放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

動画配信の米Netflix,中南米で事業開始へ

インターネットによる動画配信サイトを運営するアメリカのNetflix社は7月5日,中南米とカリブ海地域の43か国で今年後半からネット動画配信事業を行うと発表した。Netflixは月額7ドル99セント(約630円)で映画やテレビ番組を無制限に視聴できるサービスによって急拡大を続け,すでにアメリカとカナダで2,300万人の契約者を抱えている。中南米およびカリブ海地域での料金は明らかにされていないが,これらの地域では,英語,スペイン語,ポルトガル語でサービスが行われるという。

米最大の新聞社,広告不況で減収

アメリカで有数の発行部数を誇るUSAトゥデイなどを発行する新聞社Gannettは7月18日,今年の第2四半期の売り上げが前年同期比2.2パーセント減少して10億3,300万ドル(約806億円)にとどまったと発表した。同社は,全国紙のUSAトゥデイのほか,81の日刊紙とおよそ1,000 にのぼる週刊新聞を発行する全米最大の新聞社。発表によると,小売業や自動車業界などが広告費を減らしたため,新聞での広告収入が6.5パーセント減少し6億4,690万ドル(約505億円)に落ち込んだという。同社は,6月に社員700人の解雇を発表していた。

エクアドル,大統領への名誉毀損で新聞社に有罪判決

南米エクアドルのコレア大統領が自身に対する批判的な記事を掲載した新聞社の経営者や編集者らを名誉毀損で訴えていた問題で,同国の裁判所は7月20日,経営者らに対し懲役3年の有罪判決と賠償金3,000万ドル(約24億円)の支払いを言い渡した。問題とされた日刊紙El Universoは今年の2月,「昨年9月の非常事態宣言発令の際,大統領が軍に病院を襲撃するよう命じた」とする記事を掲載し,大統領が提訴していた。今回の裁判所の判決に対しては, 内外のメディアや国際的なジャーナリスト団体などから刑が重すぎるとの批判が上がっているほか,国境なき記者団(RSF)は「メディアを沈黙させようとするエクアドル当局の戦略を明らかに示すもの」と批判している。

有料放送の契約解除が大幅増に:調査会社予測

アメリカの調査会社SNL Kaganは7月20日,2015年末までに,アメリカの全世帯の10%に当たる1,200万世帯が,Netflixなどインターネットの動画配信サービスを利用するようになり,それに伴いケーブルや衛星などの有料放送の契約を解除する世帯が大幅に増加するという見通しを発表した。同社では,契約解除の世帯数は2010 年末で250万,2011年末で450万と予想しており,その数は今後,急速に増えると見ている。

米FCC,メディア所有規制で報告書を発表

FCC(連邦通信委員会)は7月21日,メディアの所有規制に関する3つの報告書を発表した。この中で,ひとつの市場内で1社が新聞と放送を同時に所有しても,地方レベルで発信されるニュース量にはほとんど影響を与えないことが指摘された。また,市場内で1社が複数の放送局を所有した場合でも,情報や番組面で否定的な要素は少なく,むしろ地方ニュースと全国ニュースの組み合わせが可能になるなど良い影響が出るという報告がされた。FCCでは6月に出された5つと合わせて,最終的に11の報告書を公表する予定で,これらに対する一般からの意見を求め,所有規制を見直すかどうか判断することにしている。

米FOX,Huluへの番組提供を一部制限へ

FOXネットワークは7月26日,ABC,NBCとともに出資している動画配信サービスHuluへ,これまで放送翌日には番組を見られるように配信していたが,8月以降,「翌日視聴」はケーブルや衛星に契約した世帯のみに限定し,それ以外は8日後に視聴できるよう変更することを明らかにした。これは,ケーブルや衛星に有料契約してFOXなどの番組を見ている世帯に配慮したもので,こうした視聴者からは,『Bones』や『The Simpsons』などの人気番組をHuluでは翌日に無料で見られることに不満が出ていた。ABCも同様の変更を検討している。