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再放送申請の拒否処分 電監審取り消しに民放連反発

徳島県上板町,北島町,松茂町をエリアとするCATV事業者「ひのき」は,大阪・読売テレビのデジタル放送を区域外再放送することを希望し読売テレビと協議していたが,協議がととのわなかったため,総務大臣裁定で再放送を認めるよう2011年6月に申請した。

放送法144条には放送局とCATV事業者間で協議がととのわなかった場合は大臣裁定で定めると規定されているが,この申請に関して総務大臣は11年10月,歩み寄る余地があると判断して再放送の申請を認めなかった。

大臣の拒否処分に対する「ひのき」からの異議申立てを審議していた電波監理審議会は2012年11月28日,両者間の交渉状況に関する主張や証拠に基づき,144条の「協議が調わないとき」に該当するとして,先の大臣拒否処分を取り消し,「ひのき」の再放送を求める大臣裁定申請を認めた。

これに対して民放連が反発し,28日に電波監理審議会の議決に関して「極めて遺憾」であるとの会長コメントを発表した。

民放連は,あくまで事業者間での協議が優先されるべきであるとし,「今回の事案が悪しき前例となり,各地域の民間同士の協議の意欲が失われ,安易かつ一方的な大臣裁定申請が常態化し,地域に根ざした放送メディアの将来に禍根を残す」と憂慮している。さらに,CATVが広く普及した現況では「四半世紀以前に導入された大臣裁定制度の維持はもはや限界」にきており,「行政として速やかに大臣裁定制度の撤廃を喫緊の課題として議論すべき」とまで踏み込んでいる。

関谷道雄