしまうようなケースであっても、本格的に人を襲おうと思っているわけではないので、抵抗せずに自分の体を守る体勢を取ることが生存率を高める方法だと佐藤教授は教えてくれました。

佐藤教授
「山を歩く場合にはリュックサックを背負っていることが多いと思います。これが背中を守ることになるので、背負った状態のままうつ伏せになって地面でおなかを守るようにしてください。また、一番弱い部分は首なので、首を隠すように手を組んで防御するようにしてください。仮にひっかかれてあおむけにされたとしても、自分の力でこの体勢に戻り、おなかを守るようにしてください。」

犬の散歩をしている際にクマに出会ったら…

犬の散歩中にクマに出会ってしまったらどうすればいいのか?佐藤教授によると、犬は鼻がきくため人間よりも先にクマに気づくのではないかということでした。ただ、訓練されている犬であればほえたり興奮したりはしないかもしれないが、犬によってはほえてしまってクマを刺激し、その結果クマが近づいてくるケースも考えられるといい、犬を散歩する際の注意点を教えてくれました。

佐藤教授
「犬の散歩中にクマに出会ってしまったら、人間側の対処としては歩行中と同じようにクマを刺激せずにゆっくりと距離を取ることが大切だと思います。自然豊かなところだと犬のリードを伸ばしてのびのび散歩させてあげたいという気持ちもわかりますが、クマのことを考えれば少しでもリードを短くして何かあったときにもすぐに飼い主がコントロールできる状況にしておくことが大事だと思いますし、できればクマの出るような場所では犬の散歩を避けていただくことが必要かなと思います。」

自転車に乗っているときにクマに出会ったら…

佐藤教授によると自転車に乗っているときにクマと出会った場合も、基本的には歩行中と同じようにまずはいったん停止してクマを観察することが大切だということです。また、クマがえさを食べているなどその場から動かない場合には、クマの様子を確認しながらゆっくりとUターンして引き返すなど安全第一で行動するのが大切だとした上で、自転車ならではの注意点も教えてくれました。

佐藤教授
「クマの生息地を歩いているときには鈴を持つなど気をつけているけれど、自転車の場合にはクマへの意識はあまりないと思います。また、意外と静かな音で近づいていくので、クマ側も気がつくのが遅れてわりと近い距離で出会ってしまう可能性があるので、そこを念頭に置いていただくのが大事だと思います。」

車に乗っているときにクマと出会ったら…

佐藤教授はクマが車に対して積極的に何かしてくることは考えにくいと言いつつ、それでも気をつけるポイントを教えてくれました。

佐藤教授
「車だからといってクマに積極的に近づいたりしないでください。また、車から降りて写真を撮ろうとするのは避けて、車の窓も開いていれば閉めるようにしてください。クラクションを鳴らして刺激するのも避けてください。道路脇で何か食べているときなどはゆっくり通過するのがよいと思いますが、クマが道路を横断しようとしている場合は通過するのを待って、安全を確認してから車を走らせるのがいいと思います。」

取材後記

今回は主にひとりでいるときにクマに出会ってしまった場合の対処法をお伝えしましたが、大きな事故につながらないためには、クマの生息地に入るときには複数人で行動することやヘルメットやクマ撃退スプレーを持ち歩くなど、事前の備えが大切だということです。

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【動画解説】クマに出会ったら 対処法は

歩行者編

自転車編

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