放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

2011年7月

7.3地上民放10年度売上高,5年ぶりに増加

民放連は加盟社の2010年度の決算状況をまとめ発表した。地上民放局193社の売上高は2兆2,464億円で前期比0.1%増。5年ぶりに増収となった。内訳はテレビ放送事業収入が1兆8,838億円で前期より1.4%増えたが,ラジオ放送事業収入は1,283億円,前期比4.2%減で10年連続の減収。

7.4大学病院の隠蔽体質報道テレ朝が反論,BPOが再意見

テレビ朝日の調査報道「密着5年 隠蔽体質を変える~大学病院医師の孤独な闘い~」をめぐって2011年2月にBPOが出した「倫理上問題あり」の見解について,テレ朝は地裁と高裁の判決内容の差異を説明しなかったことが直ちに誤りを伝えたといえるのかなど,「決定内容の一部になお違和感を拭えない部分があります」と反論した。これに対してBPOは,企画意図を高く評価するとしたうえで,「局の立場から些細なことと軽視して事実を曖昧にしたり,歪めることによって,報道される側の人権を損なったり,その心情を傷つけかねない危険があることを片時も忘れてはならない」との再意見を出した。

7.6玄海原発,県民向け説明番組九電が再開支持メールを要請

九州電力が,2011年6月26日にインターネットなどで中継された説明会(政府主催)の番組に,一般市民を装って原発の運転再開を支持するメールを送るよう,関連会社などに要請していたことを明らかにした。国会審議で追及され,九電が認めた。その後,会社幹部が関わっていたことがわかり,社長が引責辞任すると国会で表明した。

7.12NHK受信料制度調査会が報告書地上・衛星の総合受信料への収斂を提言

NHK会長の諮問で,多メディア時代の受信料制度について検討していた「NHK受信料制度等専門調査会」(座長・安藤英義専修大学教授)が報告書を発表した。同調査会は,中期的な課題として,地上・衛星を区分することなく公共放送サービスとし,最終的には総合的な受信料へと収斂することが望ましいとした。インターネットについては「伝統的な放送」の役割・機能を果たしうるメディアになりつつあるとし,利用者を新たな受信料体系に組み入れることなどを提言した。

7.13被災地3県のアナログ放送12年3月で終了へ,電監審が答申

岩手,宮城,福島の東日本大震災被災地3県でテレビ放送のデジタル化が延期された問題で,電波監理審議会が,アナログ放送の終了を2012年3月31日とするよう答申した。電波法特例法では11年7月24日から最大で1年間延期するとなっているが,2波放送を継続する地元放送局の負担が大きいことを考慮した。

7.14V-Highマルチメディア放送サービス名称は「モバキャス」

ISDB-Tマルチメディアフォーラム(放送局など99社参加)が,2012年4月からスタートさせるV-Highマルチメディア放送の名称を「モバキャス」にすると発表した。同放送は,テレビの地上デジタル化で空きが出る周波数帯を使う新サービスで,携帯端末向けにドラマや電子書籍などを配信する。

7.15モバイルコンテンツ市場17%の伸び

総務省が2010年のモバイルビジネス市場の動向調査結果を発表した。モバイルビジネス市場は1兆6,550億円で前年比8.8%の増。このうちモバイルコンテンツ市場は6,465億円で前年比17%の大幅な伸びとなった。

7.24テレビ,アナログ放送終了

地上とBSのテレビ・アナログ放送が,岩手,宮城,福島の3県を除いて終了し,デジタル放送に切り替わった。アナログ放送は正午に通常番組の放送を終了して放送終了を告知する静止画面となり,同日24時までに停波した。