放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2012年11月

11.1 津波警報大幅見直し 3月7日からスタート

気象庁は,津波警報の改訂を2013年3月7日から実施すると発表した。新しい津波警報では,地震の規模と津波の予想高さを過小評価した東日本大震災の教訓と反省を踏まえ,マグニチュードが8を超えるような,巨大地震のおそれがある場合には,予想高さの第1報をこれまでのように数値で表現しないで,「巨大」と定性的な表現で発表する。また,GPS波浪計や海底津波計がキャッチした沖合の観測値も「沖合の津波観測情報」として独立して発表する。これによって,テレビ,ラジオによる速報の表記や表現も大きく変わる。また,市町村も防災行政無線などによる避難の呼びかけ方を検討している。

11.8 私的録画補償金訴訟でデジタル機器の対象外が確定

私的録画補償金管理協会が録画機メーカーの東芝に対して,デジタル専用録画機の補償金支払いを求めて提起した訴訟で,最高裁は,管理協会の上告を退けた。これにより,デジタル専用録画機は補償金の対象外とした知財高裁の判決が確定した。

11.8 コンテンツの海外流通促進などで総務省が相次いで検討会立ち上げ

総務省がアクションプランに掲げるICT利活用による産業創造に向け「放送コンテンツ流通の促進方策に関する検討会」を立ち上げた。同省は,この他にも「放送サービスの高度化」,「放送政策」に関する検討会や研究会を11月中に相次いで立ち上げ,半年間かけて取りまとめを行うことにしている。

11.16 東日本大震災教訓に放送,通信活用の一斉配信実験

災害発生時に放送と通信の複数のルートを活用して緊急情報を伝えようと,宮城県石巻市で実験が行われた。実験は東日本大震災の発生時に停電や設備の倒壊などで,住民への緊急情報が確実に伝達できなかったことを教訓に実施された。「大津波警報が発令された」という想定の情報が石巻市役所から配信され,スマートフォンにメールが送られると同時に,ワンセグによるエリア放送も実施された。総務省では今後,このシステムの実用化を進める方針。

11.26 NHKテレビ番組「デザインあ」がグッドデザイン大賞を受賞

公益財団法人日本デザイン振興会(東京都港区)は,NHK・Eテレの番組「デザインあ」を2012年度のグッドデザイン大賞に決定したことを公表した。デザインというテーマを子ども番組に組み立てた革新性,日本のデザイン教育に対するインパクトと意義などが評価された。

11.28 区域外再放送申請の拒否処分電監審取り消しに民放連が反発

徳島県のCATV局が読売テレビの区域外再放送を求めた総務大臣裁定の申請で,これを認めないとした大臣の拒否処分を不服として,電波監理審議会に異議を申し立てていたが,総務大臣の処分を取り消す議決が行われた。これに対して,民放連は「今回の事案が悪しき前例となり,安易な大臣裁定申請が常態化し,地域放送メディアの将来に禍根を残す」と反発するコメントを発表した。民放連はさらに「四半世紀以前に導入された大臣裁定制度はもはや限界」とした上で「大臣裁定制度の撤廃を議論すべき」と踏み込み,制度のありかたそのものに異議を唱えた。

11.29 ニコニコ動画で初の党首討論会

12月16日の衆議院選挙を前にインターネットの動画サイト「ニコニコ動画」で10党の党首が参加した討論会が開かれた。各党首の発言に対して,視聴者からは賛否のコメントがリアルタイムで書き込まれ,表示された。1時間40分余りの放送中におよそ140万人が視聴した。