放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米PBS「NewsHour」,大幅刷新でスタート

公共放送PBSの看板ニュース番組NewsHourが番組の形を大きく変えて9月7日の土曜日にスタートした。これまで平日のみの放送だったが土日版を新設し,ニューヨークのスタジオから平日の半分の30分番組として始まった。キャスターは男性のハリー・スクリーニバサン氏が務め,短めに作られたリポートをテンポよく伝えた。また平日版は,これまで数人のアンカーが持ち回りで担当していた形をやめ,グエン・アイフィル氏とジュディ・ウッドラフ氏の2人のベテラン女性ジャーナリストが固定アンカーとなった。アンカーが2人とも女性になるのはアメリカのニュースでは初めてのこと。同番組では,ウェブ版の充実やSNSを活用した報道などにも力を入れていくことにしている。

米NPR,10%の職員削減へ

公共ラジオNPRは9月13日,840人の職員の10%を目標に早期退職者を募ると発表した。寄付や企業からの協賛金が減少し,9月末に終わる会計年度で,1億7,800万ドル(178億円)の収入に対し600万ドル(6億円)の赤字が予想されることから,過去最大の職員削減を行うことにしたもので,人数に達しない時には解雇もあり得るとしている。NPRは2008年にも8%の人員削減を行った。一方,8月に辞任の意向を示したゲイリー・ネル会長に代わって,NPR理事会(board)のポール・ハーガ氏が会長代行に指名された。

米ニールセン,モバイル視聴率も測定へ

ニールセンが2014年秋から,テレビ視聴率にスマートフォンやタブレットなどモバイル端末の視聴率も加えたものを配信することが明らかになった。9月19日のバラエティー誌など複数のメディアが報じた。インターネット配信の普及でユーザーの視聴形態が大きく変わってきていることから,放送事業者や広告業界から,より正確な視聴率を知りたいという強い要望が出ていた。測定の対象は,ウェブサイトや独自アプリで公開される番組で,CMが放送時と同じ内容で同じ順番に出されることが条件で,HuluやNetflixの番組は対象にならない。

米,ネット配信ドラマがエミー賞受賞

動画配信サービス大手のNetflixがインターネットで配信した政治サスペンスドラマ『ハウス・オブ・カーズ(House of Cards)』が9月22日,エミー賞の最優秀監督賞を受賞した。監督は,映画『ソーシャル・ネットワーク』などで知られるデビッド・フィンチャー氏。このドラマは,1シーズンの全13話を同時に配信するという手法で話題となり,エミー賞の9部門でノミネートされていた。かつては3大ネットワーク番組の独壇場だったエミー賞だが, 最近はケーブルテレビ番組の躍進も目立ち,今回ネット配信用ドラマが受賞したことは,あらためて業界の変化を象徴する動きとして注目されている。

メキシコ,急増する有料テレビ契約者

経済成長が続くメキシコでは衛星放送やケーブルテレビなどの有料テレビの契約件数が急激に伸びている。事業者団体LAMAC(ラテンアメリカ有料多チャンネルテレビ広告協議会)の9月11日の発表によると,契約件数は2013年の第2四半期には前年比で100万件,率にして16.9%増加した。その結果,国内での有料テレビの世帯普及率は49%に達し,年内にも50%を超えると見られている。メキシコでは6月の法改正により有料放送事業者は地上放送チャンネルを無料で放送することが義務づけられたが,こうした法制化の動きも有料放送の普及を後押しする一因となった。

ブラジル,有料テレビの違法視聴が増加

ブラジルの有力紙フォーリャ・デ・サンパウロは9月13日,ブラジルでは有料テレビ放送の不正な受信および視聴が増えていると報じた。それによると, 違法な受信機を使った衛星放送や地上デジタル放送の未契約視聴は200万件近くに上り,損害額は年間18億レアル(800億円)に達するという。これらの数字には,ケーブルテレビの違法受信やインターネットコンテンツの違法ダウンロードは含まれていない。